連絡を取り終わった男は伊月を連れて通った道を帰っていく、美野は何も出来ないまま時間が経った。誰も居なくなりようやく落ち着きを取り戻した。

美野 一四日

…………

 そうか、協力者を撃った群馬榎もこの通路を通っている。つまり群馬榎はこの先でパニーチェさんを撃ったんだ。

 まだ合った事がない人だけど、仲間だった。

――私の異能力を使えば、どうにか出来るかな。

 そうだ、過去に戻ればみんなを救えるはずだ。未来で起きる事は知っているんだ。それを逆手に取って行動すれば、こんな事にはならない。

 美野は意識を集中して思い浮かべる。伊月と買い物を楽しんでいた時を鮮明に思い浮かべた。

頑張ってね。過去で待ってる

美野 一四日

誰?

 異能力を使う瞬間、女の子の声がした。その幼い声に聞き覚えはなかった。異能力を使う一瞬だったため声がした方すら振り向けず、異能力は発動した。

 気が付けば過去に戻り伊月の隣に立っていた。周りも門の教団が来る前の賑やかなままだった。

 どうやらまだ、パニーチェは異能力を使っていないようだ。どうやら準備する時間は残っているらしい。

愼木 伊月 

ところで美野さん、学校の七不思議ってあるじゃないですか?

愼木 伊月 

美野さんの学校だと何かありましたか

美野 一四日

…………

愼木 伊月 

美野さん? 聞いてますか

 周りの状況が気になって伊月の言葉が入ってこなかった。

美野 一四日

ごめん、実は――異能力を使ったんだ

愼木 伊月 

そりゃまたどうして過去に戻れる異能力を使ったんですか?

 私は不思議そうな伊月にこれから起きる出来事を可能な限り伝えた。美野の異能力を知っている伊月はすんなりと美野の言葉を信じたが頭を抱えた。

 無理もない。唐突すぎる難問にどう答えを出していいかわかるはずがない。

愼木 伊月 

嘘臭いですけど、うーん、美野さんの異能力の事を考えると本当に起きるんですよね

愼木 伊月 

困りましたね

美野 一四日

ごめん

愼木 伊月 

いやいや、美野さんは悪くないですよ

 そうしているうちに自分の姿がパニーチェに変わっていた。パニーチェの異能力、投影術が発動しているのだ。

 パニーチェの姿になってざわめき始めた。記憶通りならそろそろ門の教団が入って来る。以前みたいな結末にならないようにする為に美野は行動に出る。

 無理もない。唐突すぎる難問にどう答えを出していいかわかるはずがない。

美野 一四日

パニーチェさんを助けないと

愼木 伊月 

どこに行くんですか

美野 一四日

わからない。けど、パニーチェさんは近くにいるはずなの

愼木 伊月 

待ってください

 伊月を無視してパニーチェを探しにいった。

 ぶつかりそうになり人を避けながら無我夢中に走った。すれ違う人達がパニーチェの姿をしている。

 誰もこれも同じ姿、どれが本物でどれが偽物かわからない。

 だれもが同じ姿をしている中を走っていると途端に足が止まった。

美野 一四日

――だめじゃん私

 なんのために過去に戻ったのか、意味がないじゃないか。このままじゃ以前と何も変わらない結果になる。私は助ける為に過去にもどったのに。

 焦る気持ちを加速させるかのように後ろが騒がしい。振り向くとそこには榎が部下を連れこちらに近づいている。

 やはりこの階層にパニーチェは居る。けれど、私はまた何も出来ず、榎を奥に通してしまうと美野はその場にうずくまってしまった。

 そして、銃声が私の耳を貫いた。

メビウス・ザ・ループ(19)

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