放課後になり用を済まして商店街を目指していた。

 中間テストとはいえ、テストはテストだ。少しは良い点数を取る事は後に繋がると思いつつ、面倒くさいなと思う一面も頭に抱えていた。

 しかし、友達が勉強をしようと誘われて一人でやるより楽しいそうだなと言う好奇心に負けている。

 結局、私はみんなと勉強がしたいだけなのだ。その事にうきうきしているだけだった。

 商店街に入ってすぐに小春は物珍しそうにしてあちらこちらを見渡す。紬はその事が気になり質問をした。

矢吹 紬

どうしたの小春ちゃん、何かあったの?

九十九 小春

いや、別に、余り来ないからいろんな店があるんだなって

九十九 小春

いやー改めて来ると以外だな

 教室で話した時もそうだった。以外と住んでいる街の事を知らないものなんだと感じたのは、私が引っ越して来たからだと思うのだが不思議な気持ちになる。

 そんな事は関係なく三人組は水野喫茶店に辿り着いた。

優木 キリン

ここが喫茶店ね。雰囲気があるわ

九十九 小春

なんだか昭和って感じがする。良く知らんが

 キリンと小春は昔からある建物に緊張しているようだった。私も最初は二人と同じような感覚があった。

 今となってはそんな感覚はなく、いつもの店と思っている。

九十九 小春

キリン、先に入れよ

優木 キリン

えっ、何でよ。自分で行きなさいよね

 遠慮がちな小春に押されてキリンは少しおどおどと喫茶店の扉に手にかけた。ゆっくりと扉を押すと小さくベルが鳴った。

 ビックと二人の体が同じ動きをする。

 そんな様子が面白く紬は必死に口元を両手で抑え笑うのを堪えた。

矢吹 紬

……ビ、ビックリするところじゃな……いよ

九十九 小春

な、別にビックリしてないよな!

優木 キリン

そうだね。早く入りましょう。お店の人に失礼でしょ

矢吹 紬

うん、そうだね

 何事もなかったように席に付いた。中は相変わらず人が居ない。水野さんが言ってた通りに今時は人が少ないらしい。

 二人も曲が居ない事を気にしているようだった。

水野 エリナ

いらっしゃいませ。あれ? 紬ちゃんのお友達?

 店の奥から小走りでエリナが駆けつけた。エリナは紬が居る事がわかると嬉しそうだ。

矢吹 紬

はい、そうなんです。九十九ちゃんと優木ちゃんです

九十九 小春

どうも、九十九小春です

優木 キリン

優木キリンです

 紬に紹介されて何処か恥ずかしそうに二人は返事をした。

矢吹 紬

今日はテスト勉強をしに来たんですけどいいですか?

水野 エリナ

うん、大丈夫だよ。私もここでテスト勉強してたから

水野 エリナ

けど、コーヒーは注文してね

矢吹 紬

はい

 三人分のコーヒー頼んでエリナは厨房へ向かった。厨房へ向かったのを見届け、小春は驚いている様子で紬に話しかける。

九十九 小春

伊吹ってすごいな。お店の人と仲が良いとか常連みたいだな

矢吹 紬

そんな事ないよ。対して通ってないし、常連なんて

 常連と言えるほど通ってないはず、確か今日を合わせて八回目だっけな。ただ、水野さんと仲が良いだけ。

優木 キリン

そうかな、水野さんだっけ、顔と名前を覚えられているだけで私は常連客だと思うけどな

矢吹 紬

いやいや

 両手を小さく降って否定した。

 大きく否定しまうと何か大切な物までを否定しているようで嫌だった。何かの正体はわからないけど否定してはいけない物なのはわかる。

 そうこうしているうちにエリナはコーヒーを持って来る。

水野 エリナ

おまたせしました。コーヒー三つです

 テーブルにコーヒーとミルクを人数、分置いてエリナは会釈をした。

水野 エリナ

テスト勉強頑張ってね

矢吹 紬

はい、がんばります

九十九 小春

はーい

優木 キリン

ありがとうございます

 軽く手を降ってエリナは厨房へと戻って行く、その時に紬とエリナの目が合った。目が合う事なんて良くある。気まずくなって直ぐに逸してしまうのが普通の反応だ。

矢吹 紬

…………

水野 エリナ

…………

 だが、今日に限って長く目が合った気がした。

 気のせいかもしれないが偶然ではないと想う。

キスの味はコーヒーでした(2)

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