怪談をすると霊が寄ってくると良く聞くが、こうな事になる伏線だとでも思うまい。

 実に奇妙だ。美野の体ではない他人の姿をしている。鏡を覗くように他人の顔も自分を覗いていた。

 同じ動きをする自分ではないガラスの自分は気味が悪かった。

 ガラスに映る金色の髪を二ヵ所に束ねてたツインテールを触れようとした。しかし、髪の毛には触れず通り過ぎてしまう。まるで立体映像に触れたみたいだ。

 不思議だ。本来なら触れられるはずなのに、そこに髪がないみたいだ? おかしいな自分の髪の毛はある感覚はあるのにな。

 服装も変わっていた、独特なセンスをした服を着ている。

 しかも、この現象は美野だけに起こっているのではない。隣に居る伊月にも起こっていた。けれど、伊月はガラスに映る他人の名前を知っていた。伊月が言うにはパニーチェと言うらしい。

 つまり、美野と伊月ちはパニーチェになっている。

美野 一四日

その、パニーチェさんって、誰ですか?

槇木 伊月

そっか、美野さんはパニーチェを知らないんですね

槇木 伊月

安心してください。パニーチェは私達と同じAnotherの仲間です

美野 一四日

仲間、そっか七人居るんだっけ

槇木 伊月

はい、こうなっているのはパニーチェの異能力の影響ですね

 境界の管理人異能力部隊Anotherは美野が加わって七人になった。その一人がこの状況を起こしている。

 何らかの形でパニーチェは異能力を発動させたらしい。

槇木 伊月

パニーチェの異能力は投影です。自身に他人の姿を映したり、こうやって人に自分の姿を映す事も出来ます

槇木 伊月

どうして、こんなところで異能力を使っているかわかりませんが。イタズラでこんな事するような人ではないんですけどね

 イタズラに使わないか。とすると、どうしてこんな事をしているんだろう?

 理由を考えようとしたが、ガラスの向こうが騒がしくなった。ガラス越しに居る飲食を楽しんでいた客もパニーチェになっていた。

 遠くからも騒がしい声が聞こえる。恐らく違う場所でも同じ事が起こっているのだ。美野と伊月は騒がしい方に向かうと異常に気付く、それは愛和百貨店に居る人達が全てパニーチェの姿をしているんではないだろうか。そう勘違いするほどの数のパニーチェが見えた。

 中央に出てわかったが多くの人が異能力の影響を受けている。パニーチェの姿になった人は混乱しているようだ。

槇木 伊月

ウムム、おかしいです

美野 一四日

パニーチェさんはどうしてこんな事を?


 良く観察すると、子供や背が高い男性はパニーチェの姿になっていない事がわかった。どうやらパニーチェの異能力には制限があるらしい。

槇木 伊月

どうしてですか? 確かに疑問ですね

美野 一四日

ここまで異能力を使っているなら、何かあったのかも

槇木 伊月

……何か、ですか、そうですね

 伊月はスマホを取り出した。パニーチェの居場所を聞こうと電源を入れて操作していたら蒼衣から連絡が来ている事を知って電話をかけ直した。

 どうやら重要な連絡らしく集中して聞いていた。そんな時だった。下の階層がどよめく、何かと思い美野は下を眺めると男と女が数人を連れて何かを話していた。

 耳を傾けると外に出れないやら門の教団と言う声が聞こえた。

美野 一四日

伊月ちゃん、門の教団って

槇木 伊月

えっ、マジっすか。タイミング悪すぎなんだよなぁ


 伊月は下を覗くと騒ぎの中心を確認をした。そしたら嫌な顔を見せた。

槇木 伊月

げ、あの二人は門の教団の幹部じゃありましんか

美野 一四日

幹部

槇木 伊月

男の方は群馬榎(グンマエノキ)元ヤクザのヤベーやつ、女の方は沖田アシン(オキタアシン)は元格闘家、そして二人共異能力者です


 見下ろす先の男女の正体を知って恐ろしいと思った。話を終えた榎は一階にアシンを残し周りに居る手下を連れてエスカレーターを昇り始めた。

槇木 伊月

まずいですよ。これは、どうしましょう蒼衣さん

 電話の向こうの蒼衣に問いかける。

 そうこうしているうちに何か確信ついてるように榎は昇り続けている。

メビウス・ザ・ループ(13)

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