平日の愛和百貨店は混雑とは言えない人の多さだ。苦労する事なく美野と伊月は楽しみながら歩いていた。

 軽々と会話をしつつ、流行りの服を見たりアクセサリーを見て回っていた。色々と店を回り伊月は何か思い出した様子で疑問を投げかけた。

愼木 伊月 

ところで美野さん、学校の七不思議ってあるじゃないですか?

美野 一四日

うん、あったね。懐かしいな

愼木 伊月 

美野さんの学校だと何がありましたか

美野 一四日

うーん、そうだな。色々あったけど、トイレの花子さんはあったね


 よく覚えてないがトイレにお化けが出て来ると言う噂は何故か覚えていた。トイレが関係しているから覚えていたのだろう。

愼木 伊月 

やっぱり、どの学校にも花子さんは居るんですね

美野 一四日

うーん、そうだね

 有名な都市伝説だ。

 どこの小学校でも一度は学校の七不思議もといトイレの花子さんの話で盛り上がるものだ。伊月の学校もそうだったのだろう。

愼木 伊月 

ちなみに美野さんの学校は花子さんは何人居ましたか?

美野 一四日

えーと、トイレの花子さんだよね

愼木 伊月 

はい、その花子さんです。それに今時は花子はクラスメイトには居ませんよ

愼木 伊月 

さて、私の小学校はトイレの花子さんが二人、居たんですよ


 私は怖い話を聞こうと身構えていたが伊月ちゃんは少し違う角度の事を言った。

美野 一四日

二人?

美野 一四日

トイレの花子さんって二人居たっけ?

 珍しい。対外トイレの花子さんは一人だったはずだ。学校の何処かのトイレに現れる少女の霊、白いシャツに赤いスカートを履いているおかっぱ頭の少女、このイメージが強く印象がある。

 その花子さんが二人いるそうだ。

愼木 伊月 

二人居るんですよ。まあ、私と兄貴のせいなんですけどね

美野 一四日

お兄さん。ああ、太誠さん

愼木 伊月 

はい、小学生の時なんですが私が三年生で兄貴が六年生の頃、兄妹間で都市伝説ブームがありまして学校の七不思議を作る感じになったんですよ

愼木 伊月 

それで噂を付きまくったんですよ。ウヘヘ

 少し恥ずかしそうに伊月は物事の筋道を語る。
 単純な事だった。噂を付きまくった。つまり噂を広めたのだ――二人で。

 広めた噂はトイレの花子さんを小学生なりに改変したものだ。その噂を槇木兄妹は流した。太誠は上級生に伊月は下級生に噂を流しまっくたのだ。

 作り出したトイレの花子さんは信じられ学校中に広まった。しかし、小学生なのかズレがあった。それはトイレの階層だった。

 どちらが間違えたか今となってはわからないが花子さんの現れるトイレの階層を二階と三階で間違えてしまったのだ。そのせいで二人のトイレの花子さんが生まれ新しく噂もとい学校の七不思議になってしまった。

愼木 伊月 

これが今でも双子の花子さんとして学校の七不思議の一つになっているんですよね

美野 一四日

双子の花子さんですか


 どんな過程でさえ都市伝説は生まれ語り継がれる。タネを知ってしまうと拍子抜けしてしまうが。

美野 一四日

お兄さんと仲がいいんですね

愼木 伊月 

ウヘ、そんあ事は


 そんなこんな話していて、そろそろお昼時で丁度お腹もすいていた。何処か美味しそうなお店を探していた。ガラス越しに店の中を覗いていたら奇妙な異変に気づいた。

美野 一四日

あの、伊月ちゃん。間違っていたら教えてね

愼木 伊月 

はい、何ですか?


 美野は店のガラスを指を指した。

美野 一四日

ガラスに私じゃない人がいる

愼木 伊月 

……なんと

 私は普通ではありえない異変をありのままを伝えた。普段ならガラスには自分の姿が映っている。

 しかし、自分じゃない顔、服装をした誰かがガラスに映っていた。

愼木 伊月 

パニーチェさん

 伊月はガラスに映っている自分の姿を見て、ある人物の名前を挙げた。

 愛和百貨店の入り口、門の教団の幹部が二人佇んでいた。本来ならこの中に逃げ込んだ人物を捕まえに来たのだが、それが出来ない状況になっていたからだ。

???

くそ、面倒くさい異能力だ

???

まさか、ここのお客さん、全員の姿を変えるとはねぇ

 愛和百貨店の中で異変に気づき始めた客の様子を眺めている。同じ姿をした多くの人が慌ただしくしていた。捕まえるはずの人の姿でだ。

メビウス・ザ・ループ(12)

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