【2036年、イバラキ。桜ココア】
【2036年、イバラキ。桜ココア】
あれから、1年が経った。
マイアちゃんは姫の地位を失い、アリオス君は近衛騎士の任を解かれた。
そして、私とマイアちゃん、アリオス君はあっという間に仲良くなり、毎日を共にしている。
ほら、ココア! 先に行くわよ!
待ってよ! 危ないよマイアちゃん!
……。
皆で『桜道場』を掃除し、稽古し、『マァサお母さん』の食事を摂る。
お母さんが笑い、『壱貫お父さん』が笑い、シャウラちゃんが悪戯をしてお父さんに怒られる。
その間に立ってアリオス君が仲裁を採り、私とマイアちゃんがそれを見て笑う。
そんな、いつもの日常だった。
行ってきます、ココアさん。
気を付けてね、アリオス君!
『マイアちゃんには一生の秘密』という事でアリオス君が『影からマイアちゃんを護る黒き仮面の騎士』を務めている。
……。
マイアちゃんは、自身を守る騎士に、心からのエールを送っていた。
そして、――その正体がアリオス君だという事に彼女は気が付いていると思う。
アリオス君は、マイアちゃんから感謝されると同時に、多くの人に恨まれていた。
……まま、
絶対に殺してやる!!
イングリアには『黒き仮面の騎士』に親を殺された子供も居た。
イングリアから降りてきた子供達の恨み込められた瞳を、ナイフを、アリオス君は1人で受けている。
全てはマイアちゃんに秘密の事だった。
今日は何する? ゲーム? それともショッピング?
私、新しい服欲しいんだぁ!
……。
それでも、
私とマイアちゃん、アリオス君は、親友だった。
アリオスちゃん、弱すぎましゅ♪
そ、そんなバカな、
『武道ド素人のお母さん』に剣道であっさり打ち負かされるアリオス君。
おじさま! こんな感じでいいですか!
ああ、よく出来てる。
お父さんに料理を教わるマイアちゃん。
……あによ?
どこでも怠け者、ポテチを手?に昼ドラを嗜むシャウラちゃん。
みんなみんなが仲良しで平和だったこの日本に、
正確には、日本と『日本と同盟を組んだイングリア』に、
2036年8月ラスト・デイ。
地球連合国の軍隊が、……宣戦を布告したんだ。