長く続いた会議が終わり人が居なくなる。騒がしかった部屋に美野だけが部屋に残っていた。

 美野は痺れた足を崩し座っている。三列に並べられた低い机は一人には広く感じる。

 会議の内容はいまいちわからなかった。龍脈の流れとか名も無き物だとか知らない単語でついて行けなかった。

 しばらく経って五十嵐が襖を開けて入ってきた。

五十嵐 冬夜

十四日ちゃんお待たせ

五十嵐 冬夜

退屈だったでしょう。おっさんの長話

美野 一四日

いや、そんな事は

 私はおどおどと反応した。五十嵐さんの言ったことはあながち間違ってないからだ。

 五十嵐は微笑み美野の隣に座る。

五十嵐 冬夜

ところでさ、十四日ちゃんって珍しい名前だね

美野 一四日

生まれた日が十四日だったのでトヨカにしたらしいです。単純ですよね


 私はもう少しこだわって欲しかった。友達は覚えやすいと言ってくれたが、あまり納得していない。

五十嵐 冬夜

そうかな。僕なら嬉しくて自分の子供に生まれた日を付けるかな

美野 一四日

嬉しくて……

 親が子供に名前を付けるのはそんな感じなのかな。考えたことが無いからいまいちわからないな。

 親がどんな理由で名前を付けるのか、親になればわかるのだろうか?

協力者

息を吸うようにナンパをするんじゃない

 協力者が部屋に入ってくる。

 協力者の後ろに同い年の男性と高校生ぐらいの女の子が立っていた。

 私を見ている?

 部屋に入ってきた女の子は私の事を見ていた。私と目が合うとそらされた。

五十嵐 冬夜

これがナンパに見えるのかい? ねぇ、美野ちゃん


 五十嵐は美野の肩を抱き寄せた。

美野 一四日

五十嵐さん!


 急な事にびっくりした。私は緊張で身動きが取れなかった。そのせいで五十嵐に好きなようにされている。

協力者

いい加減にしろ


 協力者は五十嵐を羽交い締めにして美野から遠ざけた。五十嵐はむくれて協力者を睨みつ得た。

協力者

何か用か

五十嵐 冬夜

……別に


 五十嵐は状態を起こし適当に座布団に付いた。協力者はため息を吐いて美野に話しかける。

協力者

すまなかったな。こいつと二人きりにして

美野 一四日

大丈夫です。びっくりしただけなんで

 美野は慌てて立ち上がり協力者の目線に合わせた。

 彼に悪気はなかったのだろう。ただ異性にあそこまでされたことに驚いただけだ。そんな事よりも協力者と一緒に入ってきた名前を知らない二人の事が気になる。

 しかし、この二人には見覚えが合った。確か、会議の時に見たな。

美野 一四日

その、二人は

協力者

そうだった。二人は俺達と同じ異能力者だ

協力者

そして俺達の仲間だ

美野 一四日

仲間ですか


 私と目が合った同い年の男性が口を開いた。

愼木 太誠

はじめましてだな、俺は愼木太誠(マキタイセイ)だ。こっちは妹の愼木伊月(マキイツキ)だ。伊月挨拶だ

愼木 伊月 

ど、どうも、始めまして美野さん


 緊張をしているのか、あまり目を合わせてくれない。

愼木 太誠

おいおい、そんなんじゃ駄目だ


 伊月の様子に納得がいかないのか太誠は注意をした。

愼木 太誠

いいか、挨拶は声を出せ、伝わらんぞ

愼木 伊月 

あーもう、ここは体育会系の部活じゃないの兄貴

愼木 伊月 

兄貴は恥ずかしくないのか!?


 大人しい性格と思っていたが違うようだ。伊月は早口で話し続ける。

愼木 伊月 

美野さんはどこから見ても美人でしょうが! 私の理想の姉なんだよ! つまり美野さんは姉なの!!


 意味は不明だが熱がこもっていた。最初は大人しそうな印象がまるで嘘のようだった。

愼木 太誠

すまん。こんな妹だが仲良くしてくれ


 深々と頭を下げる。伊月は恥ずかしさを隠すように太誠の前に出た。

愼木 伊月 

あー、止めて兄貴、仲良くするからむしろ仲良くなりたい、私の株を兄貴で下げないで


 伊月は慌てた様子で言い訳をした。

美野 一四日

よろしくね。伊月ちゃん

愼木 伊月 

伊月ちゃん!! うええ、ありがとうございます。お姉様

愼木 伊月 

ハッ、お姉様なんてなれねれしかったですね。すみません

 照れた様子で太誠の後ろに隠れた。

 浮き沈みが激しい子だな。

美野 一四日

そんな事ないよ


 ある程度挨拶が終わりかけた時、襖を開けて誰かが入ってくる。

メビウス・ザ・ループ(7)

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