三月十日、この日『Most hope』の仕事は翔夜君のバースディライブだった。
 会場隅でライブの進行を見守りながら腕時計を確認する。
 僅かな光の中で時計が示していた時間は二十時手前だ。
 ライブ自体は終了時間になっているが会場はアンコールの声で溢れており、そろそろ着替えた二人が姿を見せる頃だった。

 数秒後ステージにスポットライトが当たる。しかしそれは一人分だった。
 会場がざわつく中、姿を現したのは翔夜君だった。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

皆、今日は僕の為に集まってくれてありがとー!皆に誕生日を祝って貰えて僕、すっごく幸せだよ!
これからも宜しくね!!

観客達

勿論だよー!


 堂々とステージに立ちそう言う翔夜君に会場からは歓声が上がる。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

僕の為に集まってくれた皆に向けて今日のアンコールは特別。
僕のソロを披露しちゃうよ!

観客達

きゃーーーーーー!

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

さぁ皆、準備は良いよね?
僕への頼みは?

観客達

君色に染めてー!


 翔夜君のコールに会場がレスポンスする。
 それと同時に翔夜君のソロ曲の前奏が始まった。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

この曲を僕の為に集まってくれた皆……僕の大切な人達に捧げるね!


 そうして少年らしさが残る高さながら……力強い歌声で彼は曲を歌い始めたのだった。

 翔夜君のソロ曲が終わった後に終夜さんも登場してラストは『Most hope』の曲で締め、ライブは終了となった。

控室で汗だくの服を着替えたばかりの二人に労いの言葉をかける。

二人とも、お疲れ様。すっごく良かった!

中将終夜(ちゅうじょうしゅうや)

プロデューサーもお疲れ様。それなら良かったよ

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

お疲れ様おねーさん。僕のソロ凄かったでしょー!


 すぐに終夜さんが返してくれ、翔夜君が嬉しそうに寄ってくる。

うん、あんな大きな会場でやったのに全然ミスとかも無くって……凄く格好良かったよ


 笑顔で返せば彼も笑う。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

えへへーおねーさんに褒められた

こうやって見ると無邪気で可愛い子供なんだけどなぁ


 嬉しそうな彼にそんな事を思った。

中将終夜(ちゅうじょうしゅうや)

そういえばプロデューサー、この後家に来るんだったよね?

はい、そういう話になっていたかと思います


 問い掛けて来る終夜さんに頷く。
 この間翔夜君がラインで尋ねた時、終夜さんはすぐに良いと反応してくれていた筈だ。

中将終夜(ちゅうじょうしゅうや)

それなら早い方が良いね。余り遅くなると帰りが心配だし

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

そうだね。おねーさん……もう僕達は準備出来てるし行こう?


 終夜さんに続けて翔夜君がそう言って手を差し出してくる。
 終夜さんが見ていると思えば恥ずかしい気持ちもあったけれど静かに待っている彼の様子に……荷物を持って手を重ねた。

『Fratello』【中将翔夜誕生日番外編5/6】幸せな食卓5

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