翔夜君に母の味を意識して貰いたいという事で夕食のメニューはご飯と味噌汁、それから肉じゃがにほうれん草の白和えというメニューで作る。

翔夜君は辛い物が好きだからカレー風味とかにしてみようかな


 何時もは自分用しか作らないからこんな風に誰かの事を考えて作るのも久し振りで、それが私も楽しかった。

おまたせ!


 数分後に料理が出来、食卓へと運ぶ。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

僕も運ぶの手伝うよ!


 作っている間は静かに待っていてくれた翔夜君もそれに立って手伝い始めてくれる。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

すっごく美味しそう


 燥(はしゃ)いだように言うその様子が可愛く思えた。

何時もは終夜さんが作ってるんだよね

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

うん、そうだよ。お母さんは忙しいし付き合いとかがあってそんな家に居ないし、お父さんも海外に居る事が多いから年に何回かしか会えないから

そっか……

翔夜君は普通に言うけど……私なら寂しくなっちゃいそう

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

僕も手伝おうとするんだけど、終兄にいっつも止められるんだよねぇ……危ないからって。
僕を幾つだと思ってるのかな


 続いて翔夜君はそう言って苦笑した。

でも確かに終夜さんならそう言いそうだね


 私もそれに苦笑で返す。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

でもずっと終兄に作って貰ってる訳にもいかないだろうから僕もちょっと覚えたいんだよね。
だから今日は御馳走してくれるって事で任せちゃったけど……今度は一緒に作ろうね、おねーさん


 そう言って彼は悪戯っぽく笑う。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

まぁプロデューサーちゃんと一緒にやっていて何もしないかは保障出来ないけどね

…………!


 その言葉に思わず赤くなってしまった。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

あれ、おねーさん?今何考えたの


 悪戯っぽく問い掛けて距離を縮めて来る彼に更に赤くなる。

なっ何も考えてないよ!
そ、それよりほら!早く食べないと冷めちゃうから!!


 恥ずかしくなって慌てて返す。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

まぁそれもそうだよね


 翔夜君はそう返してくるが、それと同時に頬に温かい感触があった。
 頬にキスされたとわかり赤くなれば……耳元で彼の声がする。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

俺の為にありがとう、プロデューサーちゃん

 更に赤くなる私だったけど……対する彼は何事も無かったかのように席に就いた。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

頂きます


 そう言う彼に私も同じように手を合わせる。
 それを合図に食べ始めた。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

この肉じゃがカレー風味だよね?何時も食べてるのと全然違う

うん。翔夜君は辛いのが好きだから普通のよりも好きかなって


 興奮したように言う彼に緊張気味に返せば彼は嬉しそうに笑った。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

うん、僕これ……凄く好きだよ


 その『好き』は自分の事では無いとわかっているのにドキッとしてしまう。

そ、そう?それなら良かった


 少し照れてしまいながら言えば彼は頷きながら微笑む。
 幸せそうなその笑顔にまたドキッとしてしまった。

翔夜君って……こんな幸せそうに笑うんだなぁ


 ここ数日は仕事中の彼の様子しか見ていなかったせいで余計にその笑顔が輝いて見えた。

こんな表情……私しか知らない


 それが嬉しかった。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

終兄の料理も美味しいけどおねーさんの料理はもっと美味しく感じる。
何でだろうね?


 上目遣いでそう問い掛けて来る彼に考えずに言葉が出る。

そりゃ愛情込めて作って……あ


 思わず言ってしまった言葉に自分で赤くなった。

わ、私ったら何言ってるんだろう!?


 考えて更に赤くなってしまう私に翔夜君は悪戯っぽい笑みを浮かべる。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

ん、なぁにおねーさん?ちゃんと聞きたいな

な、何でも無いよ!?

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

……言ってくれないの?


 私の言葉に翔夜君は今度は寂しそうな表情を浮かべる。
 それを見ると言わない事に罪悪感を覚えてしまう。

そ、その……


 心臓の鼓動が激しくなる。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

…………


翔夜君はそんな私の様子を黙って見ていた。

愛情込めて作ってるから。
作りながら翔夜君の事考えて色々工夫したしね

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

…………


 何とか言えば彼は沈黙し、それから言った。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

……意地悪な事言ってごめんね?本当はちゃんと聞こえてた。
だから俺……嬉しくてしょうがないんだ。こうやって君が俺の事を思ってくれてるって事を本当に幸せだって思う


 そう言う彼は照れ臭そうで、それが愛しかった。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

又こうやって作って欲しい。それだけで俺、すっごい幸せだから


 照れ臭そうに言う彼に笑顔で返す。

うん勿論。何度だって作ってあげる。これからもずっと一緒に居るつもりだからね

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

……有難う


 言いながら翔夜君も笑う。
 それに笑顔を返しながら思った。

誕生日当日は翔夜君の家で……好きな物を作ってあげたいな

ねぇ翔夜君、三月十日の仕事が終わった後なんだけど……翔夜君の家に行っても良いかな?

十日はライブが二十時までの予定で送迎係は私。だから帰りに送るついでに行ければ

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

……え?


 翔夜君は驚いた表情で固まった。

……あれ?不味かったかな

十日は私が仕事の送迎係だったし、そのついでのつもりなんだけど

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

……あ、そうだよね……。
ええっと……終兄に確認してからでも良い?

?うん

何でそんなに慌ててるんだろう


 不思議に思いながらも頷けば

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

じゃあ食べ終わってから確認するね。それで良いよね?


 そう問い掛けて来る。それに私は頷いたのだった。

『Fratello』【中将翔夜誕生日番外編4/6】幸せな食卓4

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