大急ぎで階段を駆け下りれば翔夜君の姿はすぐに見付かる。
 彼は兄でありユニットメンバーの終夜さんと共に歩いている所だった。

翔夜君、終夜さん!


 声を掛ければ驚いた様子で二人は振り返る。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

え、おねーさん?

中将終夜(ちゅうじょうしゅうや)

プロデューサー……そんなに急いでどうしたんだ?


 口々に問い掛けて来る二人に理由も考えずに走って来ていた事に気付く。

翔夜君に会えると思ったら気が逸ってつい走って来ちゃった……

…………


 今更ながらに恥ずかしくなり思わず沈黙してしまう。
 そんな私に何を思ったのか終夜さんが口を開いた。

中将終夜(ちゅうじょうしゅうや)

ごめん……野暮な質問をしたな


 言いながら彼は苦笑する。

中将終夜(ちゅうじょうしゅうや)

今日この後翔夜を送って貰っても良いかい、プロデューサー?

え!?あ、はい!
勿論です!!


 慌てて返事をすれば彼は一礼する。

中将終夜(ちゅうじょうしゅうや)

それじゃあ後は頼む。
翔夜も彼女をちゃんと守れよ

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

わかってるよ、終兄


 それに翔夜君が返せば終夜さんはもう一度礼をして去って行った。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

仕事は終わったんだよね、おねーさん?


 確認の意味を込めて尋ねて来る彼に頷く。

うん、つい昨期……終わったんだ

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

じゃあプロデューサーちゃんは仕事が終わったと同時に急いで僕に会いに来たんだ。
そんなに僕に会いたかった?


 そう言って悪戯な笑みを浮かべる彼につい照れてしまい、何も言えなくなる。

…………


 頬を赤くしながら黙り込む私に伝染したかのように彼も真っ赤になった。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

ちょっとおねーさん……ここは何か言うとこだよ!?

えっあっ……ごめん


 更に赤くなる私に翔夜君も同じように照れたような様子になる。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

プロデューサーちゃん……可愛過ぎて困る


 小さく漏らした声に更に赤くなってしまった。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

……帰ろっか

……うん


 その空気が居たたまれなくてそう言う声に頷いた。
 並んで歩き出せば彼が手を差し出した。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

誰も見てないから……手、繋ご?

そ、そうだね……


 躊躇いがちに差し出されたその手に手を重ねれば翔夜君が照れ臭そうに視線を逸らした。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

……一緒に帰れる事なんて考えてなかったから……僕今凄い困ってる

そ、そんな事言われても……私もどうすれば良いのかわかんないよ


 同じように照れてしまいながら返せば彼は少し沈黙する。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

…………


 話さなければいけない話題はわかってる。誕生日プレゼントの事だ。
 だけど緊張していたせいで中々その話題にいけなかった。

……わ、私買い物があるんだった!翔夜君……一緒に来てくれる?


 代わりに出たのはそんな言葉だった。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

う、うん。
わかったよ、おねーさん


 ぎこちないながらも翔夜君は頷いてくれる。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

行き先は決まってるの?


 尋ねて来る彼に頷いた。

うん。ちょっと『スーパー・リーベ』に用があるんだ


 『スーパー・リーベ』とは『ルフトデパート』という品揃えが豊富で安価だと有名なデパートにあるスーパーでこの付近では一番近いスーパーでもあった。

デパートなら翔夜君の欲しい物なんかもありそうだし、大丈夫……だよね?


 正直に言えばスーパーに用事なんて無く、緊張からの出まかせだ。
 だから自分にそう言い聞かせながら『ルフトデパート』に向かうようにするしか無かった。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

わかった、僕、荷物持ちやるね


 それでも翔夜君は疑う事無くそう言ってくれ、その言葉に私はホッとしたのだった。

『Fratello』【中将翔夜誕生日番外編2/6】幸せな食卓2

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