彩羽さんのプレゼントを避けた後再び私は仕分け作業に戻り、それから数分が経過した頃、事務所の外で足音が聞こえた。

 気になって視線を向ければ同時にドアが開いて1人の少年が入って来る。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

おはよう、おねーさん。早いね~


 入室して来たのは午後からの予定だった翔夜君だった。
 ついさっき彼の事を考えていたせいで予想外の登場に何となく慌ててしまう。

え、翔夜君!?今日は午後からの予定じゃ……

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

やだなぁおねーさん、こういう時の反応はそうじゃないでしょ?


 驚いて返そうとすれば歩み寄って来た彼が楽しそうに遮った。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

他に俺に言う事、無い?
俺は君と朝早くから逢えてすっごく嬉しいんだけど?


 耳元で囁かれ、思わずドキドキしてしまう。

そ、そりゃ朝から来るなんて知らなかったから逢えたのは私も……嬉しいけど


 照れながら返せば彼は楽しそうに笑う。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

ふふ、良く出来ました。ご褒美のちゅー


 同時に頬に柔らかい感触がして私は一気に赤くなってしまう。

も、もう……朝からドキドキさせられっぱなしだよ~!

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

プロデューサーちゃんすぐ赤くなっちゃって可愛いね

も、もう誰のせいだと……

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

俺のせいだよね、わかってるよ。でも辞めてあげない


 そう返す声と共に再び頬にキスをされた。

うう、意地悪……

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

君が可愛いから悪いんだよ?


 真っ赤になったまま返せば彼は相変わらず楽しそうにそう言い、続ける。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

とはいえ僕も今日おねーさんに会いに朝に来たって訳じゃないんだよね。会えるなら幾らでも会いたいんだけど


 その発言に又赤くなってしまいながらも午後から仕事で午前は学校だった筈の翔夜君がこの時間帯に事務所に来た理由は気になっていたから黙って続きを待つ。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

昨日の夜社長から電話があって、僕個人に仕事が来たから出張前にそれについて話したいって言われてるんだ

そっか。それで彩羽さんも今日早かったんだ


 彼の言葉につい昨期会った彩羽さんとの会話を思い出し、そんな風に返す。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

って事はおねーさんは社長と会ってるんだね


 訊いて来る彼に頷く。

うん、つい昨期まで一緒にバレンタインの贈り物の仕分けをやってたんだ

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

あー毎年恒例のあれだね。今年はおねーさんも仕分け係なんだ

うん、だから今日もちょっと早く来てやっていたの


 そう言えば翔夜君は私の手元を見て、次いで自分も贈り物の山から一つを手に取った。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

おねーさん一人だと大変でしょ?僕も手伝うよ

え、良いの?でも彩羽さんとの約束があるんじゃ……

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

ちょっと早めに来たから平気だよ。社長と話すのは今から三十分ちょっと後。
だから社長も出張の準備でもしてるんじゃないの?事務所に居ないし

そういえば彩羽さん準備があるって言ってたかも……


 翔夜君の言葉に思い出して言うと彼は艶っぽい笑みを浮かべた。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

それに折角朝からおねーさんに会えたんだし、色々したいよね?

い、色々って……っ

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

あれ、プロデューサーちゃん。今いやらしい事考えたでしょ?

そ、そんな事無いよっ!

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

どうかなー?まぁ流石に朝からそんなに何かしたりはしないけどね。
僕だって仕事で来てる訳だし


 そんな風に言いながら翔夜君も仕分け作業を始める。
 慣れているのか詰まる事も無く順調に作業が進んでいくのがわかった。

毎年恒例って事は翔夜君は良く仕分け作業をしているの?


 訊いてみると彼は頷く。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

うん、子役時代はもう仕分けられた物が届いてたって事もあって物珍しかったから手伝う頻度は多かったと思うよ

そうなんだ

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

ファンの子達の文章を読むってのも面白いからね。宛先によって特色があったりもして

確かにそれはそうかも……年齢層なんかもユニットで結構違うし、外国人の人から人気の所とか日本の人に人気の所とかもあるし……

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

他にも言葉遣いとか言い回しとかもそれぞれで、見ていて面白いよ。
特に銀河ちゃん宛のファンの子なんかはかなり考えて書いてる気がするよね

確かにあんまり見ない漢字を使ってる人ばかりだよね……丁寧に振り仮名まで書いてあって……最初見た時はちょっと驚いたなぁ


 話しながら作業をしているせいか、今までよりも作業速度が速くなっている気がする。

こうやって話ながら一緒にやるって……楽しいな


 思わず笑顔になってしまえば翔夜君が不思議そうな表情をした。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

おねーさん、何か楽しそうだね?

うん、翔夜君が手伝ってくれてるから……


 思ったまま言えば隣に居た彼が肩を預けて来る。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

……そういう可愛い事を言うと仕事に行きたくなくなっちゃうでしょ


 そう言う彼の頬が微かに赤く染まっていた。

そういう翔夜君が可愛い、なんて言ったら……怒られそうだな


 そんな彼の様子に内心で思いながら苦笑した。

『Fratello』【中将翔夜バレンタイン番外編2/5】BitterValentine2

facebook twitter
pagetop