五分程度の位置にあるホテルだったのが幸いしてどうにかパーティーが終わる前に到着する。

 私は一度部屋に戻って衣装を整え直す。
 それからパーティーで渡す予定だったプレゼントを持って外へ出た。
 待っていた蘇芳とエスコート程度の手の繋ぎ方で会場入りする。

 招待客達は大半が食事を終え、思い思いに談笑をしていた。
 主役の浅葱も空いている様子だった為、彼の許へ向かってプレゼントを渡しに行く。

浅葱、誕生日おめでとう。これ蘇芳と選んだデザインノートなんだけど

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

ああ、有難う。突然の呼び出しになってすまなかったね

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……嫌、俺も時間を見忘れてたから助かった

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

はは……楽しそうだったようで何よりだ


 そう言ってウインクする彼に色々思い出して照れてしまう。

そ、そういえばさっき私……凄い大胆な事を……っ


 それを思い出すとドキドキしてしまい、そっと隣の蘇芳を盗み見た。

……蘇芳は普通そうだな……


 それにホッとしたような悔しいような気持ちになった。

 やがてパーティーは閉会の言葉に終幕となる。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……送ろうと思うけど、どうする?このまま戻る?


 周囲に人が居る為、小声で蘇芳が尋ねてきた。

着替えたいとは思うけど……ちょっとその前に外に出たいかな


 私も同じように小声で返す。
 送って貰うにしても私の部屋はすぐ近くだ。
 そう思うとそのまま戻るのは嫌だった。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

わかった

 小声で蘇芳は頷き、会場を出ると部屋に戻ろうとする人々とは別の方向へ向かう。
 手を引かれるまま進めば喫煙所を抜け、その先にあるバルコニーへ出た。

 冷たい風が心地良く、ホテルに施されたイルミネーションが綺麗に見えた。

 思わず見惚れていると大きな音が鳴り響く。
 驚いて見れば花火が上がり、夜の闇を明るく照らした。

わぁ……凄い


 思わず呟くと蘇芳が解説してくれる。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

毎年二十四日と二十五日にはこの付近で花火大会が開催されるんだ。とはいえもうそろそろ終わりになると思うけど


 確かにそのようで、次に上がった一気に花開く花火が最後を飾る物だと感じた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

明日は財閥のクリスマスパーティーになるけどそこまで長くないから……もっとちゃんと見れると思うよ

そっか……なら一緒に見たいね

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……俺も誘おうと思ってた


 私の言葉に蘇芳は嬉しそうだった。

特別な時は一緒に過ごしたいって同じように思っているのは……凄く嬉しいな

天領蘇芳(てんりょうすおう)

うん、じゃあ……一緒に行こうよ

うん、そうだね


 私が言えば彼が答え、そのまま抱き寄せられた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

プロデューサー、ごめんね


 ふと彼が言う。

え、何が?


 尋ねれば彼は相変わらず申し訳なさそうに言った。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……首にマーク、ついてるから

えっ!?


 言われてみればつけられても可笑しくなかったと考え付く。

あの時のあの痛みはじゃあ…………っ


 思い出せば恥ずかしくて顔から火が出そうだった。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

俺の物だって証が……欲しかったんだ。君がどこにも行かないように、誰の目にも留まらないように……


 切なく響く声が心臓の鼓動を激しくする。
 だけど彼が愛しくて、強く抱き締めた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

プロデューサー?


 驚いたように呼ぶ彼に言う。

……大丈夫。どっか行ったりしないよ


 そうして背中をさするようにすれば小さく頷いた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……うん、有難う


 小さく頷いたのがわかれば少し腕を緩めた彼に口付けられる。
 ドキドキしながらも受け止めればふと彼が尋ねて来たのだった。

『Fratello』【クリスマス・天領蘇芳誕生日番外編20/21】譲れないもの20

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