天領蘇芳(てんりょうすおう)

……俺の話聞いてた…………?


 呟くように彼が言う。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……もう俺、どうなるかわかんないよ?

 熱の籠ったその声に何も返せないでいれば……吸い付くような口付けがなされる。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……先行っても良い?


 尋ねられた声にぼんやりと酔ったような気持ちで頷けば再び口付けられ、彼の舌が唇を割るようにして入り込んできた。

 絡め取られるように口の中を嘗め回され、今まで以上に鼓動が高鳴る。

 唇が離れればふらつきながら、それでも求めるようにしがみ付いた。
 もう何も考えられず、唯ぼんやりとしているだけだ

 彼に触れられるのが心地良くて、それだけで良いような気持ちになっていた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……そんな反応されると俺、我慢出来なくなるよ

……よ


 そう言う彼に小さく答える。

……我慢しなくて良いよ


 雰囲気に流されるように大胆な言葉が出ていた。

 再び抱き寄せられて口付けられると、彼の舌が入り込んでくる。

……ん

……っ声が


 思わず妙な声が漏れ、頬が熱くなる。

……でも……辞めないで欲しい


 それでも快楽に流されるように彼に強く抱き着いた。

んんっ


 だけど長いキスに耐えられなくなったのは私の足で、ふらついたところを抱き留められる。

……すーっ……はー…………


 全身が熱い中酸素を求めて深呼吸すれば抱き寄せられる力が強くなった。

 密着した身体から自分の鼓動と同じ位彼の鼓動も激しくなっているのに気付く。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……俺どうすれば良いの?


 囁くような声が耳元で聞こえる。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

君が可愛過ぎて……もう止まれない。このまま攫ってしまいたい


 余裕無く紡がれる言葉に更に愛しい気持ちが大きくなった。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

俺をこんな風にさせた責任……取ってくれる?


 小さく頷けば首筋に吸い付くようなキスがされる。

あ……っ


 思わず声を漏らすと再び吸われ、チクっとした痛みがあった。

あ……駄目……っ

拒否しないといけないのに……触れていて欲しい

 結局私は彼にしがみ付いた。
 そんな時……

 蘇芳のスマホの着信音が鳴り響き慌てて私達は身体を離した。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

は、はいもしもし、兄さん?


 焦った様子で蘇芳が応対する。電話相手は浅葱のようだった。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

え!?わかったすぐ戻る


 彼はそう言って電話を切ると私に視線を戻す。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……もうパーティー終わりそうだって

え!?


 驚いて私もスマホで時計を確認すればもう二十時近くになっている。

何時の間にこんな時間…………っ


 時間も気付かない程舞い上がっていた事に今更ながら恥ずかしくなる。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……戻ろっか

うん……


 同じように照れた様子の彼が眼鏡を掛け直してから手を差し出す。
 それに手を重ね、それから私達は会場へ向かって歩き出したのだった。

『Fratello』【クリスマス・天領蘇芳誕生日番外編19/21】譲れないもの19

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