店員

そんなお客様には是非ともこちらの商品をお薦めします。今大人気のペアネックレスなんですよ


 そう言って店員さんが示したのはブラックカラーとローズカラーのペアネックレスだ。
 四角く形取られた石を鎖で繋いでいるだけのシンプルなデザインで、身に着け易そうでもある。

店員

こちらの商品はペアネックレスの中でも安価な商品になります。更にクリスマス割引でお安くしますよ?


 言われた通り商品の値段を見れば一万三千円。ペアで買ってこの値段は確かに安価だと思った。

……蘇芳どうする?


 尋ねてみれば彼は他の品と見比べてから言った。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

そうだな確かに他のと比べても身に着け易そうだし……俺はアリだと思う

じゃあこれにする?……私もこの値段でこのデザインは良いと思うし

天領蘇芳(てんりょうすおう)

そうだね。
じゃあすみません、これをください

店員

承知致しました。クリスマス割引で一万円になります


 その言葉に五千円ずつ出す。

何かこういうのって良いな……


 そう考えて嬉しく思う。

ちゃんと二人の買い物だって気がする……

店員

はい、丁度ですね。レシートはご利用ですか?

天領蘇芳(てんりょうすおう)

大丈夫です


 店員の言葉に蘇芳が答え、渡される商品を受け取ろうとすれば蘇芳が二人分受け取った。


 驚いて返してしまう。

それくらい持つよ?

天領蘇芳(てんりょうすおう)

嫌、大丈夫。こういう時は黙って俺に持たせてよ


 しかしそう言われてしまえばそれ以上言うのも憚られた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

それより君が持つのはこっち


 更にそう言って悪戯っぽく笑いながら差し出される手に恥ずかしくなってしまう。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

ほら、早く


 真っ赤になって止まった私を彼は楽しそうに急かす。

も、もう……急かさないでよ


 それに余計に照れてしまいながらも何とか握ればすぐに指が絡んだ。

店員

ありがとうございました


 そう言って見送る店員の声を背中越しに聞きながら……私達は外に出た。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

プロデューサー、まだ買い物とかある?時間的にはまだ三十分位余裕があるけど


 外に出て一端手を離した蘇芳がスマホの時計を確認しながら訊いて来る。

ううん、大丈夫


それに私が答えれば彼はスマホを仕舞い、手を差し出した。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

それならもうちょっと近くでイルミネーションを見よう

うん

 私はすぐに頷いてその手を取った。
 どちらからとも無く指を絡め、イルミネーションの方向へと歩き出す。

 そろそろ暗くなって来ている空にイルミネーションの光が良く映える。
しかし夕飯時というのもあってか、通りかかるような人は余り居ない。

夕飯を終えてから皆来るんだろうし……もう少し遅かったら混んでただろうなぁ


 そう思えばこの時間帯に抜け出して来れたのは良かったと思った。

綺麗……


 思わず感嘆の声を漏らし、ぼんやりと光に見惚れる。
 しかし手を引かれて我に返った。

蘇芳?


 呼んでみるが、彼もイルミネーションを見ていた為に視線が合わない。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

…………

何か用だったんじゃ……?


 不思議に思って彼を見詰めるが、相変わらず視線はどこかを向いていた。

まぁ何も無いなら……良いか


 結局そう結論付けて再びイルミネーションに視線を戻す。
 そこで漸く彼の声が聞こえてきた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

あのさ、プロデューサー

ん、何?


 呼ばれてもう一度見ると彼は何だか真剣な様子だ。
 不思議に思いながらも彼の言葉を待つ。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……ネックレス、着けても良い?俺が君に

えっ……


 まさかそんな事を言われるとは思わなかったから驚いてしまった。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

…………


 蘇芳はそんな私の言葉を黙って待っている。

……良いよ。ちょっと恥ずかしい気もするけど……着けて

 少し照れてしまいながら彼に背を向け、許可を出した。

『Fratello』【クリスマス・天領蘇芳誕生日番外編16/21】譲れないもの16

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