スモーキーはミネットに案内され、森へとやってきた。
木々が生い茂る中を、ふたりは黙々と歩き続けた。

スモーキー

ふう

ミネット

もう少しですから

しばらく森を進むと、大きな木箱が見えてきた。
木箱には蓋がついており、雨風にさらされて、酷く痛んでいた。

ミネット

これです

スモーキー

これか……

スモーキーはひざまずき、木箱にそっと触れた。

スモーキー

では、開けますよ

ミネット

は、はい

ミネットは怖くて後ろを向いた。

スモーキー

せーの!

スモーキーは木箱の蓋を開けた。

スモーキー

ミネット

ど、どうですか?

スモーキー

……からっぽですよ

ミネット

えっ!?

ミネットは木箱の中を覗き込んだが、なにも入っていなかった。

ミネット

ほんとだわ……!

スモーキー

魔女なんて、ただの噂だったんですよ

ミネット

……

ミネット

今日はありがとうございました。
本当に助かりました

スモーキー

いえ。
お役に立てて何よりです

ミネット

感謝しなくちゃ。
こんな若い体を手に入れたんだから……

スモーキー

え!?

ミネット

ふふ、冗談ですよ

スモーキー

わ、悪い冗談だなあ……

ミネット

では失礼します

スモーキー

お気をつけて

ミネットは静かに去っていった。

空は晴れているのに、雨が降り出した。

スモーキー

また天気雨だ……

辺りには、雨の匂いが生ぬるく漂っていた。

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