エン様から渡された資料には以下の内容が書かれていた。
罪人の罪状は『殺人』。
ただし、その殺人は正当防衛であり、それまでの品行方正な生き方から考えれば情状酌量の余地はある。
しかし、残念なことに今の地獄では、殺人を行った者は必ず等活地獄換算で500年分以上の罰を受けなければならない。
その理由は二つある。
一つは、罪は罪である以上、それが軽減されることは何があってもあってはならないというもの。
もう一つは単純に罪人の魂を浄化するのに必要最低限な罰が『等活地獄で換算で500年』というものなのだ。
もちろん人によるため、人によっては100年で浄化が済む場合があるが、個体差などによる標準偏差を考えた場合500年以下にすると次世代に罪人の魂をそのまま残すリスクが生じるのだ。
100人中100人が確実に浄化されるためには、それだけの時間が必要というのが地獄全体の考えというわけだ。
前者はともかく後者という事情がある以上、実行された罪に対する罰を軽減することは困難であると言わざるを得ない。