婚約の儀を終えて桐子と潤は話があると自分たちの両親に伝えた。

話は何かしら、桐子

お母さま、お父様。私のわがままを許してくれてありがとうございます

 桐子は頭を下げる。香奈美は話の続きを促した。

桐子、私はあなたの意思を尊重するわ。あなたがこれから言うことは予想しているから

 香奈美は内心喜んでいた。これはいい結末に進む道だということを知っていた。

私の友達、小牧千夏を家族にしてください

 桐子と潤は説明を始めた。意思が固い少女と少年の話を大人たちは聞き始めた。

ええ、無事に終わったわ。それで気になったことなんだけど

 一日が終わった夜、詩音は電話をしていた。相手は環奈だ。詩音はなんとなく疑問に思っていたことを環奈に言った。

ねえ、環奈の家ってどこかしら

 環奈は小牧千夏の住所を伝える。詩音はそれを聞いて落書きのことについて質問した。殺害を予告する落書きだ。環奈は知っていた。父親が調べていた事件を把握していた。

ええ、そういうこと。桐子が千夏を目撃したけれど、本当に彼女一人がやったことなのかしらって

 殺人鬼の娘が落書きで予告を伝えているのではないかという疑惑がある。そして詩音の中には小牧千夏がすべてやっているのかという疑問があった。

いつから落書きで予告を始めたのかはわからないけれど、私たちは町中を歩き回ったの。結構な距離よ。現場はあちこちで起きているわ。一定の期間でね。けど、そこは自転車で30分とか長距離なところもあったりして、そんな体力あるのかしら。私も人のことが言えないけどね

たしか6番目だったかしら。入学する前の事件。

 何番目だったかと忘れがちになっている。事件の感覚は半年に一度、だったが、3ヶ月に一度と変わりつつある。事件に対しては嫌な予感がすると詩音は思っていた。詩音の余計な世話かもしれないという疑問について環奈が少し黙った。そして環奈は小牧千夏に協力者がいることを話した。

落書きの目撃者がいるのね、それでその男子が……

 その男子のことなら任せろと環奈がいう。その男子は運が悪く、彼に関わろうとすると嫌なことが次々と起こるというものだ。

わかった。お願い

 通話が終わり、スマホをポケットにしまう。詩音は部屋に戻る。

 時は変わって、少年は戸惑っていた。この人の山はどうしたのだろうと。

足立 環奈

……

木原 悠月

……

……

 名も知らない女と同じ高校の男、そして個人的な知り合いの男が無言でいる空間に出てきたことを後悔した。

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