天領蘇芳(てんりょうすおう)

どうしてそんな事を訊くの?

クリスマス商品とか見てたから何となく気になったんだ

 どうにか平静を装って返すが、内心焦ってしまっていた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

そっか

 幸い蘇芳にバレた様子は無く相槌が返っただけだった。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……ねぇそんなプロデューサーはどうしてたの?クリスマス

え、私?

天領蘇芳(てんりょうすおう)

俺に訊いてるのに自分が話さないってのはちょっとずるいよ?俺だって君の事は知りたいんだし

 そんな風に言われると頬が熱くなってしまった。

今は一人暮らしだからこれといって何もしてないけど……実家に居た時は家族で祝ったりしたかな

 照れてしまったのを隠すように答えれば蘇芳は続けて訊いてきた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

って事は友達とか恋人とかと過ごすってのは……無かったんだね?

うん、そういえばそうかも

天領蘇芳(てんりょうすおう)

そっか…………

 頷いた私に返してくれる声はどこか嬉しそうだ。

……何か嬉しくなるような事、言ったかな?

 不思議に思って考えるが、良くわからない。

……まぁでも蘇芳が嬉しいなら良いか

 結局そう思う事にした。
 そんな私に蘇芳はもう一つ尋ねてくる。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

そういえばプロデューサー、兄さんから訊いたけど招待状届いてるんだよね?

え?あ、うん

 突然の話題転換に少し戸惑いながらも頷く。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……来るの?

うん、行くよ。仕事上の関係性を考えての招待なら下手に断る訳にもいかないし

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……確かにそうか

 素直に答えれば蘇芳は何かを考えているのか、複雑そうな表情をしている。

……何か気になる?

天領蘇芳(てんりょうすおう)

…………


 尋ねてみれば彼はまだ何かを考えている様子で沈黙が返って来た。

何か考えているなら……話して貰いたいな


 そう返せば小さな声が返って来た。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……だなって

え、何?

 良く聞こえなくて聞き返す。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

君が他の男の誕生日を祝いに行くなんて嫌だって思ったんだよ

 言いながら赤くなる彼につられて私まで照れてしまった。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

俺がとやかく言う事では無いなんてわかってるし……邪魔したいとか阻止したいとかそういうんじゃないけど……俺だって誕生日なのに他の男の所に行くのかなって

 そこまで言うと彼は自嘲気味に笑った。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

だからといって俺が当日一緒に過ごせる訳じゃないし……可笑しな話なんだけどね

 その言葉に私は首を振る。

ううん……気にしてくれて嬉しいよ

天領蘇芳(てんりょうすおう)

プロデューサー……

 驚いたように言う彼に私はある提案をする。

じゃあさ、蘇芳。一緒に浅葱の誕生日プレゼント選んでよ。そうすれば私だけが祝いに行くって事にはならないでしょ?

 それで彼の気持ちが無くなりはしないと思うけれど、少しでも軽くなれば良いとおもっての提案だった。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

うん、わかった

 頷く彼の表情が少し明るくなったのがわかる。
 それにホッとしながら私は彼の手を引いた。

 数店舗回って目的を達成するともう良い時間だった。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

プロデューサー、色々有難う

 送ってくれた蘇芳が笑顔で言うのに私も笑顔で返す。

ううん、私も楽しかったよ。唯勉強は明日からはしっかりやらないとね?

天領蘇芳(てんりょうすおう)

はは……そこはぶれないんだ


 蘇芳は苦笑混じりに言う。

そりゃプロデューサーとしてはプロデュース対象を赤点にして追試にする訳にもいかないからね

天領蘇芳(てんりょうすおう)

そこは他に言い方無いの?


 不満そうな表情を作る彼に苦笑する。

他の言い方して勉強に身が入んないと困るからね

天領蘇芳(てんりょうすおう)

って事は他の言い方があるんだ?それは気になるなぁ。そっちの方が俺、やる気出すかもよ?

……じゃあ一回だけ言うよ?

 そう言う彼に微笑んでみせる。

追試になると一緒に過ごせる時間減るから、そうならないように頑張って貰いたいかな

天領蘇芳(てんりょうすおう)

…………

 私の言葉に彼は驚いたように沈黙した。
 その頬が見る見るうちに赤くなっていく。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……その発言は反則

 やがて小さく呟いた彼に引き寄せられ、盗むように口付けられる。
 後からドキドキしてしまっていると一端身体を離した彼が呟いたのが聞こえる。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……眼鏡、邪魔だな

 そうして眼鏡を外した彼に余計に心臓の鼓動が高鳴った。
 再び引き寄せられれば盗むような口付けでは無く、吸い付くような口付けがなされる。

 何時も以上に情熱的な彼の様子に驚きながらも受け止めれば強い力で抱き寄せられた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……俺、頑張るから

 耳元で聞こえる囁くような声にドキドキしながら頷く私に彼が訊いてくる。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

良い点取ったら……ご褒美くれる?

 それに小さく頷けば首筋に軽い口付けがされた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……覚えといてね、頷いた事

 楽しそうに聞こえる声にもう一度頷くと頬にキスをされ、それからやっと彼は身体を離した。

 ぼんやりしたように見詰めれば互いの視線が絡む。
 それから数秒見詰め合うと蘇芳が一端視線を逸らし、それから言った。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

おやすみ、プロデューサー

うん、おやすみ蘇芳

 挨拶を交わせば蘇芳は名残惜しそうに私を見て、それから背を向けた。
 その後姿が見えなくなるまで見送り、それから私も家に入った。

『Fratello』【クリスマス・天領蘇芳誕生日番外編12/21】譲れないもの12

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