ううん、わかる気がする

でもそうするとアクセサリーをプレゼントにするのはちょっと難しいかな……

 私は頷きながら考える。

……でもそれだとプレゼントが難しいなぁ

 そんな呟きを漏らせば浅葱は言った。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

蘇芳のプレゼントで参考になりそうな事なら私は一つ知ってるよ

え……


 驚いて見ると彼は微笑を浮かべていた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

蘇芳が唯一大好きなものがある。
誰にも譲れない、譲りたくないと蘇芳が思うもの……貴女なら一番わかると思うけど

 そう言われて考えてみるが、中々それらしい物は浮かばない。

 唸る私に浅葱は続けた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

蘇芳の存在を誰よりも認めてあげられるもの……わからない?

うん……

 素直に頷く私に彼は苦笑する。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

でも私のあげられるヒントはここまで。これは蘇芳の為にも貴女が自分で気付かないといけない事だと思うから……

そっか……それなら頑張って考えてみるね

 そう言われてしまえば絶対に自分で答えを見付けようと誓う。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

見つけ易い方法を言うなら……蘇芳と一緒に過ごす事だと思う。頑張ってみて

うん、わかった。有難う

 助言をくれる彼に礼を言う。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

本当は私が欲しかった物でもあるんだけど貴女は恐らく気付かないだろうね

 小さな声で彼が何かを言っていたけれどそれは私の耳には届かなかった。

 そんなやり取りをしていると互いに弁当は空になる。
 腕時計を確認すれば丁度良い位の時間だった。

色々と有難う浅葱。そろそろ良い時間だし、戻る?

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

ああ、そうだな

 私の言葉に彼も同じように腕時計を確認すると荷物を片付け席を立った。

そういえば蘇芳は腕時計とかしてないよね

 ふとそんな事を思う。

でもそれで不便そうでも無いか……

 一瞬プレゼントの候補に上がったけれど、そんな理由から断念した。

プレゼントの事もう少し考えないとなぁ……蘇芳の大好きな物って何なんだろう

 そんな考えで一杯な私は配慮が欠けていたという事に後で気付かされる事になる。
 そのまま浅葱と並んで食堂を抜けてエレベータに向かった事が問題だった。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……あれ、兄さんとプロデューサー?

 見知った声に顔を上げればマネージャーさんと並んで階段を上がって来た蘇芳の姿がある。

あ、蘇芳。お疲れ様

 私は普通に挨拶を返すがふと彼の表情が曇った事に気付いた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……何で二人が一緒に居るの?兄さん用事ってまさか……プロデューサーと会う事じゃないよね?

 サプライズの事を考えていた私はこのままだとバレてしまうのでは無いかと思わず焦ってしまう。

え、ええっと蘇芳、あのね、これは

 言い訳染みた言葉を並べる私を庇うように口を開いたのは浅葱だ。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

用事を終えて弁当を食べる場所を食堂にしたらたまたま会って、仕事の相談をしてただけだよ。進行方向が一緒だからそのままの流れで一緒に歩いて来ただけさ。
良く考えたら不謹慎だったね。彼氏持ちの女性と二人になるなんて

 最後の言葉に反応してつい赤くなってしまうと突然蘇芳に手を引かれて驚く。

えっ

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……ちょっと来て

 驚いて間抜けな声を上げる私に少し怖い位真剣な彼の声が降って来た。

う、うん……

 理由もわからないまま頷くしか出来なくて、結局私は彼に引かれるがままにその場を後にする事になった。

『Fratello』【クリスマス・天領蘇芳誕生日番外編7/21】譲れないもの7

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