カフェでの勉強会を終えた後、蘇芳は何時も通り私を自宅まで送ってくれる。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

プロデューサー、今日は勉強見てくれて有難う

 そう言う彼に微笑んで返す。

お礼は結果を出してからだよ

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……まぁそうか

 蘇芳はそんな私の言葉に苦笑してから言う。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

そうだ、プロデューサー……これから暫く帰り際に勉強教えて貰っても良いかな?
まだ期末まで三日位あるから

うん、私は構わないけど……蘇芳は大丈夫?門限とか

天領蘇芳(てんりょうすおう)

兄さんはそういうの厳しいけど、俺の方はそうでも無いから大丈夫

そうなんだ……

 それにはどう返すべきか悩むが、そう言う彼が特に気にしている様子でも無いので結局何か言うのは辞めた。

それなら良いよ。何時もみたいに帰りに待ち合わせで良いかな?

天領蘇芳(てんりょうすおう)

うん、有難う

 私の言葉に蘇芳はそう言うとその手が伸びて来て引き寄せられる。
 そのまま唇が重なった。

 真っ赤になってしまう私に彼は言った。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……もう誰も居ないし、良いよね?

 心臓の鼓動が高まり、何も言えない私は唯頷く。

 額、頬、首筋……様々な部位に優しい口付けがされ、再び唇が重なる。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……好きだよ、プロデューサー


 唇が離れた後に耳元で愛しげに囁かれ、更に心臓の鼓動は激しくなった。

……私も

 応えようとする声は再び重なった唇に遮られた。
 どれ程の時間、そうしていたのか……。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……本当はずっと君に触れていたい。
だけど俺も……帰らなきゃ

 切なげな声の後再び唇が重なり、それから彼が身体を離した。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……おやすみ、プロデューサー

うん……おやすみ

 小さく返せば手を上げて彼が歩き出す。
 その後姿が見えなくなるまで見送り、私は家の中へと向かう。

 その途中でふとポストから半分見えた手紙に気付いた。

あれ?朝は無かった気がするけど……

 不思議に思いながらも手に取れば封蝋で留められた高級感漂うデザインの物だった。
 開けてみれば達筆で書かれた『招待状』の文字が目に入る。
 挨拶文から始まる手紙を読み進めると……

ええっと……十二月二十四日・二十五日に行われる天領財閥御曹司の誕生日パーティーに招待……え!?

 驚いて再び内容を確認するが、読み間違いは無さそうだった。

天領財閥御曹司って……浅葱の事だよね?


 そして私は蘇芳との会話を思い出した。

そういえば浅葱の誕生日を一族で祝うって……ちょっと待って?蘇芳がそう言ってたって事は蘇芳も参加が決まってるんだよね?

 その事に気付きハッとする。

って事は企画しても蘇芳とクリスマスは過ごせないって事!?


 その事実に思わず肩を落とす。

折角クリスマスを好きになって貰おうと思ったのに……


 落ち込みつつも結局手紙を持って家の中へと向かう。

 そうして玄関に入った時、ふと気付いた。

待って!……招待状が来てるって事は私も参加して良いんだよね?


 そう思えば一つの案が浮かぶ。

浅葱に協力して貰えば何とかなるかも!


 思い立った勢いのまま浅葱にラインを送る。

突然だけど蘇芳の事で相談したいから明日会えない?


 するとすぐに返信が来た。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

昼休憩の間なら応じられるが、どうだろう?

それなら一緒にお昼に行くついでで良いかな


そう考えて再びメッセージを送信すればすぐに了解の返事が来る。

 蘇芳の事を考えて舞い上がっていた私はこの出来事が問題になるなんて全く思わなかったのだった。

『Fratello』【クリスマス・天領蘇芳誕生日番外編5/21】譲れないもの5

facebook twitter
pagetop