天領蘇芳(てんりょうすおう)

え……

 蘇芳は驚いた表情で私を見る。

チャンスだ!

 そう思った私はすぐに本題を切り出す。

ねぇ蘇芳……ちょっと訊きたいんだけど良い?

 真剣な目で彼を見れば私のただならぬ様子に圧されて彼も流石に話を聞く気にしたようだった。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……何?

 そう聞き返してくる。

さっきからクリスマスの話題だけやけに逸らしてるよね?
何か思ってる事でもあるんじゃないの?

天領蘇芳(てんりょうすおう)

…………

 蘇芳は驚いた様子で無言になるが、何も言わずに彼の言葉を待てば……観念したように呟いた。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……流石に君は鋭いね。わかると思わなかったんだけど……

 そうして一度溜息を吐くと話し出す。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

俺はクリスマスが好きじゃないんだよ。生まれてから一度も兄以外からのプレゼントは貰った事無いし、当日は兄の誕生日を一族で祝うのに俺の事なんて兄以外見向きもしない。俺だって兄と同じ日が誕生日だってのに特別感なんて何も無い。
……俺に取ってクリスマスは惨めになるだけの日なんだよ

 その言葉に納得する。

確かに蘇芳の家柄を考えればそうなるか……

天領蘇芳(てんりょうすおう)

だからクリスマスの話題は聞きたくない、わかってくれた?

うん……

 そう言う蘇芳に私は頷くが、複雑な心境だった。

……蘇芳の生まれた日、私に取っては特別なんだけどな……

 好きじゃないというその言葉が寂しい。

どうにか蘇芳にも好きになって貰えないかな……楽しい思い出とか作れたら…………

 私は考えようとするが、彼に呼ばれて結局思考は中断する。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……あのさ、プロデューサー

どうしたの?

 尋ねて彼を見ればその頬が赤い事に気付く。

天領蘇芳(てんりょうすおう)

人前だし何時までも手を握ってるのは……

!?

 私は慌てて彼に重ねていた手を離す。

ご、ごめん

天領蘇芳(てんりょうすおう)

……べ、別にプロデューサーがそれで良いなら良いんだけど、このままだと勉強も出来ないし、ね

 蘇芳は弁解するように言った。

 微妙な空気になった所にウェイトレスがやって来る。

ウェイトレス

お待たせ致しました、珈琲のおかわりをお持ちしました

あっ有難うございます!!

 照れ隠しのように大声で返事をしてしまい、ウェイトレスが一瞬怪訝そうな表情をする。
 それに又恥ずかしさが込み上げながらも気にしないふりをした。

 そうして私は彼に勉強を教えながら密かにクリスマスのサプライズを考える事にしたのだった。

『Fratello』【クリスマス・天領蘇芳誕生日番外編4/21】譲れないもの4

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