そうして夕花会長が参加OKのお達しを妹から貰ってからの生徒会では――

椎根木実(しいねこのみ)

よし。皆の衆、聞け

 といきなり木実会長は俺達の注目を集めた。
 皆の注目が自分に集まったのを確かめ、議題を提案する。

椎根木実(しいねこのみ)

今日の会議内容はというと、未だ解決しない顧問教師の問題だ

木実以外

……成程!

 俺達は皆声を揃えて相槌を打つ。しかしそれはただの相槌だ。

椎根木実(しいねこのみ)

では話し合おうとしよう


 ……木実会長は説明少なの為、謎多数の会議内容で会議を始め様とした。
 この人学校トップの癖にただの阿呆かよっ!
 それでは明確に話す内容について説明した事には成らない。俺達にさえも内容が意味不明なのに話し合うってそんな無茶な!

峯野哉樹(みねのかなき)

木実会長さん


 早速手を上げたのは龍哉君だ。流石。

椎根木実(しいねこのみ)

む?何だ峯野会計

峯野哉樹(みねのかなき)

それだけだと不明な点が幾つか有るかと思えるのですが……


 彼がそう言うと次々と合いの手が上がった。

長嶋美神(ながしまみかみ)

ええ。謎ばかりだとあたしも思えるわ


 まずは美神さん。

瀬川槇香(せがわまきか)

槇香も意味不明だと思います


 次は槇香ちゃん。

皆守歌苗(みなもりかなえ)

ちょっと説明が欲しいですね~


 のんびりと言ったのは歌苗ちゃん。

木乃中愛海(きのなかあいみ)

はい。アタイも謎ばかりで話し合うに話し合えないと思います


 これは愛海先輩。

八重河咲名(やえかわさくな)

わたくしも理解しかねる所が多々有りますわ


 これは咲名さん。

野中舞羽(のなかまいは)

……ちょっと難しい


 舞羽ちゃんも言う。

松下浅果(まつしたあさか)

あたしもわからないっす


 浅果も続く。

永上(ながかみ)ルチア

コノミさん、ワタシにも難しいよ


 ルチアちゃんも言った。

 勿論俺も言わせて貰う。

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

木実会長、説明を要します

椎根木葉(しいねこのは)

お姉さん、詳しく提案についての説明をお願いしますね?


 当然最後の追い討ちは木葉会長さんだ。

椎根木実(しいねこのみ)

詳しくと言われても……


 木実会長は暫く思案顔で黙ってから言う。

椎根木実(しいねこのみ)

今現在の状況下だと顧問が決まっているようでいないクラブが有るだろう?


 クラブとは初等部に存在する部活動の事だ。鈴翔学園には初等部から高等部まで有り、生徒会が存在して活動をしているのは高等部と中等部のみだ。
 その上二つ存在する生徒会が両方とも集まった会議で学園の方針を決めていく為、一つしか無い様な物なので初等部、中等部、高等部と全てを一つで統治する様な物となっている。
 だから初等部の問題を会議で解決まで導くのも中等部、高等部の生徒会の活動の一環と成っているのだ。
 俺達は声を揃えて言った。

木実以外

生徒会クラブですね!

椎根木実(しいねこのみ)

ああ。その通りだ


 今年に入ってから初等部の生徒数名と一応教師の希望によって出来た生徒会クラブと言う物が初等部には存在している。
 しかしその活動内容は……生徒会にさえも伝えられては居ない。
 だから何をやっているのか誰一人として知らなかったりする。初等部の生徒何人か以外は。
 公認されるにはやはり顧問教師もついていなければならないから……当然顧問も居るのだが、何故だろうか。その顧問は活動には全く参加しないという話だ。
 その上メンバーさえ伝えられていないから顧問の名前も活動を行っている生徒も全く解らない。それでもそれなりの情報は生徒会にも伝えておかなければ怪しまれる為、多少の情報は入っている。
 それでも生徒会が知っているのは公認されたクラブ名は生徒会クラブと言う事、男女共に入れるクラブだと言う事。今現在は全員が六年で六人のみだという事の数えられる位の情報しか入っていない。
それでも特に問題に成らずに活動出来ているのはそのクラブ創設に賛成した教師が生徒会クラブの情報をどういう訳だか只管(ひたすら)守っているからだ。
その為、情報を貰おうとして手出しする事も中々出来ないのだ。

椎根木実(しいねこのみ)

諸君も知っての通り、一応は公認されてしまっている為、謎だらけで有りながらもクラブは機能し、活動をしているという話だ。でも謎だらけのままにもしてはおけまい。そんなクラブが有るとなると保護者達PTAはどうだ?自分の子供を謎だらけのクラブが有る様な学園には入れておきたくはないだろう?つまりこの侭謎を残しておくとどんな可能性が考えられる?我が学園は信用を失うのでは無いだろうか?

 木実会長が演説をするかのような長い説明で俺達に問い掛ける。

 彼女は性格は少々あれだが、生徒会長としての責任感と資質はとても高い者だと俺は思っている。

 ……この人は何時でも学園の事を、学園に属している生徒の事を……一番に考えて行動している。そんな所は素直に凄いと……尊敬出来る所だと思う。
 ……まあ、照れ臭くて言えないのだけど。

 でもこれで漸く事情は飲み込める。そのままにすれば学園の信頼が下がるだけで有り、木実会長はそれを良いとはせずに考えを巡らせた……。そうして頭の良い彼女は何やら考え付いたらしく策を練り、行動を起こそうとしているらしい。
 そしてそれについて今回の会議で話し合おうと言うのだろう。

椎根木実(しいねこのみ)

で、オレは考えた。どうやって信頼を低下させない様にするか、と


 案の定、彼女は言った。しかしそれは皆で会議をして決める為ではなく、一つの宣言をしようという前兆だったのだ。

椎根木実(しいねこのみ)

其処で最原会計、生徒会クラブに顧問代行として一週間程で良いから潜入してこい。そうして謎を探るのだ。……頼むぞ

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

な、何いいいいいぃぃぃぃぃ―――――!?


 思わず絶叫が口から出た。

椎根木実(しいねこのみ)

おわっ、おま、急に叫んだら驚くではないか!

 即座に木実会長の抗議の声が上がる。

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

驚くも何も普通は驚くでしょうっ!貴女は突然何を言い出すんですか!
俺に顧問代行をやれと?しかも小学生に囲われてやれと?冗談じゃないっ!


 微妙に日本語までもが可笑しくなっていた気がするが、構っていられるか!
 これは駄目だ。断固拒否せねば成るまい。俺は楽々のうのうと生きて行きたいのだ。そんな物やっていたら俺の平穏な世界が奪われてしまう。

椎根木実(しいねこのみ)

良いではないかその位は。御前は帰宅部だろう


 木実会長が更に言って来るが、俺はどうにか抵抗を続けた。

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

帰宅部って貴女達全員そうでしょうっ!

 そう。生徒会は皆何の部にも所属してはいない。 別に役員だから所属してはいけない等という決まりは何処にも無いのだが、不思議と今年の生徒会はそうだった。
 だから俺がやる理由は無い!と暗に言ってみる。
 しかしそんなのは誰も聞きはしないのだった。気付いている癖に、だ。

長嶋美神(ながしまみかみ)

あらあら普通こういう物は男の子が『俺が代わりにやってやる!』とか言っているのが当然なのだけど、鏡ちゃんはそれを女の子にやらせるの?
見損なったわ。男の風上にもおけないわね


 そんな様に美神さんに言われてしまう。

瀬川槇香(せがわまきか)

酷いですよ先輩。此所は『俺がやってやる』って決めた方が格好良いのですよ?それなのに助成に丸投げするのですか?それは男として許される行為でしょうかね?


 槇香ちゃんにも詰め寄られてしまう。彼女の毒舌まで加わるとキツイ。

椎根木葉(しいねこのは)

……確かにそれはお姉さんにしては良い考えかも

 何か考えたらしく、木葉会長さんは呟くように言っていた。
 仕方なく俺は諦め……男のプライドの為に宣言する事にした。

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

……解りました。俺が、俺がやってやります!


 あーあ。策に嵌ってるなぁ……はぁ。
 俺は溜息を吐きながらもこれからの予定を立てる。

 何と無く顔を向けた窓からは柔らかい日差しが差し込んでいた。
 翌日から始まる天国、そして地獄の日々とは程遠い長閑(のどか)な天気だった。

to be continued

PROLOGUE3 会長の提案とその結果

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