???

遅れて御免なさい

???

遅くなりましたぁっ


 生徒会高等部三年で副会長の長嶋美神(ながしまみかみ)さんと高等部一年で生徒会会計の瀬川槇香(せがわまきか)ちゃんだ。
 ほら、神は俺の意思を突き通してくれた。そうなのだ。人任せこそが正しい選択なのだ。
俺は藁にも縋る思いで美神さんにアイコンタクトで呼びかけた。

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

美神さん、美神さん!


 数回名前を呼ぶとあっちも気付いてくれたらしい。

長嶋美神(ながしまみかみ)

どうしたの鏡(きょう)君?


 アイコンタクトで応じてくれた。流石だ。
 俺はそれに簡潔に返した。

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

助けて下さい!


 しかし向こうの答えも簡潔だった。

長嶋美神(ながしまみかみ)

嫌よ♪

 そうして彼女はその侭俺から視線を逸らしてしまった。アイコンタクト終了……。
 ……って待って!頼むから待って!
 俺に仕切れ、と?貴女もそう言いますか!?
 目で訴えかけるが依然として応答は無い。

瀬川槇香(せがわまきか)

鏡助先輩……今日も苦戦してるみたいですね


 槇香ちゃんは入って来たばかりだというのに生徒会室の空気を察した様子で……そんなように言った。
 ……彼女も助けてくれる気は無さそうだ。

 そんな状況に愕然としていると続けて数ミリ開いた扉を豪快に開けて声が掛かった。

???

すみません、遅れました!


 二年の木乃中愛海(きのなかあいみ)先輩だ。助かった!
 俺は再びアイコンタクトで先輩を呼ぶ。

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

愛海先輩、愛海せんぱーい!


 しかし全く気付かれなかったので(少々ショックだった)、小声で呼び掛ける事にした。

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

愛海先輩


 すると流石に気付いてくれ、小声で応じてくれた。

木乃中愛海(きのなかあいみ)

ん、どうかした?

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

助けて下さい!

木乃中愛海(きのなかあいみ)

助けるって?

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

今、木実会長が色々有って撃沈してしまったので俺が仕切り役を任されたんですが、この手の事は、どうも苦手で……

木乃中愛海(きのなかあいみ)

仕方無いな。じゃあアタイが仕切れば良いんだね?

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

お願いします!すみません……

木乃中愛海(きのなかあいみ)

はは。良いよ。可愛い後輩の頼みなんだからさ。任せて

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

有難うございます!

木乃中愛海(きのなかあいみ)

でもその内仕切り役も出来るようになってね。高等部生徒会で出来ないの、鏡君位なんだから

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

はい、頑張ります!


 俺はやはり愛海先輩は良い人だなあと思いながら頷く。そうなんだよな。俺だけなんだよな。

 因みに先程助けを求めたのに嫌だと答えた美神さんは別に仕切れないからという理由からでは無い。それ所か木実会長が使えなくなると何時も仕切るのは美神さんなのだ。単に先程の断りには彼女の性格が関わっている。そう。彼女は典型的女王様キャラ……つまりあれだ。彼女の性格はドSなのだ。だから理由は俺の困り果てる姿を見て要求を満たす為に断ったと……そんな所だ。
 美神さんて……何気に此の生徒会室内で一番やりたい放題していると思うんだ。
 でもまあそれはこの際どうでも良い。

 そう。仕切れないのはマジで俺だけだとそういう事だ。
 高等部で……と愛海先輩は言ったが、まだ来ていないもう一人の高等部生徒会メンバーにしたって仕切れるし、中等部の六人……会長の木葉会長さんは勿論の事。副会長の咲名さんも普通に仕切れる。無口で余り喋らない舞羽ちゃんも仕切りをやらせると意外にも完璧だし、熱血タイプの浅果は仕切るのなんて得意分野だ。イタリア人とのハーフで海外生活の長かったルチアちゃんはどこかズレている所があるというのに、それでも上手に仕切りが出来る。
俺以外で唯一の男子、峰野龍哉君はもうプロ級だ。美少女みたいな顔の癖に。
 本当に俺だけが仕切れないのだ。恥ずかしい事に。

 だからこそそれを改善する為に木葉会長さんはこうして仕切れと水を向けてくれているのだろうが、出来た試しは未だに無かったりする。
 罪悪感は感じるし、申し訳ないとは思っているが……こればっかりは仕方有るまい。

 それで仕切るのを愛海先輩が代わってくれる事になったは良いのだが、如何せん彼女は今来たばっかりで今までの流れを知らない。
 結果的に話し合いは全く進まず……。

 そんな時、生徒会室の扉が再び開いた。

???

遅くなりました~、すみません~


 のんびりと入って来たのは高等部一年で生徒会庶務の皆守歌苗(みなもりかなえ)ちゃん。彼女で集まるべき生徒会役員は最後だ。

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

全員揃ったし……そろそろ助けを求めても良いだろうか

 どうしようも無いので俺は木葉会長さんに木実会長の復活を頼む事にした。他に方法が無いからだ。
 プライドは無いのかって?そんな事言っててもしょうがないだろ。

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

木葉会長さん……木葉会長さん、おーい

 そんなに沢山呼び掛けずとも木葉会長さんはアイコンタクトで反応を示してくれた。流石だ。

椎根木葉(しいねこのは)

どうかしましたか?鏡助さん

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

あのさ、そろそろ木実会長を解放してやっても良いんじゃない?皆、揃ったからさ

 頼んでみると彼女は少し考える素振りを見せる。

椎根木葉(しいねこのは)

そう、ですね。
お姉さん無しだと会議は進まないですし……

最原鏡助(さいはらきょうすけ)

そうそう!

 俺の反応を見た彼女はまだ迷いながらも……静かに頷いた。

椎根木葉(しいねこのは)

……解りました


 それから彼女は木実会長に小声で話し掛ける。

椎根木葉(しいねこのは)

お姉さん、お姉さん

椎根木実(しいねこのみ)

……何だ?


 少々間が有ったが夕花会長はその声に気付き、今まで下に落としていた視線を上げた。

椎根木葉(しいねこのは)

そろそろ参加しても良いですよ


 そうして夕葉会長さんからそう告げられると嬉しそうに小声で答えた。

椎根木実(しいねこのみ)

ああ。了解した、ではオレも参加しよう

to be continued

PROLOGUE2 仕切れない生徒会補佐

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