ホテルに戻ると彼は私を部屋まで送ってくれた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

今日は突然の誘いに乗ってくれて有難う。
パーティーで貴女を皆に紹介出来て私は嬉しかったよ

うん、私も。緊張したけど……嬉しかった

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

それからプレゼント……凄く嬉しかった


 そう言って彼は微笑む。
 それから抱き寄せられると頬に唇の感触があった。

……今日はこれでお別れか


 それがわかるから、寂しくなる。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

おやすみ、姫

 そう言って浅葱は方向転換をしようとする。

待って!


 そう思ったら自然と彼の服を掴んでいた。
 驚いた様子で彼が動きを止める。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

プロデューサー?

…………


 不思議そうに見てくる彼に私は何も返せない。
 それなのに彼の服から手が離せなかった。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

どうかした?


 問い掛けてくる彼に中々言葉が出ない。

ど、どうしよう……寂しく思ったらつい掴んじゃったけど……


 そんな事恥ずかしくて中々言い出せない。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

何か言い忘れた事でもあるのなら聞くけど……何も無いというなら私も戻らないと


 そうして私の手を優しく掴んだ彼は服から離そうとする。
 それに私は焦った。

……今言わなきゃ……戻っちゃう

待って!言い忘れた事があるの

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

え?


 慌てて言えば彼は再び動きを止めた。
 彼は黙って私の言葉を待っている。

 だけどやっぱり恥ずかしさで中々言葉が出ない。

……折角クリスマスと浅葱の誕生日になるし、その瞬間に一緒に居たい、なんて……


 考えれば考える程恥ずかしくて仕方無い。

……察してよ


 頬の火照りを感じながら、出たのはそんな言葉だった。

察して……私の気持ち


 心臓の鼓動が煩くて、身体中が熱い。
 彼が直視出来なくてあらぬ方向に視線が向いてしまっていた。

 少しの間があってから抱き寄せられる。
 続いて吸い付くような口付けがされた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

……貴女は本当に困った人だ


 唇が離れればそんな言葉が返って来た。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

後少しで貴女を帰せたのに、もう出来ないよ

 熱の籠った言葉に心臓の鼓動は更に激しくなった。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

後数時間で私の誕生日……今夜の私は我儘だよ

……それでも良い。行かないで


 そう返せば部屋のドアが何時もの彼からは考えられない荒々しさで開けられ、もう片方で繋がれた手が引かれる。
そのままベッドに連れて行かれると、濃厚な夜は更けて行った。

誕生日……本当におめでとう


 日付が変わる頃、静かに言えば……彼は隣で嬉しそうに笑う。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

有難う、姫。
私が生まれたからこそ貴女を愛せている……その事を思うととても幸せだと感じるよ

これからもそう思っていられるように、ずっと傍で愛せたら……幸せだな


 そう思い、彼に手を伸ばす。
 逞しい背中に触れれば彼は一瞬驚いたようにして、逆に強く私を引き寄せた。

これからもこうして……浅葱とずっと一緒に居られますように


 その願いはきっと叶う。そんな予感がどうしてかあった。

『Fratello』【クリスマス・天領浅葱誕生日番外編15/15】パートナーとして15

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