会場のドアを開けてくれる彼にお礼を言いながら中に足を踏み入れる。
 その瞬間大歓声に包まれた。
 口々に浅葱を祝う声が聞こえ、彼がそれに応える。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

有難う


 そうして盛り上がる人々の間を縫って進み、主役席へと少しずつ近付く。
 緊張しながらも大きなヘマは無く、どうにかパートナーの席へと行けた。

司会者

それでは只今より天領財閥御曹司、天領浅葱様の誕生日会を開会致します


 司会の言葉に完成と共に拍手が送られた。

 彼の両親、親族、来賓と次々と祝いのスピーチが送られそれぞれに浅葱が応える。

司会者

有難うございました。それでは続いて主役の浅葱様にスピーチと、ある重大発表をして頂きます


 司会のその言葉に彼は私に目配せをして、そっと立たされる。

パートナーの紹介の時間かな……


 緊張感が増すが小さな声で

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

大丈夫

と彼が声を掛けてくれ、どうにか落ち着いて舞台に立てた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

皆様、本日は私の為に集まってくれてありがとうございます。こうして無事誕生日会を迎えられたのも皆様のお陰です


 浅葱は紙を見るような様子も無く、慣れた様子で堂々とスピーチをする。
 私は思わずそんな彼に見惚れてしまった。
 しかしそうしてばかりもいられない。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

特に今年は私の一番大切な人と過ごせて幸せを感じています。
彼女の愛が私を強くしてくれています


 そんな前置きの後肩を抱かれ、彼を照らしていたライトが私にも当たる。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

彼女は私の仕事のパートナーであり、大切な人です。
この場を持って皆様に紹介させて頂こうと思います


 彼の言葉に会場の隅々から歓声が上がる。
 恥ずかしい気持ちもあったが、隣の彼も堂々としているから照れている場合でも無い。
 どうにか微笑んで礼をした。

 すると拍手が起きてホッとする。

受け入れてくれたみたい……良かった


 そうして紹介された後、再び礼をして席に戻る。
 すると会場が明るくなって、私達の目の前には多くの人が並んだ。

司会者

浅葱様、有難うございます。只今からはプレゼント贈呈になります。一人一人用意して来ている筈ですので、順に浅葱様に渡して行って下さい


 司会の言葉で会場が明るくなった理由がわかった。
 順番に浅葱にはプレゼントが差し出され、彼はそれを受け取りながら相手にお礼を言い握手を交わしながら進んでいく。
 プレゼントを贈る人は私にも会釈をして過ぎていくので、私もそれに応えながらそんな浅葱を見守った。

 プレゼントは大小様々な物があったが、どれも豪華な包装がなされている。
 そんなプレゼントの一つ一つが彼との世界の違いを感じさせ、少し寂しくなった。

 プレゼント贈呈が終われば司会が号令をかけ食事の時間が始まるが、浅葱の許には絶えず人が集まって挨拶や雑談を交わす為に食事もままならないような状況だった。

 それでも浅葱は慣れている様子で一つ一つに応えて行く。

……凄いな


 正直疲れて来ていた私はそれに感心するばかりだ。
 同時にもう一つ思う。

全然二人っきりになれない……


 彼の立場を思えばそれは仕方の無い話だったが、それが少し寂しかった。
 そんな時、私の許に一人の男性がやって来た。

『Fratello』【クリスマス・天領浅葱誕生日番外編9/15】パートナーとして9

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