暖かかった店内との温度差に少し震える。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

姫、寒い?

ちょっとだけ……


 訊いてくれる彼にそう返せば引き寄せられた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

こうしていると、暖かいだろう?


 悪戯をする子供のように笑う彼に真っ赤になるが、小さく頷いた。

浅葱は寒さとか平気なの?


 尋ねれば彼は少し考えながら言う。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

平気、というか対策をしているから耐えられるって位かな

対策?

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

厚着は勿論、防寒具とかも用意しているしね。
私が寒がったりするとそれだけで家は大騒ぎになるから

……大事にされてるんだね

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

まぁ時々うっとおしい所もあるけどね


 私の返しに彼は苦笑した。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

今私の身に付けている物も全部家の者から送られた物で、選ぶって事もそう出来ないし

そっか……だから余り店内の物に興味が無かったんだね


 その理由を理解して言えば彼は頷いた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

だから仕事で色々な物が身に着けられるのが楽しいというのもある

そうなんだ……

財閥御曹司ってのも大変なんだな


 思わずそんな事を考えるが、ふと思った。

でも人から渡されるとなると既製品が殆どだよね……


 そう思った時、彼へのプレゼント案が浮かぶ。

……手編みにしたら喜んでくれるんじゃないかな?


 考えればすぐに案が浮かんだ。

誕生日とクリスマスだし、手袋とマフラーにしてみよう。……この一週間頑張るぞ!


 そう考えれば彼と中々会えない一週間もとても楽しみになった。

 スマホの時計を見れば時刻は二十時。外はそろそろ暗くなっていて、夕方頃見たイルミネーションの輝きも更に増している。

 彼と一緒に居たい気持ちはまだあったが、時間を考えれば高校生の彼をこれ以上連れ回す訳にもいかない気がした。
 それは浅葱も思ったようで、彼は言う。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

プロデューサー、そろそろ家まで送るよ

うん


 頷きながらも名残惜しくて彼の手を思わず強く握る。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

姫?


 不思議そうな彼に俯きがちに返した。

……この後は逢えないんだよね

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

ふふ……寂しがってくれるのかい?


 そんな私に彼は悪戯をする子供のように笑った。

そりゃ……寂しいよ。浅葱は……違うの?

 私は素直に応じる。
言いながら恥ずかしくなったせいで彼を見る事は出来ない。
そんな私を彼は抱き寄せた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

……寂しく無い訳、無いだろう


 身体が密着しているせいで彼の鼓動の音も聴こえる。
 それに何だかとても安心した。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

……出来る物なら貴女を攫って行きたい位だよ


 真剣な声音に本心だとわかる。

私凄く……愛されてるんだな


 そう思えて幸せな気持ちになった。
 同時に彼に触れたくなる。

浅葱


 呼び掛けに応じようとした彼の隙を付き、その頬にキスをする。

大好き


 溢れた気持ちが言葉になれば驚いていた様子の彼に一層強く抱き寄せられた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

……貴女は本当にいけない人だ


 思わず漏れたような言葉が落ちて来て……次いで唇が触れる。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

そんな事をされたら……離れ難くなるだろう

 そうして再び唇が重なったと思うと私の唇を割るようにして舌が入り込んでくる。
 求め合うように互いの舌が絡み合った。

 脳が蕩けるような甘い刺激にもう何も考えられない。ふらつきそうになるのを堪えながら彼にしがみ付いた。

『Fratello』【クリスマス・天領浅葱誕生日番外編6/15】パートナーとして6

facebook twitter
pagetop