強い意志を持った男の目は真っ直ぐだった。私はこの男を信じることにした。

美野 一四日

爆弾を止めて下さい

協力者

わかってる……

協力者

どうしてあんたが爆弾の事を知っているのかわからないが、今は時間がなさそうだ


 男はスマホを取り出して誰かに連絡をとった。男は電話に出た相手と会話をしているとポケットからハンカチを出して地面に捨てた。

協力者

良いぞ

 男が電話の相手に合図をした。その瞬間ハンカチが落ちていた場所に新しい男の人が現れた。男の足元にあるはずのハンカチが何故か無かった。

 一瞬のうちに男の人が現れた、まるでマジックか瞬間移動みたいだった。

 眼鏡を掛けたチャラい見た目をした男は周りを見渡した。

五十嵐 冬夜

ようやく僕の出番だね。それで爆弾は?

協力者

そこのトラックの下だ

五十嵐 冬夜

了解、おや


 美野に気づいた眼鏡をかけた男は美野に近づいて手を握る。

五十嵐 冬夜

始めましてお嬢さん。僕は五十嵐冬夜(イガラシ トウヤ)です。よろしくね

美野 一四日

……えっと、始めまして

五十嵐 冬夜

そうそう、君の名前って何?

美野 一四日

えっと、美野十四日です

五十嵐 冬夜

十四日ちゃんか、いい名前だね

美野 一四日

あっ、ありがとうございます

 美野は戸惑いながら返事をした。

 何なのこの人、良い人そうだけど苦手だな。

協力者

そんな事してないで早く爆弾を触れ時間がないんだ!


 ニコニコとしている五十嵐を男が叩いた。五十嵐は痛そうにして頭を抑えた。

五十嵐 冬夜

なんだよ協力者、痛いじゃないか

美野 一四日

協力者?


 あだ名のことだろうか、協力者と呼ばれているらしい。

五十嵐 冬夜

ああ、こいつ名前を話したがらないんだよ。協力者って呼べだって

協力者

いいから爆弾を触れ伊達眼鏡

五十嵐 冬夜

伊達眼鏡じゃない、おしゃれ眼鏡だ


 文句を言い五十嵐はしゃがんでトラックの下を覗き込んだ。

五十嵐 冬夜

ああ、これか。おお、爆弾みたい

協力者

バカ、みたいじゃなくて本物だ

五十嵐 冬夜

わかってる――よっと


 五十嵐は手を伸ばして爆弾に触れると地面に落ちていた小石を拾った。

五十嵐 冬夜

こっちの準備は出来たぞ協力者

協力者

良いから早くしろ伊達眼鏡

五十嵐 冬夜

伊達眼鏡じゃない、おしゃれ眼鏡だ

 五十嵐は眼鏡をかけ直した。

 協力者は目で合図を送ると五十嵐は手に握った小石を空に向けて勢いよく投げた。投げたと同時に五十嵐は呟いた。

五十嵐 冬夜

チェンジ


 五十嵐が呟くと小石は白いトラックの下にあった爆弾に変わった。

協力者

頭を伏せろ美野

美野 一四日

――はい

 言われたどおり私は体を低くして身を小さくした。

 協力者は空中の爆弾を見詰める。

協力者

超加速

 協力者以外の動き、空間が止まった。実際にはゆっくりと動いているが止まっているようにしか見えない。

 心臓の鼓動だけが聞こえる。脈打つ心臓の音が早くなるのが直に伝わってきた。

 胸ポケットに入れたネジを一本取り出し爆弾めがけて投げた。

 手から放たれたネジは空中で止まった。

協力者

――超加速終了

 言葉を吐いた時、空間が動き出した。空中で止まっていたネジが急に動き出す。ネジは普通ではあり得ない速さで爆弾を貫いた。

 その瞬間、空中で爆発が起こった。

美野 一四日

きゃ!


 爆風が襲う。衝撃から爆弾の威力がとてつもない事がわかった。

五十嵐 冬夜

どうにかなったな協力者

協力者

そうだな伊達眼鏡

美野 一四日

あの……あなた達は何物なんですか?


 二人が見せた不思議な出来事を理解できない。その事を知りたいと思うのはおかしいことだろうか。

協力者

俺達は境界の管理人だ

美野 一四日

境界の管理人?


 これが私と協力者の出会いであり、運命との戦いの始まりでもあった。

協力者

そう、始まりに過ぎないのさ。これから起きる事なんて知らないのは複雑な心境になるね

協力者

まあ、自分に起きる事なんだけね、アハハ

協力者

さて、この後私は境界の管理人の仲間になるんだけど

協力者

おっと、それはまた先の話だったね

メビウス・ザ・ループ(5)

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