強い意志を持った男の目は真っ直ぐだった。私はこの男を信じることにした。
強い意志を持った男の目は真っ直ぐだった。私はこの男を信じることにした。
爆弾を止めて下さい
わかってる……
どうしてあんたが爆弾の事を知っているのかわからないが、今は時間がなさそうだ
男はスマホを取り出して誰かに連絡をとった。男は電話に出た相手と会話をしているとポケットからハンカチを出して地面に捨てた。
良いぞ
男が電話の相手に合図をした。その瞬間ハンカチが落ちていた場所に新しい男の人が現れた。男の足元にあるはずのハンカチが何故か無かった。
一瞬のうちに男の人が現れた、まるでマジックか瞬間移動みたいだった。
眼鏡を掛けたチャラい見た目をした男は周りを見渡した。
ようやく僕の出番だね。それで爆弾は?
そこのトラックの下だ
了解、おや
美野に気づいた眼鏡をかけた男は美野に近づいて手を握る。
始めましてお嬢さん。僕は五十嵐冬夜(イガラシ トウヤ)です。よろしくね
……えっと、始めまして
そうそう、君の名前って何?
えっと、美野十四日です
十四日ちゃんか、いい名前だね
あっ、ありがとうございます
美野は戸惑いながら返事をした。
何なのこの人、良い人そうだけど苦手だな。
そんな事してないで早く爆弾を触れ時間がないんだ!
ニコニコとしている五十嵐を男が叩いた。五十嵐は痛そうにして頭を抑えた。
なんだよ協力者、痛いじゃないか
協力者?
あだ名のことだろうか、協力者と呼ばれているらしい。
ああ、こいつ名前を話したがらないんだよ。協力者って呼べだって
いいから爆弾を触れ伊達眼鏡
伊達眼鏡じゃない、おしゃれ眼鏡だ
文句を言い五十嵐はしゃがんでトラックの下を覗き込んだ。
ああ、これか。おお、爆弾みたい
バカ、みたいじゃなくて本物だ
わかってる――よっと
五十嵐は手を伸ばして爆弾に触れると地面に落ちていた小石を拾った。
こっちの準備は出来たぞ協力者
良いから早くしろ伊達眼鏡
伊達眼鏡じゃない、おしゃれ眼鏡だ
五十嵐は眼鏡をかけ直した。
協力者は目で合図を送ると五十嵐は手に握った小石を空に向けて勢いよく投げた。投げたと同時に五十嵐は呟いた。
チェンジ
五十嵐が呟くと小石は白いトラックの下にあった爆弾に変わった。
頭を伏せろ美野
――はい
言われたどおり私は体を低くして身を小さくした。
協力者は空中の爆弾を見詰める。
超加速
協力者以外の動き、空間が止まった。実際にはゆっくりと動いているが止まっているようにしか見えない。
心臓の鼓動だけが聞こえる。脈打つ心臓の音が早くなるのが直に伝わってきた。
胸ポケットに入れたネジを一本取り出し爆弾めがけて投げた。
手から放たれたネジは空中で止まった。
――超加速終了
言葉を吐いた時、空間が動き出した。空中で止まっていたネジが急に動き出す。ネジは普通ではあり得ない速さで爆弾を貫いた。
その瞬間、空中で爆発が起こった。
きゃ!
爆風が襲う。衝撃から爆弾の威力がとてつもない事がわかった。
どうにかなったな協力者
そうだな伊達眼鏡
あの……あなた達は何物なんですか?
二人が見せた不思議な出来事を理解できない。その事を知りたいと思うのはおかしいことだろうか。
俺達は境界の管理人だ
境界の管理人?
これが私と協力者の出会いであり、運命との戦いの始まりでもあった。
そう、始まりに過ぎないのさ。これから起きる事なんて知らないのは複雑な心境になるね
まあ、自分に起きる事なんだけね、アハハ
さて、この後私は境界の管理人の仲間になるんだけど
おっと、それはまた先の話だったね