イルミネーションを抜ければ繁華街があった。
 大きなビルに小さな商店・・・様々な店舗があったが、どの店もクリスマスモードで綺麗に飾りつけがなされている。

どのお店も綺麗に飾られてるね……

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

ああ、クリスマス前だからな……貴女の眩しさには敵わないけれど


 サラリと言う彼に再び照れてしまう。

わ、私このお店に入りたい!

 照れ臭さを紛らわすようにある店を示して彼を引っ張る。

 浅葱はそんな私を苦笑交じりに見ながらも着いて来てくれた。

 私が扉に触る前に一度手を離して浅葱がドアを開ける。

こういうの……嬉しいな

 大事にしてくれているのがわかってそんな事を思う。

 店に入ればファッション専門店のようで、服、アクセサリー、小物等の店が入っていた。
 店内もクリスマス一色でクリスマスツリーが飾られていたりクリスマスに関するPOPがあちらこちらに並んでいた。

 どちらからともなく手を繋ぎ直して歩き出す。
 店に来ている客もカップルが多く、同じように手を繋いでいる人ばかりだ。

 商品を眺めていると先程カメラ係をやってくれた男性の言葉を思い出す。

クリスマスプレゼントか…………


 そう思いながら隣の彼を盗み見る。

浅葱って……何が欲しいんだろう?誕生日会とクリスマスのパーティーなら……きっと色々な物を貰うだろうな。高価な物とかも多いだろうし…………


 当然彼の為に誕生日用のプレゼントもクリスマスのプレゼントも用意したいとは思うけど恐らく私と貰って嬉しい物の感覚は違うから……難しいと感じる。

訊いたところで浅葱の事だから何でも嬉しいとか言いそうだし……店内で何か見付かると良いけど…………


 しかし注意深く彼の様子を眺めてみても何かに強い興味を示す様子は無い。
 誕生日会を開かれる程の家だ。恐らく見慣れているのだろう。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

何か欲しい物はあるかい?


 そんな事を考えていたら逆に浅葱に訊かれて驚いてしまう。

え、ええっと……今は特に無い、かな

 しどろもどろになりながら何とかそう返す。
 そんな私の視界にある物が飛び込んできたのはその頃だった。

……あのネックレス、可愛いな


 銀細工で出来た鎖にハートが付いたシンプルながらも可愛らしいデザインにすっかり心を奪われるが、すぐに目を逸らす。

ちょっと欲しい、けど……仕事上アクセサリーとかする機会は無いかな


 そんな時、別のカップルがそのネックレスの付近を通りかかる。

彼女らしき女性

これ可愛い。ねぇねぇ買ってよユウ君

彼氏らしき男性

しょうがないなぁ、でももうクリスマスだもんね

彼女らしき女性

きゃーありがと!大好き

彼氏らしき男性

俺もだよ!

あ……


 そのまま店員を呼び止め購入する彼等を呆然と見送る。

……売れちゃった

 そんな様子を見れば先程よりも欲しくなってしまった。

……でも売れちゃったし、しょうがないよね

 少し残念に思いながらもその場を離れようと浅葱の手を引こうとするが、逆に手を引かれてそれが叶わなくなる。

どうしたのかな?


 不思議に思って見上げれば彼は何かを考えている様子だった。

浅葱、何かあった?


 尋ねれば彼はまだ少し考えている様子だったが、頷いた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

折角だし、貴女との記念品が欲しいと思って


 その視線の先にはペアリングの指輪がある。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

貴女さえ良ければ選んでくれないか?


 そう言われれば断る理由が無い。
 私もすぐに頷いた。

 視線を遣ると色違いや柄の一部が違う物等様々なリングが並んでいる。
 種類が多いから熟考せざるを得なくなった。

どれが良いかな……浅葱に似合いそうなのは…………


 真剣に悩んでいた私は一度手を離した浅葱が店員と何かを話しているのには気付いていたけれど、何を話しているのかまではわからない。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

どうかな?何か選べただろうか


 少しして戻って来た彼に尋ねられ、まだ少し悩みながらも普段使いに良さそうなシンプルな物を選ぶ事にした。

じゃあ……これとかどうかな

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

うん。とっても素敵だね。私も気に入った


 浅葱は言いながら笑うと店員を呼ぶ。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

すみません、これを

店員

はい、かしこまりました


 頷いた店員がケースに飾られていた指輪を出してくれた。

店員

お会計一万円になります

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

カードでお願いします

店員

かしこまりました


 私が財布を出す間も無いまま彼が支払いを済ませた。

あ、有難う。ごめんね


 慌てて言えば彼は笑った。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

良いんだよ。私が買いたかったんだから

う、うん……


 そう言われると今更出すという訳にもいかなくなって、結局有難く貰う事にする。
 そうして箱を受け取ろうとすれば彼は

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

付けてあげるから指を出して


 そう言った。
 ドキドキしながらも言われた通りにすればピンクゴールドの指輪が付けられる。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

うん、とても似合っている


 自然と褒めてくれる彼に照れてしまいながらも微笑んで小さく言った。

……有難う


 そうして再び彼のエスコートを受けながら街に出た。

『Fratello』【クリスマス・天領浅葱誕生日番外編5/15】パートナーとして5

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