街に出ればあちらこちらにイルミネーションが飾られていてクリスマス一色だった。
 大きなツリー、トナカイ、サンタクロース・・・家の周囲を飾っている所も多々ある。

 当日の下見に来ているのか、スマホを持ちながら一つ一つ見て回る男子学生、仕事終わりのサラリーマンなんかの姿もあった。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

本当は当日に貴女を連れて来れたら良かったけど……


 そう言う浅葱に私はすぐに首を振った。

ううん、こうして時間を取って連れて来てくれただけで……すっごく嬉しいよ!


 照れながら返せば彼も嬉しそうに微笑んだ。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

折角だから……写真でも撮ろうか

うん


 私が頷けば彼は近くを通り掛かった人に写真を頼む。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

すみません、写真を撮って頂きたいのですが……良いですか?

男性

あ、はい。私で良ければ


 声を掛けられた仕事帰りといった中年男性は快く頷き、浅葱からスマホを受け取る。

男性

クリスマス前にデートですか、良いですねぇ……私も昔家内と良く行ったものです


 気の良さそうな男性がそんな事を言うからうっかり私は照れてしまった。

男性

今は子供も居るから家族で来るのが基本ですが……たまには家内と二人というのも良いかも知れませんね…………

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

ええ、是非連れて来てあげて下さい


 浅葱はそんな彼に笑顔で返し、手を離したかと思うと私の肩を抱くようにしてツリーの前に並んだ。

 その距離感にドキドキしてしまいながらも男性がカメラを構えるのを見て慌てて表情を作る。

男性

それでは行きますよ、はい、チーズ


 シャッター音が鳴る。

うう……顔強張ってたかも


 そんなように思ってしまうが、意外にもカメラ係になってくれた男性は笑顔で言った。

男性

とても良い写真になりましたよ


 言いながら撮った写真を見せて貰えば幸せそうな二人の姿がそこにある。

私、こんな表情してたんだ……


 今まで撮ったどんな写真よりも自然で嬉しそうな表情の自分に驚いてしまう。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

本当ですね。ありがとうございます


 浅葱は男性に笑顔で返すとスマホを受け取った。

男性

それでは私はこれから子供のプレゼントを買いに行きますので……是非上手くやって下さいね


 男性はそんなように返して浅葱に微笑むと会釈してから去って行った。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

写真は後で貴女にも送るようにする

うん、ありがとう


 微笑んで言う彼に頷いて礼を言う。

何だか凄く良い人に会えたね……


 思わず呟けば彼も頷いた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

きっとクリスマス前に奥様と来られるんだろうな、あの人も

そうだね

奥さん、か……


 幸せな家庭の話を聞いたから何となく意識してしまう。

そのうち私も……ってまだ気が早いよねっ


 考えた内容が恥ずかしくて一人で照れてしまった。
 そんな私に呟くように浅葱が言う。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

あの人のように、これから先もずっと貴女と一緒にここに来たいな……


 その言葉にドキドキしてしまう。

同じ事・・・考えてたんだ


 気恥ずかしいけれどそれが嬉しくもある。

……私も、考えてた


 小さな声で呟けば抱き寄せられる。
 見上げれば熱を持った彼の視線とぶつかって……。
 予感に目を閉じれば再び唇が触れた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

余り可愛い事を言うと止まらなくなる……って言っただろう


 熱を持った声に頬の火照りを感じる。
 それでも離れたくなくて彼の服を握れば再び唇が触れ合った。

 唇が離れる度にもっと欲しくなる。
 ここがどこかなんてもうどうだって良かった。

・・・もっと


 何を言っているのかなんてもう余りわかっていない。
 蕩けるような甘い刺激に酔うように彼を見詰めた。

 熱を持った視線が絡み合うが、その先に行く前に浅葱が視線を逸らした。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

……貴女はどれだけ私を困らせれば気が済む


 どうにか吐き出すような言葉に漸く私は我に返った。
 同時に物凄い恥ずかしくなる。

い、今私、物凄い事を言っていたような!?

…………

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

…………


 互いに頬を染めたまま思わず沈黙する。

 そんな私達をイルミネーションが静かに見守っている。

将来の話なんてしたからつい……。恥ずかしいっ!……浅葱びっくりしたよね!?


 恥ずかし過ぎて顔を上げられない。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

……抑えられなくなりそうだった


 彼の呟くその言葉が熱を帯びている。
 そのせいで又照れてしまって冬の筈なのに暑かった。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

帰さない、なんて私が言い出したらどうするんだ貴女は


 その言葉に更に頬が熱くなる。
 心臓の鼓動が煩かった。

…………


 照れてしまって何も言えない私を彼は引き寄せ

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

……私がどれだけ我慢しているのか、貴女にはわからないだろう


 そう囁くように言った。
 そうして私の頬に口付けると身体を離す。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

……行こうか

……うん


 甘い空気にまだ少し酔いながらも私は彼の手を握る。
 そうしてどちらからともなく歩き出した。

『Fratello』【クリスマス・天領浅葱誕生日番外編4/15】パートナーとして4

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