二十分程で愛始駅には到着し、約束の相手を探す。
 浅葱は待ち合わせの時に私より遅くなる事が無いから絶対に居ると思ったのだった。

 朝の通勤ラッシュで駅は賑わっているが、浅葱は見掛けや雰囲気で目立つからすぐに見付かる。

制服姿……何度見ても格好良いな


 密かにそんな事を思って一人で照れ、慌ててその気持ちを振り払った。 
そして私を捜しているのか辺りを見回している彼を呼ぶ。

浅葱!


 すると彼はすぐに私に気付き、微笑んだ。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

プロデューサー。逢いたかった

私もだよ……


 愛情を感じるその声に照れてしまいながらも返す。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

……ここが駅で無ければ今すぐにでも抱き締めたい位だ


 そう言う彼に再び照れてしまう。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

今日の貴女も一段と美しい

浅葱も制服凄い似合ってて……ちょっとドキドキしちゃう


 照れながら返せば彼も照れたように笑った。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

プロデューサー、余り可愛い事を言うと幾ら私でも場所なんて気にしなくなってしまうよ?


 それに私はさっきよりも真っ赤になってしまう。

そそそそそれは困るっ!

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

ふふ、冗談だよ。相変わらず貴女は可愛らしい反応をするね


 本気で慌てる私に彼はそう言って笑った。

浅葱の笑顔って……安心するんだよね


 密かにそんな事を考えながらも少し頬を膨らませてみる。

む……からかったの!?

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

ははは、すまない。
でもそんな反応をする貴女が悪いんだよ。可愛いから苛めたくなってしまうだろう?

もーっそう言って誤魔化す

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

貴女を愛しく思っているのは本当だけどね?


 言いながら浅葱は艶めいた笑みを浮かべる。
 それに見惚れそうになってしまう自分が悔しい。

私の方が年上なのにドキドキさせられてばっかり……


 そんな私に気付いているのかいないのか、浅葱は一瞬スマホの時計を確認すると言った。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

このまま貴女と戯れていたいけれど、残念ながら時間が迫っているし本題に入らせて貰うね


 それに私も慌てて表情を引き締めて頷く。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

貴女を今日呼び出したのは私が逢いたかったというのもあるけれど……これから暫く時間が取り難くなる事がわかったからなんだ

そんな……本当なの?


 寂しくなって思わず呟く。
 それに浅葱は静かに説明を始めた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

ああ。貴女と逢いにくくなる。
仕事では会えるだろうけど……こうして恋人として会う事は中々出来ないだろうね


 そう言う彼の声も力無く、同じように寂しいと思ってくれているのがわかった。

お家の事情……?


 浅葱の家は知らない人が居ないような大財閥で彼にはその御曹司という立場がある。
 それを理解しているからこそ何となく理由がわかった。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

まぁそんな所だ。詳しい事は後で話すけど


 浅葱はそれに頷き、真剣な表情になって続けた。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

で、ここからが本当の本題なんだけど、今日であれば仕事もオフだし纏まった時間が取れるんだ。だから会い難くなる前に貴女と放課後にデートしたい。都合は付くだろうか?

浅葱と放課後にデート……!


 当然私に断る理由は無い。
 高まってくる鼓動につられるように私はしっかりと頷いた。

うんっ!絶対に仕事終わらせて行く!!

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

有難う、プロデューサー


 それに浅葱が嬉しそうに笑ったかと思うと突然引き寄せられた。
 驚く間も無く頬に何かが押し当てられる。

!?


 それは一瞬の事ではあったけど、彼の唇だと気付いた私の頬は一気に火照る。

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

……朝はここまで。続きは、ね?


 そう言う彼が何だか色っぽく見えてドキドキが止まらなかった。

…………っ

天領浅葱(てんりょうあさぎ)

それじゃあ行ってくる。姫も気をつけて


 何も言えない私に身体を離した彼は切り替えた様子でそう言って向きを変えた。
 そうして手を振りながら改札を抜けてホームへの階段を上がって行く彼を見送りながら改めて私は真っ赤になってしまう。

ゆっ油断してた!!


 思わず座り込みそうになるのを堪える。
 焦りながら周囲を見回すが、幸い人の姿は無い。

もしかして浅葱、これを狙って……!?


 そんな事を思うが真相は彼しか知らない。

も~~~!朝からドキドキしっぱなしだよ!!


 心中で叫びつつ深呼吸をして切り替える。

私も行こう……


 そうして私も改札を抜け彼とは別のホームへと向かう階段を上った。
 浅葱とのデートを密かに楽しみにして、絶対それまでに仕事を間に合わせると誓いながら。

『Fratello』【クリスマス・天領浅葱誕生日番外編2/15】パートナーとして2

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