小長井閻(こながいえん)

でもサンタクロースで無くても何にもしないで願いを叶えて頂けるのは素敵な考えですよね。ロマンチックというか何と言うか。人は誰しも欲しい物があるでしょうし

貴方も何かあるの?


 気になって尋ねれば彼は少し考え込んで

小長井閻(こながいえん)

そうですねぇ……貴女との時間、なんてどうでしょう


 そう冗談めかして言いながら笑った。

大神銀河(おおかみぎんが)

プロデューサーとの時間?……そういった願いもあるか

大神大河(おおかみたいが)

確かにそれって……物より欲しいかも

えっ


 まさかの銀河と大河の反応に私は驚いてしまう。
 事務所のドアを開けながら元気な声が聞こえてきたのはそんな時だった。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

ちょっと皆、外まで話し声聞こえてるよー?面白そうな話だから僕も混ぜて

中将終夜(ちゅうじょうしゅうや)

翔夜、事務所に入るときはもうちょっと落ち着いて……って言っても遅いか


 翔夜君と終夜さんだ。

おはよう、翔夜君。終夜さんもおはようございます

大神銀河(おおかみぎんが)

翔夜と終夜か。貴様等も無事漆黒の闇から抜けられたようで何よりだ

大神大河(おおかみたいが)

おはよう

小長井鬨(こながいこう)

おはよう

小長井閻(こながいえん)

おはようございます


 次々に挨拶を返せば二人も応じる。

中将終夜(ちゅうじょうしゅうや)

おはよう、皆

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

おはよー!
それでさ……何の話してたの、プロデューサーちゃん


 翔夜君は挨拶をしながら私の方へ笑顔で駆け寄ってきた。

もうすぐクリスマスだからそれについて話してたんだ

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

クリスマスかー、そうだね。僕の家もサンタさん来るよ

へぇーそうなんだね。翔夜君は今年は何を頼むか決めているの?

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

うん。新作ゲームが欲しいから頼むんだ


 言いながら翔夜君はちらりと終夜さんに視線を遣る。

あー……まぁ十三歳だもんね。もうサンタクロースの正体くらいわかってるか


 私は密かに思った。

十八歳でも信じ込んでる銀河の方が凄いよね。サンタクロースの人は毎年ばれないように気をつけてるんだろうな


 そんな風に考えていると翔夜君はねだるように私を見る。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

でも僕、今年はサンタさんじゃなくておねーさんに頼みたいことがあるんだー

え、私?


 まさかそんな事を言われるとは思わなかったので私は驚くが訊く事にする。

何かな?

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

うん!おねーさん、クリスマス一緒に過ごそうよ。
折角の聖夜だし、大好きなおねーさんと過ごしたいなー

えっ


 サラリと好きと言われて思わず赤くなってしまう。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

ふふふ、おねーさんを独り占めしたいなー


 楽しそうに私に言う彼への返答に困っていると荒々しい音を立てて事務所のドアが開いた。

小野寺蓮(おのでられん)

朝っぱらから大声で喋り過ぎだろ。その分仕事も好調にならねぇと迷惑だな

小野寺蘭(おのでららん)

兄さん朝からその言動はどうかと思うよ……


 入ってきたのは蓮と蘭君だ。

おはよう、蓮、蘭君

大神銀河(おおかみぎんが)

蓮と蘭だな。貴様等も無事漆黒の闇から抜けられたようで何よりだ

大神大河(おおかみたいが)

おはよう、二人とも

小長井鬨(こながいこう)

おはよう

小長井閻(こながいえん)

おはようございます

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

おはよー、蓮ちゃんも蘭も元気そうだね

中将終夜(ちゅうじょうしゅうや)

おはよう、二人とも

小野寺蓮(おのでられん)

ああ、おっす

小野寺蘭(おのでららん)

おはようございます、皆さん


 再びの挨拶合戦が起き、それが一段落すれば二人も話題に入ってきた。

小野寺蘭(おのでららん)

クリスマスの話をしていたようですね

小野寺蓮(おのでられん)

もうそんな時期になんだな

二人はサンタクロースにお願い事とかってするの?


 蓮も蘭君もそんなイメージが無いから逆に気になって尋ねる。

小野寺蘭(おのでららん)

いえ、僕達の家はクリスマスというものがありませんので

小野寺蓮(おのでられん)

由緒正しい家柄だからって事であんまりそういった洋風の文化を入れたがらねぇんだよな。俺等の家族ってのは

そうなんだ


 二人は古くから続く伝統芸能の家だ。そう聞くと納得出来た。
 そんな私に蘭君が微笑む。

小野寺蘭(おのでららん)

でも今年はクリスマス、楽しみにしているんですよ僕

え、そうなの?

小野寺蘭(おのでららん)

ええ。だって……今年は貴女が居るんですから


 言いながら彼ははにかんだような笑みを浮かべた。

小野寺蘭(おのでららん)

貴女と一緒に過ごせたら……とても良い思い出になりそうです


 私は再び真っ赤になってしまった。
 そんな蘭君に対して蓮が言った。

小野寺蓮(おのでられん)

何言ってんだ、蘭。プロデューサーは今年は俺と過ごすんだよ

えっ


 戸惑って私は思わず声を上げてしまう。
 そんな蓮と蘭君の話に他の皆も割り込んできた。

中将翔夜(ちゅうじょうしょうや)

ちょっと蓮ちゃんも蘭も何言ってるの?
今おねーさんと約束してたのは僕だよ

大神銀河(おおかみぎんが)

待て、先約は我だ。プロデューサーは我の救世主。我と共にあって当たり前だろう

大神大河(おおかみたいが)

皆ちょっと落ち着こうよ。プロデューサー、今年は俺と過ごすよね?

小野寺蓮(おのでられん)

後から割り込んできて何言ってんだてめぇら。今プロデューサーを誘おうとしてたのは俺だっての

小野寺蘭(おのでららん)

何言ってるんですか。今プロデューサーさんと話してたのは僕ですよ

ちょ、ちょっと皆


 私は戸惑って慌てて止めに掛かる。
 そんな私に助け舟を出してくれたのは又しても閻さんだった。

小長井閻(こながいえん)

まぁまぁ皆さん、ちょっと静粛に。プロデューサーさんご本人の意見を訊きましょうよ

 その言葉で騒いでいた皆は黙る。
 その状況を見た閧さんも口を挟む。

小長井鬨(こながいこう)

そういえばプロデューサー、『fratelloプロダクション』と『sorelleプロダクション』合同でのクリスマスパーティーの話を俺は持って来てるぞ。
とはいえ恋人と過ごすのであればそれで良いって社長達も言ってたけどな

え、そうなんですか?


 聞き返せば彼は頷く。

 それに続くように閧さんが問い掛けてきた。

小長井鬨(こながいこう)

決めるのはお前だ。どうすんだ?

そうですね。私は今年のクリスマスは……


 そう言いながら私は一緒に過ごす事になるだろう相手に視線を送った。

Who are you spending Christmas with?

『Fratello』【クリスマス番外編共通プロローグ2/2】サンタクロースと願い事2

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