なぁ、一条

一條

……

いいよ、俺が勝手に話しかけるから

一條

……

俺はまず、お前と仲良くなるところから始めることにした

一條

……

……

仲良くって、どうすればいいんだっけ?
俺はガン無視決め込んでる一条に話しかけ続ける。
朝のホームルームは終わって、一限目が始まるまでの間。
すでに5分はガン無視決め込まれてる。
もう一回聞く。
仲良くって、どうすればいいんだっけ?

東宮さん

睦美?

一條

あら、みや子

隣の席で会話のネタを考えていた俺を尻目に、普通に一条に声をかける東宮さん。
いいなぁ。
俺もそういう風に普通に話がしたいんだよな。
普通に。

東宮さん

……隣の席の人と仲良くなったの?

一條

ううん。
勝手になんか話してるの。
ちょっと怖い

東宮さん

そうね、それは怖いわね

君たちそれはひどすぎるよ

一條

……

一条の無言の視線をもらっただけでも、やったぜ反応が出てきた!
とか思った俺は正直マジで気持ちが悪い。
東宮さんもかわいそうな物を見る目で見ている。
俺、負けない。

東宮さん

ま、まぁ、冗談はさておき。
睦美、今日一緒にご飯でもどうかしら

一條

ごめんなさい。
私、金元さんに嫌われてるから

東宮さん

あれは嫉妬してるっていうのよ

一條

不思議ね。
私があなたの友達になることはないのにね

東宮さん

そういうのって、わからないものじゃない?

一條

友達になれるような関係性じゃ…
なかったものね

東宮さん

うふふ、そうよね

それってやっぱり小学校の時争ってたからかなぁ。
なんて聞いても答えてくれないことを考えて見る。
東宮さんがちらっと俺をみて微笑んだ。

東宮さん

でもよかった

一條

何が?

東宮さん

一方的とはいえ、お友達できたみたい

一條

ほんとに一方的よ

東宮さん

ふふ、ちょっとはうれしいくせに

一條

……

東宮さん

あ、あら?違ったかしら?

一條

……

一条のあまりな反応に、俺はとても傷ついた。
いや、これ、普通にこいつ性格悪すぎんだろ。
なんなの、女子ってこんな感じなの?
話しかけるのって意外と勇気がいるんだぜ。
しかも君、俺の気になる女の子…。

東宮さん

ごめんなさいね、金島君。
無駄に傷をつけてしまったわ

謝らないで、東宮さん。
さらに傷がえぐれる

東宮さん

うふふ、あなたってホントに変な人

東宮さん

私、睦美のこと気にかけてくれるからあなたのこと好きよ

何となく嬉しくないなぁ

東宮さん

まぁ、あんまりやって嫌われないようにね

一條

ちょっと……

東宮さん

それと、あんまり私に迷惑かけないでね

なんのことでしょう

東宮さん

知らないフリするならそれでいいわよ

俺が今興味があるのは一条だけだ

東宮さん

あら、熱烈ね

一條

怖いわ

……

一条は終始一貫して俺を傷つけることに決めたらしい。
長期戦になることを覚悟した瞬間だった。

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