混乱のさなか光が消えた空の中からある物が現れつのが見てわかった。

 それは人の形をした化け物だった。

 けして人ではない者が闇から降りてきている。

 それは絶望であり希望にも見えた。

 私はそれを徐々に降りていく光景を釘付けになって動けないで見ていた。目で追うことしか出来ないそれの後に、また何か大きな物体があった。

 その物体が何かかはわからない。

美野 一四日

……ああ、これが終末か

 何処かの予言者が空から恐怖の大王が来るだろう。アングーモワの大王を蘇らせるために。その前後、マルスは幸福によって統治するだろうと。

 当たりもしない終末予言が現実になるなんて当たらなければ良かったのに。

美野 一四日

なに、あれ?

 一つの光が現れ、それに向かっていった。

 その光る物体がそれと重なったとき、まばゆい光が世界中を包み始めた。次第に騒がしかった車内が静かになっていた。

 その事に気づいたら私は意識を失った。

――私、死んだのかな。

 体の感覚がある。どうやら死んではいないようだ。目を覚まし起き上がると白で統一された部屋にいた。

 部屋は机と椅子があって小さな家具、キッチンが置いてあるぐらいの広さだった。窓はあるがカーテンで隠れて外が見えない。

 いつの間に私は移動したんだろう。誰かに運ばれたのかな?

???

目が覚めたかい

美野 一四日

え、あなたは誰?

???

私は君だよ

 声の主は私を指を指して答えた。

 目の前にいる女性は何者かはわからないが悪い人ではなさそうだ。

美野 一四日

私は……あなた?

???

そうだよ。お茶を出そう、そこに座りなさい

美野 一四日

……はぁ


 私は言われたまま椅子に座ってお茶を待った。

美野 一四日

あの、外はどうなっていますか?

???

外はこちらの世界と混ざってしまった

美野 一四日

混ざる?

???

君は考えなくていい。今は選択をしなければならないのさ

美野 一四日

選択ですか


 女性はティーカップ二つを持って美野のもとに来た。

???

これから君はこの二つから選ばないといけない

???

一つは何もしない


 テーブルにティーカップを置いた。

???

二つは過去を変える


 もう一つのティーカップを隣に置いた、二つのティーカップには紅茶が淹れられていた。どちらも同じに見える。

美野 一四日

どういう意味ですか、過去を変えるって?

美野 一四日

意味がわかりませんよ

???

意味を知る必要はない。選択をするのだ自分の運命を

 彼女の言う選択とは私の運命だとでもいうの? この人は私に何を望んでいる?

 理解ができない状況に置かれ、選択を強いられている。

 私にはどうしていいか何もわからない。ただ、わかることは選択をすることだ。

 美野は過去を変えると言って出したティーカップを見詰めて女性に話した。

美野 一四日

もし、過去を変える方を選んだらどうなるの?

???

言葉通り、過去を変える


 女性は迷いなく答えた。

美野 一四日

どんな過去も?

???

それはお前次第だ


 自分の脳裏に焼き付いた恐ろしい出来事、あの終末を止められることが出来ることが、もし、過去に戻れば。

美野 一四日

私なんかに出来るの?

美野 一四日

どうやって止めるか知らないくせに

美野 一四日

アレを止めるって


 深く考えるたびに手が何もしないと言って出したティーカップを手にしようとしていた。

???

その選択肢にするのかい?

美野 一四日

だって、私は――何も出来ない


 女性は過去を帰れると言って出したティーカップを片付けようとした。

美野 一四日

待って!

???

どうした?

美野 一四日

私はそっちを選びます

???

こっちは茨の道、それ以上かもしれないぞ

美野 一四日

それでも、後悔したくないんで


 女性は黙ってティーカップを渡した。美野は受け取ると紅茶を飲んだ。飲み終わると眠気に襲われて寝てしまった。

???

それでこそ私だ

メビウス・ザ・ループ(3)

facebook twitter
pagetop