「異国を見たい」

そう言う彼奴の眼となり、
俺は異国に出る事にした。

あ、嘘!

ただ外に出たかっただけ
なんだけどな!

変装も完璧にこなしたのだが、
なんかすぐに見つかった

何故だ…!?

そんなわけで全力で逃げてる俺、

あ!遥って言います!
極東の鬼です!

今、異国にいるよ!

―――――

――行き止まり、かよ

彼奴に、景色届けられただろうか…。

真継

いつか、遠くの景色を見たいと
思っていたのですが

真継

僕の身体では、そうもいかない

なら、俺が行ってやろうか

お前、視覚共有得意だろ?

真継

貴方、お父様の式神でしょうに

鬼を門番にしとく奴が
悪いんだよ!

俺は外に出たいぞ?

真継

お父様から離れると、
呪いで衰弱するのでは?

知るかよ!

男は気合だ!
鬼はもっと気合だ!

お前、このまま何も見ずに
死ぬのか?

真継

……優しいな

それは、
行っていいってことだな!

真継

ごめんね

あれ、あの時、なんで
「ごめんね」だよ…

彼奴、きっと、
もっと違う事を…考えてた…だろ…

真継

聞こえますか

え、なんでお前が此処にいんだよ

真継

貴方の肉体が停止したので、
魂の或るべき場所へ至ったのみです

あー、やっぱアレ死んだか

真継

ですが、無理やりに
お父様との契約を切って、
僕に結び直したので延命されてます

それは、どういうことだよ…?

真継

まだ、甦生の余地があるという事です

本当か!?

待て
――父との、契約って、

真一は!?
お前の父は、生きてるのか?

真継

お父様は、

真継

士神であるにしても、
貴方のことが大好きだったんですね

真継

貴方の延命、契約の解除方法は
――お父様の死、です

――っ!

そんな!?
アイツは……俺は…!

真継

なので、お父様の為にも

真継

必ず、貴方の身体を
甦生させると、誓います。

……そ、う……だな……

終わったか?

真継

何もかもつつがなく

真継

これで、遥君は私の式

真継

それでいて、
絶対に殺されない、僕の刃

殺されないと言うより、
死んでるからな

都合よく、父を殺し、
その生命を奪って延命したか

真継

いえ、遥くんの使役が
今回の目的です

あの鬼にご執心とは

真継

ああ、
その発想はありませんでした

真継

彼、優しいですし、情に熱いので
他の人からの心象が良くなるので

真継

うちにない駒ですよね、彼

お、おおおう…

親父さんに関しては?

真継

お父様だけならば、
寿命で殺した様に見せたかった

で、全部自演なら、
身体ぐらい用意出来んだろ?

真継

出来ますけど、まずはお父様が
なくなったので

で?

真継

後を継がないために、
僕が亡くなった様に装わねば

ば?

真継

その際に、遥君がいると
矛盾が生じるのですよ

その為だけに、
しばらく身体を返さないと?

真継

それが得策でしょう?

本当に、僕らの王様は
イカレてるったらありゃしない

真継

僕は、同業者か貴方達から
生命を食べてしか、延命出来ません

真継

でも、だからと言って死ねは
横暴だと思うので

真継

僕は生きます

真継

例え、何が起ころうとも
殺して、生きていきましょう

何となく、は分かったが、

お前の、生きる意味はあるのか?

真継

はて、どうしてだったか

真継

永く、長く、生きすぎて
何がしたいかさえ、忘れてしまいました

でも、生きるのか?

真継

それが、亡霊というものですよ

真継

ああ、でも、

真継
真継

本当に異国の景色は、
綺麗だった

真継

――ごめんなさい

亡霊の見たかった景色

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