猫屋敷 棗

・・・おじゃまします

いらっしゃい。
ん?嬢ちゃん、どっかで見たことある顔のような・・・

猫屋敷 棗

・・・私は猫屋敷棗。
旅番組の撮影でここに来ました・・・カメラ、入って大丈夫ですか?

へぇ、べっぴんさん2人で大変だねぇ。

いいよ、入りな。なにせ人はそう来ねぇ。貸し切りだよ。

猫屋敷 棗

ありがとうございます。

トキコⅢ

外見、店主の信用度・・・オールグリーン(緑色ではない)。安全な店だと判断。撮影に支障はありません。

猫屋敷 棗

それと・・・猫、気になるから・・・
猫の撮影も許していただけませんか・・・?

トキコⅢ

想定よりも現代的な内装です。商品がカラフルなのですね。背景はあくまでイメージですが、メタであれ無視するべきではありません。
環境を再定義します・・・ロード中・・・

めちゃくちゃ早口でよく聞き取れませんが、ロボットアイドル(?)らしい光景、ですかね?

お、おう?メタ?再定義?

猫屋敷 棗

彼女はロボットなの・・・その、あまり深く考えないで

猫屋敷 棗

ここは美術のお店なのかしら?小さいのに賑やかな・・・不思議なお店ね

ま、そうだな。しがない芸術家の何でも屋ってところだ。

何でも屋?と思ったらほんとだすごぉい!
絵画、瓶詰めの鉱石、陶器、これは木製の兎?あっ陳列棚自体にも値札がついてますね!

トキコⅢ

緻密なデザインです。かなりの技術が必要だと分析していますが、全てあなたの手作りなのですか?

ああ。かなりの技術っつっても、作ってる間は楽しいもんさ。儲からねーけどな。

トキコⅢ

売れない?・・・立地がいけないのでしょうか

二人が話しこんでいる間、近くにあった桃色の手袋をはめている棗さん。

細めの毛糸で編まれていますねぇ。エアコンの効きすぎで寒い時にはいいかもです。

猫屋敷 棗

・・・。

そうだ嬢ちゃん達、この店の宣伝してくんない?
この店の名は、俺の名前から『みくりや』って__

トキコⅢ

ストップです。リクエストに答えたいところですが、この番組は宣伝NGですので。

あちゃ~そりゃ残念。ははは!

猫屋敷 棗

・・・・・・

猫屋敷 棗

ひとつ、伺いたいことがあります

トキコⅢ

棗さん?

なんだい、そんな怖い顔して。

猫屋敷 棗

あなたがモノを作らなくなって、何年経ったの?

・・・・・・。

猫屋敷 棗

・・・いいえ。答えなくていいです。
無神経だった、ごめんなさい

構わんさ。よく気づいたな嬢ちゃん。嬢ちゃんは何かしら作ってるのか?

トキコⅢ

嬢ちゃん「は」・・・ですか

猫屋敷 棗

そんなところです。
作れなくなった時期なんて山ほどあるわ・・・

でも嬢ちゃんは作るのをやめてない。

俺は・・・やめたようなもんさ。

都会のアトリエで同期の方とモノづくりをしていた店主さんでしたが、才能を嫉まれて孤立。

かつての仲間がどんどん傍から居なくなるのが嫌になって、逃げるようにここにやって来た・・・とのこと。

トキコⅢ

では店を始めた頃はもう、モノづくりをされていなかったんですね。

節操なく作ってたおかげで商品はたんまり、当時の金もそれなり、っとくりゃあ・・・

ずるずるこんな生活しちまってまあ。

トキコⅢ

そういうものですか。
私はロボットなのでそのあたり理解できませんが、

トキコⅢ

ここにあるものはみんな丁寧に作られています。モノとしても誇らしいでしょう。

ははは、何だそれ。
ああ嬢ちゃんはロボットだっけ?ロボットなのに感情が分かるのかい。

トキコⅢ

むむ。それは・・・それはそれ、という言葉が登録されていまして・・・

猫屋敷 棗

そうよ。それに・・・

猫屋敷 棗

私は、この人の作品が好きだ。
悩んで、苦しんでいるのにまっすぐな「たのしい」が伝わってくる

猫屋敷 棗

なにか私に出来ることはないかしら・・・

~つづく~

pagetop