花火大会の会場である夢園港(ゆめぞのこう)に着いたのは18時半になる頃だった。
 会場に設置されたステージで地元住民の方が歌を歌ったりダンスを踊ったり楽器をやったりと・・・パフォーマンスをしている。

皆さん凄い・・・かなり練習をして来たんだろうな

 そう思うとどうしても銀河の事を思い出した。

きっと銀河も今日の仕事の為に・・・沢山練習してたんだろうな。頑張り屋だから・・・・・・

 その仕事の内容が何なのか、それは結局聞かなかったけれど・・・・・・。

頑張った成果が出ていますように・・・・・・

 思わずそう祈った時だった。ステージ前の混雑が激しくなったのは。
 付近を通る人に押され、思わずよろけそうになる。

大神彩羽(おおかみいろは)

プロデューサーちゃん、大丈夫?

はい、何とか・・・・・・

 心配してくれる彩羽さんの声にどうにか応じる。

一体何?

 驚きながら様子を伺えば話し声が入ってきた。

女性1

ねー知ってる!?今日のシークレットゲスト!

女性2

当たり前じゃん!『Snow Wolf』でしょ!?

女性1

夏休みでテレビに出てないから・・・こんな所で会えるなんて奇跡だよね!!

女性2

うん!実物ってどんな感じなんだろう?テレビより格好良かったりして!

え・・・・・・!?
まさか、銀河の非公式の仕事って・・・・・・!

 驚いて彩羽さんを見れば悪戯が成功したというような表情で笑っていた。

う、嘘!会えるの今日!?

 急な事態に頭がついていかない。

ど、どどど・・・どうしよう!?

 一人で赤くなったり青くなったりしながら食い入るようにステージを見つめる。
 少しすれば歓声が大きくなり・・・やがて曲が掛かると同時に浴衣姿の『Snow Wolf』銀河が姿を現す。

大神銀河(おおかみぎんが)

今日は最高の宴の日だ。僕(サーヴァント)達よ準備は良いな?

『SnowWolf』のファン達

きゃーーーーーー!

大神銀河(おおかみぎんが)

貴様等の王であるこの我の晴れ姿・・・その目に焼き付けよ!!

『SnowWolf』のファン達

きゃー銀河様――――――!

 皆が歓声を上げるのもわかる。
 ステージ上の銀河の姿は堂々としていて、圧倒的な存在感を醸し出していた。

す、凄い・・・格好良い!花火大会に来るには全然変わった衣装じゃないのに・・・ドキドキする

 続いて『Snow Wolf』のもう1人・大河も姿を現す。
 当然ライブ中の大河も輝いていて、格好良い。
 だけど私はもう・・・銀河から目を逸らす事が出来なかった。

 そうしてライブ終了までずっと私は銀河に見惚れていたのだった。

 ぼんやりとステージを見つめながら立ち尽くしていれば、時刻はもう19時45分を回っていた。
 ステージ上でのミニライブが終了したのは19時半で、花火の打ち上げは20時からというのが今日の予定だった。
 ステージ前の人通りは既にまばらになっている。

銀河すっごく格好良かったな・・・一杯練習したんだろうな・・・・・・

 そんな事を考えながら私は未だにステージを見つめていた。
 『Snow Wolf』のステージに感動していてまだ動きたくないという気持ちはある。だけどここで待っているのはもう1つ理由があった。

彩羽さん・・・銀河達に挨拶したらすぐ戻るって言っていたけれど・・・・・・

 そう、ステージを終えた2人に声を掛けたいと言った彩羽さんを待っていたのだ。

本当は私も行きたかったけど・・・今日はプロデューサーとして来た訳じゃないし・・・・・・

 控え場所に1ファンとして行くのは憚(はばか)られ、結果的に待つ事にしたのだった。

 誰かに肩を叩かれたのはそんな時だった。
 彩羽さんが来たかと一瞬思い、顔を上げるけれど・・・全然違う相手だった。

酔っ払い男性

ねぇそこの彼女

・・・私ですか?

 酔っ払っているように見える相手に思わず身構えながら応じる。

酔っ払い男性

うん君、凄く可愛いね。1人?

いえ、人を待っています

酔っ払い男性

その相手は何時来るの?
わからないならちょっと俺と遊ぼうよ

い、いえ。すぐ来る予定ですから・・・・・・

酔っ払い男性

そんな固い事言わないでさぁ。ちょっとだけなら良いでしょ

 言いながら腕を取られてしまった。

しつこいな

だから約束が・・・

 更に言い返そうと相手を睨んだ時だった。

???

何をしている?

 低い声で私と男性の間に割って入った人物が居た。
その人物の正体がわかった瞬間驚いて声を上げそうになり、慌てて堪えたのだった。

『Fratello』【大神銀河誕生日番外編4/6】花火大会の誓い4

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