28日当日。

ええっと16時に夢園(ゆめぞの)駅・・・だよね

 彩羽さんのラインの頁を確認しつつ、駅に到着したのは15時半手前だった。

彩羽さんは何時も30分より前から現場入りしているみたいだし、余り遅くなってもいけないと思って早く来たけど・・・ちょっと早過ぎたかな

 夢園駅は彼氏の銀河と良く待ち合わせる場所だ。
 待ち合わせ相手が彼では無い事に少し後ろめたい気持ちになる。

彩羽さんの事だから・・・誰がどう見ても女性にしか見えない姿で来るだろうけど・・・・・・

 そうは思っても彩羽さんは男性だ。
 特に今日は銀河の誕生日でもある。そんな日にプライベートで他の男性と合うのはそれでも気が引けた。

仕事の話が聞きたいって言ってただけだし・・・気にしなくても良いとは思うけど

 思わず嘆息した時、声がした。

???

プロデューサーちゃん、早いわねぇ


 顔を上げれば女性物の浴衣に身を包み、髪をアップにした人物が目に入る。
 誰がどう見ても美しい女性にしか見えないけれど、その人こそ彩羽さんだった。

へ!?あ、そ、そうでしたか!?
すす、すみません

 余りの美しさに動揺して返す。

大神彩羽(おおかみいろは)

もうプロデューサーちゃん・・・動揺し過ぎよ。そんなに驚いた?

 そう言って苦笑する彼に慌てて首を振る。

い、いえ・・・そうじゃなくて。余りにも彩羽さんが綺麗だったので・・・少しドキドキしてしまいました。
その浴衣・・・凄く似合っています

大神彩羽(おおかみいろは)

ふふ、ありがとう。
プロデューサーちゃんの普段着も新鮮で・・・とても良いわよ

え!?あ、ありがとうございます・・・・・・


 すぐに彼も褒めてくれるけれど、素直に喜べなかった。

私より彩羽さんの方がよっぽど女性らしくて綺麗なんだよね・・・・・・


 それが何だか恥ずかしかったのだ。
 そんな私の思いに気付いているのか、彩羽さんは悪戯をするように笑った。

大神彩羽(おおかみいろは)

でもね、もっとアタシが綺麗にしてあげる。
今日は特別な日だもの・・・貴女にはもっとお洒落して貰わないと

え・・・・・・

一体どういう事だろう

 思わず首を傾げる私に彩羽さんは微笑んで言った。

大神彩羽(おおかみいろは)

まぁ付いて来て、プロデューサーちゃん

大神彩羽(おおかみいろは)

ふふ、とっても素敵よ

 満足そうに微笑む彩羽さんの手前で私は頬が熱くなってくるのを感じていた。

まさか浴衣を着る事になるなんて・・・・・・

 そう思ったように今の私の服装は慣れない着物だ。

 あの後彩羽さんに連れてこられたのは浴衣の貸し出しと着付けをしてくれるお店だった。
 前以って彩羽さんガ予約してくれていたようで、着いて早々着付けてくれたのだった。

大神彩羽(おおかみいろは)

これで準備は完璧ね。会場に行きましょう

 嬉しそうに微笑みながら彩羽さんは言うけれど、このまま外に出るのは恥ずかしい気がする。
 結局前に進む勇気が出なかった。

 そんな私の思いに気付いたのか、彩羽さんは真剣な表情になって言う。

大神彩羽(おおかみいろは)

大丈夫よ、プロデューサーちゃん。和服ってのはね・・・日本人女性を一番美しく見せてくれるの。
だから自信を持って歩いて良いのよ

彩羽さん・・・・・・

 普段から女性物の和服を着ている彩羽さんだ。
 その言葉の説得力は絶大だった。

大神彩羽(おおかみいろは)

行きましょう

・・・はい!

 今度ははっきりと頷き、彼が差し出してくれた手を握る。

・・・銀河にも見て貰いたかったな

 歩き出せばそんな想いが込み上げて・・・つい切なくなった。

『Fratello』【大神銀河誕生日番外編3/6】花火大会の誓い3

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