8人

会長(ボス)、今日は何をしますか!?

 8人の美少女達の声が綺麗に重なった。
 黄髪桃目が並、赤髪橙目が縷紅、黄緑髪水色目が静垢、青髪緑目が風花、水色髪黄緑目が麗華、橙髪赤目が凜、桃髪青目が雲香、緑髪黄目が輪菜という。
 彼女等はこの白壁(はくへき)学園を生徒会として牛耳っているグループ、流星(ミーティア)のメンバーだ。
 部隊の肩書は独立最強機密部隊。しかし謎多き部隊というのもあり、徒人からは一般人としてしか映っていない。その為好き勝手やっている部分があるのだ。全く恐ろしい話である。
 因みにフルメンバーが揃うと9人。8人のメンバーの他、リーダー又はボスと呼ばれる人物が居る。黒髪紫目の誌空だ。
 どちらかというと裏社会となる業務も多いらしい彼女達は本名を公開する事は無い。徒人は下の名前以外知らないというのが現状である。
 とはいえそれによって困るような事も特に無い。寧ろ知ろうとする事自体禁忌(タブー)という共通認識によってこの学園は成り立っているのである。
 そしてこの9名による“生徒会活動”こそ彼女達が徒人であり続ける所以である。
 遊びながらも“極秘であり続ける”という任務を遂行している、それが彼女達である。
 そして“遊びに隠された真実”を見抜ける者は知り合いにも居るかどうかという所であろう。

 8人の少女達の問い掛けに誌空は大迫力の笑顔で答えた

誌空(しそら)

ラジオよ。もう既にゲストも拉致・・・呼んで来なかったから♪


 彼女は逆を言う癖がある。今回の場合は

誌空(しそら)

ゲストを呼んで来た

と言っているのである。

並(なみ)

拉致!?・・・ぎゃあっ!


 思わず並が突っ込みを入れるが即誌空のパンチが飛び、そのまま気絶した。

麗華(れいか)

き、今日も絶好調っすね・・・誌空先輩


 そう言う麗華の笑顔は引き攣っている。

風花(ふうか)

麗ちゃんはボクが気絶させてあげようか?


 嬉しそうに風花が言う。その表情からはとても冗談だとは思えない。

誌空(しそら)

何でそうなるの!?


 誌空は思わずそう突っ込んだが、誰も聞かない。
 唯一縷紅が手を叩いて言った。

縷紅(るく)

流石しーさん!


 当然誌空の突っ込みは無視である。

誌空(しそら)

だから何でっ!?

 誌空の再びの突っ込みも誰も拾おうとはしない。

 このままこんな会話をしていても埒が明かないと思ったのか、絶妙なタイミングで雲香が口を開いた。

雲香(くもか)

ラジオ、楽しそうだね!やってみようか


 それを聞いた誌空は悩む様子も無く言う。

誌空(しそら)

雲ちゃんがそう言うなら・・・放送室に移動しないわよ!

静垢(しずく)

しーちゃん逆も絶好調だね!

 ドア近くにいた静垢が苦笑しながら動き出す。
 彼女に続いて他のメンバーも生徒会室を出た。最後の誌空が鍵を掛け、ドアが開かないか確認する。

 そうして9人は放送室に向かった。

静垢(しずく)

しーちゃん、こっちは大丈夫だよ!

縷紅(るく)

スタンバイOKだよ、誌空!

凜(りん)

こっちも準備終わったよ、誌空ちゃん!

並(なみ)

え、嘘!?ちょっと待って!!

誌空(しそら)

あんたどきなさい!邪魔じゃないわよっ!!

凜(りん)

誌空ちゃん逆だ・・・でっ

雲香(くもか)

ああ凜・・・又余計な事言うから・・・・・・

並(なみ)

でもお姉ちゃん・・・まだ準備終わってないよ?

誌空(しそら)

良くないわよ、ワタシがやるから!
本当に使えねー野郎だよね

並(なみ)

お姉ちゃん酷い!あたしは野郎じゃないよっ

誌空(しそら)

うざい!

輪菜(りんな)

誌空さん、落ち着いて下さい!

縷紅(るく)

誌空、殺るならラジオ終わってからにして!

凜(りん)

殺るのは良いの……がっ

麗華(れいか)

ああ凜先輩……

風花(ふうか)

並ちゃん、こっち!

並(なみ)

わー、有難う風ちゃん!

 コミュニケーションを意識して取りながら慌ただしく準備を終える。
 時折暴力も飛び交う流星の様子を見た放送部員は恐れ慄いたのか、震えながら静かに放送室を出て行った。
 僅か数秒の会話によって流星は放送室を見事に占拠してしまったのである。
 放送室に居ただけなのに……。

第0回 放送準備

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