小野寺蓮(おのでられん)

準備体操したら入るか。泳げねぇとか無いだろうな

あ、うん・・・それは平気だけど・・・・・・

海入るなら水着で行きたいよ。折角蓮の為に新調したんだし・・・・・・

 そう思っている間に水着で海に入る仲睦まじいカップルや女性達の姿が目に入る。

蓮・・・見てるよね

 恐る恐る視線を向ける。意図して見ている様子では無かったけれど、近くを通る水着の女性がしっかりとその視界に映っているのがわかる。

何か・・・嫌だな

 身勝手な気持ちが溢れて来て、思わずその腕を引いた。

小野寺蓮(おのでられん)

プロデューサー、どうした?

 当然蓮は不思議そうに問い掛けてくる。
 その視界に自分しか映って居ない。その事に安心した。
 何時の間にか羞恥心よりも自分を見て欲しい気持ちが強まっている事に気付く。

あのね、今日の水着・・・蓮に見て欲しくて選んだの

小野寺蓮(おのでられん)

・・・?急に何言って・・・・・・

 彼にしては珍しく戸惑ったような表情だ。
 その事にもどうしてか安堵して、静かに上着のボタンに手を掛けた。

 1つ1つ順番に外し、やがて水着が露わになる。
 黒をベースとした大人っぽい柄物のビキニ。それが彼を思って選んだデザインだ。

小野寺蓮(おのでられん)

・・・・・・・・・・!

 戸惑ったような蓮の表情が驚きに変わる。

ど・・・どうかな

や、やっぱり早まった!?変に背伸びしてるとか思われたら恥ずかしいっ

 今更ながらに恥ずかしくなってきて思わず隠そうと手を動かすが、肩に届く前に蓮の手が掴んだ。

小野寺蓮(おのでられん)

・・・俺の為に選んだんならもっと良く見せろ

 予想外の真剣な声音に驚いて蓮を見れば、脱いだ上着が掛け直された。

小野寺蓮(おのでられん)

・・・こんな所じゃ駄目だな。あっち行くぞ

 言いながら蓮は自分の上着も持ち、人気の少ない端の方へと私の手を引いた。
 見た事の無いような彼の姿に心臓の鼓動が速くなる。

れ、蓮?

小野寺蓮(おのでられん)

・・・似合い過ぎなんだよアンタ

へっ!?

小野寺蓮(おのでられん)

俺以外の目に触れる所で・・・絶対上着は脱ぐな

 真剣そのものの声に頬が熱くなる。

・・・う、うん

蓮も・・・ドキドキしてくれたのかな

 そう思えるのが何だか嬉しかった。

 思った以上に時間は早く過ぎ、何時しか夕方になっていた。
 昼間よりも静かになった夕日に染まる浜辺を蓮と2人で散歩する。

小野寺蓮(おのでられん)

日が完全に落ちる前には戻るぞ

うん、そうだね。明日もあるし

 自分の発言でふと思い出す。

そうだ明日だよ。明日こそ蓮の誕生日本番なんだ・・・・・・。結局何にも訊いてなかった

あの、蓮!

 忘れない内に訊こうと名前を呼べばすぐに蓮は私を見る。

小野寺蓮(おのでられん)

何だ?

明日誕生日だよね。だから何かプレゼントしたいって思ってるんだけど・・・蓮が本当に欲しい物が良いと思ってまだ用意してないんだ。
だから欲しい物を訊いておきたいんだけど

 私の言葉に蓮は拍子抜けしたように言った。

小野寺蓮(おのでられん)

何だ、そんな事考えてたのか

そ、そんな事って!
大事な事だよ!!

 思わず叫んで言い返す。
 すると突然肩を引き寄せられ、柔らかな物が唇に触れた。

・・・・・・・・・・!?

 何が起きたのかわからずに固まってしまう。
 理解したのは数秒後だった。

い、今のって・・・・・・!?

 一気に頬が熱くなる。

小野寺蓮(おのでられん)

・・・ふっ良い表情してんじゃねぇか

ななななな・・・・・・!?

小野寺蓮(おのでられん)

もっと見せろその顔

何言っ・・・

小野寺蓮(おのでられん)

今のアンタには俺しか映ってねぇ。すげー良い気分だ

 言い返そうとしてもその言葉に照れてしまう。

小野寺蓮(おのでられん)

誕生日プレゼント気にする位なら今日俺とずっと一緒に居て、俺だけを見てれば良いだろ

 真剣な眼差しにドキッとする。

蓮・・・・・・

小野寺蓮(おのでられん)

俺の誕生日をアンタが1番最初に祝え。
それが俺の望みだ

それって今日この後・・・ずっと一緒に過ごすって事だよね

 考えるだけでドキドキする。
 だけどそれよりも嬉しい気持ちが大きかった。

1番最初に祝って欲しい・・・まさか蓮がそんな風に言ってくれるなんてね

 勿論拒否する理由なんてどこにも無い。

うん・・・わかった

 笑顔で頷けば蓮も何時もの笑顔で続ける。

小野寺蓮(おのでられん)

まぁ尤もアンタに拒否権はねぇけどな。
ゲームに勝ったら望みを叶える。・・・そういう約束だからな

うっ・・・覚えてたんだ

小野寺蓮(おのでられん)

こんな面白ぇ話、忘れる訳ねぇだろ。
この俺を付き合わせた分、きっちり返せよ

 私の反応を面白がっているような笑みが・・・少しだけ悔しい。

・・・当たり前でしょ。覚悟しといてよね

 言い返せば又彼は・・・面白そうに笑う。
 その笑顔で私は静かに決意する。

蓮が笑顔で誕生日の瞬間を迎えられるように・・・今日はずっと隣に居よう

 きっとそれが・・・私の1番大切な役割だろうから。

『Fratello』【小野寺蓮誕生日番外編4/4】熱い夏4

facebook twitter
pagetop