Vingt.不安咲く静寂

無理ね

ギアマン

・・・・。

ヤミゾノ・ノアール

・・・・。

ギアマン

頼む…!俺は
どうなってもいい
だからヴォレロを
人形にしてくれ
お願いだ…闇園…!!

ヤミゾノ・ノアール

その女は闇市を
荒らしたうえに
自分が人狼だと
いうことを隠して
闇園カンパニーに
入り込んだ、ただの
害獣よ

何をそんなに必死に
なる必要があるの?

ギアマン

…それは…

ペタル

闇園様っ
お願いします!
私、ヴォレロが
こんな死に方する
なんて、なんか
嫌だ!!

ヤミゾノ・ノアール

はあっ?何よ
あんたまで…

ペタル

お願い闇園様っ!
これからはもっと
たくさん稼ぐから

ヤミゾノ・ノアール

…無理なものは
無理よ

ペタル

どうして?!
闇園様なら、人形
一体作るくらい
簡単じゃない
ですか!

パルテ

・・・・。

ペタル

パルテも
闇園様に
お願いしてよ!

パルテ

…ごめん、でもペタル…

グレンヌ

・・・・。

ペタル

こんなの嫌だよお…!
私もっとヴォレロで
遊びたいっ!

ヴォレロが
いなくなったら
誰が私に
アイスクリームを
奢ってくれるのっ!?

嫌だ嫌だ!!
ヴォレロがこのまま
腐っちゃうなんて
やだああっ!!

ヤミゾノ・ノアール

うるさい!!

ペタル

っ!

ヤミゾノ・ノアール

あんたがその犬を
気に入ってるのは
よ~く分かったわ

でもね!私が
やらないと言ったら
やらないの

ペタル

そんな…

ヤミゾノ・ノアール

・・・・。

ギアマン

…闇園…

ヤミゾノ・ノアール

なんて顔してるの
みっともない

ギアマン

・・・・。

ヤミゾノ・ノアール

分かってるでしょ…?
死んだ体じゃなきゃ
人形は作れない

ギアマン

…?

ペタル

え?だって
ヴォレロはもう…

ヤミゾノ・ノアール

Loup-garou…
しぶといわね

死んでないわ
気絶してるだけよ

グレンヌ

…!

パルテ

・・・・。

ヤミゾノ・ノアール

死んだ死んだって
大騒ぎする前に
ちゃんと脈とか
確認したの?

ギアマン

生きてる…!

ペタル

ほんとっ!?

ヤミゾノ・ノアール

安心してるところ
悪いけど、あれだけ
ボコボコに殴って
首まで締め上げたのよ

早く処置しなきゃ
どちらにしろ死ぬわね

ギアマン

…!

ペタル

あっ兄様!待ってよ
私も行くー!

ヤミゾノ・ノアール

・・・・。

グレンヌ

…よろしいのですか?
闇園様…

ヤミゾノ・ノアール

…面白くないわね

パルテ

…!

ヤミゾノ・ノアール

色々と気になることも
あるし…人狼の始末は
あとで考えるわ

その間、後のことは
よろしくね…グレンヌ

グレンヌ

…Oui

パルテ

・・・・。

グレンヌ

・・・・。

パルテ

姉様…何かすごく
嫌な予感がする

グレンヌ

…そうね、けど今は
お兄様のそばにいてあげて

パルテ

…Oui
姉様も、あんまり
無理しないで

グレンヌ

ええ

パルテ

兄様のことも心配だけど
姉様は平気な顔で激務を
こなしたりするから
疲れとかあんまり態度に
出さないし…
分かりにくいから心配だよ

グレンヌ

子供は、見たままを素直に
受け取るものよ

パルテ

お生憎様、若いのは
見た目だけ

グレンヌ

なら、私を
気遣うのは
下心からかしら?

パルテ

姉を労わってる
だけ!

グレンヌ

あなたこそ、頭が回るのは
良いことだけれど
無茶しすぎないように

パルテ

分かってるって

姉様も!
無理しないでね!?

グレンヌ

分かってるわ

パルテ

分かってないよね

グレンヌ

分かってないわね

ヤミゾノ・ノアール

・・・・。

フバタキ・マダラユメ

聞いてください、闇園様
本日、トイレにある
すべての便器が詰まる
という非常事態が
起きていたのですが
なんと、なんと
ついさっき僕が
全部直しました!

ヤミゾノ・ノアール

・・・・。

フバタキ・マダラユメ

おかげで全身筋肉痛です
しかし、ラバーカップ
というのは大変ですね
便器につっこまれる定め
というのは名誉か
屈辱か?紙一重です
ラバーカップに
生まれなくて良かった

ヤミゾノ・ノアール

・・・・。

フバタキ・マダラユメ

・・・・。

ヤミゾノ・ノアール

・・・・。

フバタキ・マダラユメ

便器の詰まりを直すのに
とても苦労したのですが
一体何が詰まっていたと
思います?

ヤミゾノ・ノアール

・・・・。

フバタキ・マダラユメ

これまたびっくり!
バケツ一杯の
ドブネズミ~!

ヤミゾノ・ノアール

ア"ァアアアア
アアアァ"!!

フバタキ・マダラユメ

それを見た時、僕も
似たような叫び声を
あげました、やはり
驚きますよね

ヤミゾノ・ノアール

ペチャクチャ
ペチャクチャ
鬱陶しい!!
なんでこんな
最悪な気分の
時にトイレに
詰まった
ドブネズミの
話なんて
聞かなきゃなん
ないのよ!!

フバタキ・マダラユメ

落ち着いてください…!
そんなに怒鳴られると
僕の筋肉痛に響きます

ヤミゾノ・ノアール

じゃあ黙ってて
くれない?

フバタキ・マダラユメ

あ!では癒されるお話なら
どうでしょう?

実は、トイレに詰まった
ドブネズミの処理を
していたところ
その中でも、とても大きな
体の個体がいまして
それを掴み上げた瞬間
なんと…そのドブネズミが
子供を雪崩のように
産み落としたのです!

ネズミの出産なんて初めて
見たので、僕は感動して
思わずため息をついて
しまいました

ヤミゾノ・ノアール

で?癒される話って??

フバタキ・マダラユメ

えっ?もう終わりましたが

ヤミゾノ・ノアール

ていうか…
ドブネズミの出産で
感動するのは勝手だけど
ちゃんと処理したん
でしょうね?

フバタキ・マダラユメ

はい、ゴミ袋に
全部まとめて
焼却炉に放りました

ヤミゾノ・ノアール

感動も一緒に
灰にしたわけね
あんた最高よ
フバタキ

フバタキ・マダラユメ

感動は灰になったり
しませんよ?
いつも心の中に
あるものですから

ヤミゾノ・ノアール

あっそ…

フバタキ・マダラユメ

・・・・。

ヤミゾノ・ノアール

お茶…

フバタキ・マダラユメ

…!

ヤミゾノ・ノアール

あ…そうだ

グレンヌには、さっき
人狼を任せてきたから
いないんだっけ

フバタキ・マダラユメ

どうぞ

ヤミゾノ・ノアール

フバタキ・マダラユメ

カモミールティーです

ヤミゾノ・ノアール

・・・・。

フバタキ・マダラユメ

・・・・。

ヤミゾノ・ノアール

まぁっずい

フバタキ・マダラユメ

おかしいですね…
グレンヌさんに
教えていただいた
とおりに淹れたの
ですが…!

ヤミゾノ・ノアール

下手くそ

フバタキ・マダラユメ

もう少し勉強します

ヤミゾノ・ノアール

…どうして私じゃないの…

フバタキ・マダラユメ

闇園様?

ヤミゾノ・ノアール

すこし仮眠を
取りたいから
部屋に誰も
入れないで

…分かったわね?

フバタキ・マダラユメ

添い寝しましょうか?

ヤミゾノ・ノアール

聞かなかったことに
してあげる

いい?部屋に
誰も入れるんじゃ
ないわよ

フバタキ・マダラユメ

あの~でも、僕の
退勤時刻とっくに
過ぎてるんですが

ヤミゾノ・ノアール

残業代、奮発して
あげるけど?

フバタキ・マダラユメ

Oui!!Oui-!!
お任せください
闇園様!誰一人
お部屋には侵入
させませんので
ご安心して
お眠りくださあい!

ペタル

・・・・。

ギアマン

・・・・。

ペタル

ヴォレロ、ちゃんと
療養すれば大丈夫だって
良かったね!兄様っ♪

ギアマン

ああ…

ペタル

ねえ、兄様
兄様もヴォレロが
好きなの?

ギアマン

…え?

ペタル

パルテも好きだって
言ってたっ!もちろん
私も好き!きっと
ここにいる量産型の
ほとんどもヴォレロの
ことを気に入ってるよ
すごいよねっあの子
人形キラー?

ギアマン

…そうなのか
それは知らなかった

ペタル

フバタキくんとは
大違いだね~

ギアマン

お前たちはどうして
ヴォレロが好きなんだ?

ペタル

そうだなあ~
私は、アイスクリーム
奢ってくれるから好き!
あと~何しても結局
許すところが好きかなあ

ギアマン

…まるで玩具だな

ペタル

うんっ!今、一番
お気に入りの玩具!

ギアマン

あいつで遊ぶのはいいが
やりすぎて壊すなよ
今日という日が無駄になる

ペタル

兄様みたいに
力持ちじゃないから
複雑骨折させる
心配とかはないかなあ~

ギアマン

・・・・。

ペタル

冗談だよ、兄様
ヴォレロに怪我させたこと
気にしてるんだね?

ギアマン

あいつが回復して、目を
覚ました時…俺はどんな
顔をして会えばいいんだ

ペタル

兄様?真剣なところ
悪いんだけどー
表情の種類悩むほど
ないよね?

ギアマン

・・・・。

ペタル

仏頂面一つ

ギアマン

分かった顔のことは
もういい

パルテ

兄様

ペタル

パルテ!

ギアマン

パルテ…どうした?

パルテ

兄様に言わなきゃ
ならないことがあって

実は…

ペタル

パルテっ!!

パルテ

わあっ!
なにペタルっ?

ペタル

どうしてあの時
ヴォレロを撃ったの?!
殺したくないって
言ってたじゃん!

パルテ

あ、あ~だからつまり…
そのことを兄様に
説明しようと思って

ギアマン

パルテ

まさか兄様が闇園様に
逆らってまで
ヴォレロを助けるとは
思わなかったから
驚いたけど…
かえって話しやすく
なったかな

ギアマン

・・・・。

ペタル

兄様?

ギアマン

…!

パルテ

ギアマン

なんでもない
疲労で少しぼんやり
してただけだ…

パルテ

仕方ないよ、今日は
かなり濃い一日だった
からね

ギアマン

ああ…それで
話って?

パルテ

あの時、僕が
ヴォレロに
撃ったのは
麻酔薬なんだ

ペタル

えっ…そうだったの?

ギアマン

麻酔薬…
…それじゃあ

パルテ

殺す気なんてさらさら
無かったよ、姉様に
口裏を合わせてもらって
闇園様に気づかれないよう
銃で応戦するふりをしてた

人狼に麻酔薬が効くか
どうかは賭けだったけど

ペタル

なにそれ~
それならそうと
言ってくれれば
いいのにい~っ

パルテ

ごめん、でも
流石に言ってる
余裕は無かったんだよね

ギアマン

…そうか

パルテ

それにすごく
焦ったよ!

麻酔薬の効果より
先に兄様が
ヴォレロを
殺しちゃったんじゃ
ないかって思ってさ

ギアマン

そ、それは…
悪かった

パルテ

しかも、その後
ヴォレロを人形に
してくれ!なんて
言い出すから、内心
冷や冷やしたよ

ギアマン

…すまん…

パルテ

いいよ別に、兄様が
闇園様に一番束縛されてて
思い通りに動くの難しいの
知ってるから

ギアマン

・・・・・。
そんなのは言い訳だ

俺は何も分からない
まま、ただ力任せに
ヴォレロを傷つけた

…ヴォレロは
お前達がいたから
救えたんだ

ペタル

…兄様

パルテ

どうしよう
実際、その通り
だから何も
言えない

ギアマン

あいつは俺を救った…

だが、俺はあいつを
…救えなかった

パルテ

兄様

ギアマン

…なんだ?

パルテ

気を抜くのはまだ先に
なりそうだよ

この先…きっと
今日より悪いことが
起きる、それがどんな
形かは分からないけど
まだ全部が終わってない

ギアマン

・・・・。

パルテ

闇園様は何故か
ヴォレロを生かしてる
あんなに殺したがって
いたのに、どうしてだと
思う…?

これは僕より兄様のほうが
分かるんじゃないの?

ギアマン

・・・・。

パルテ

まだ、ヴォレロが
殺される可能性だって
あるんだよね…
今日は助かったけど
明日は死ぬかもしれない

ギアマン

・・・・・。

パルテ

そういえば…ヴォレロって
闇園カンパニーの
医療施設で治療を
受けるのでいいんだよね?
外部の病院へ入れると色々
面倒だろうし、我が社が
社員を傷物にしたなんて
知られたら、厄介だ

ギアマン

…そうだな
そうなるかもしれない

それに、そのほうが
俺も監視しやすい

ペタル

でも、ヴォレロの
親族にはなんて
説明するの?

グレンヌ

その必要はないわ

ギアマン

グレンヌ…
どういうことだ?

グレンヌ

今、ヴォレロ
・ウルフに
親族は一人も
いないからよ

パルテ

…孤児だった
ってこと?

グレンヌ

厳密には、両親とも
数年前に亡くなっている
からなの

だから、今の
ヴォレロ・ウルフに
血縁者はいないわ

ギアマン

・・・・。

…グレンヌ

グレンヌ

ギアマン

結局…あいつは
何者なんだ?

グレンヌ

それが…

ペタル

そういえば、どこの
スパイだったの??

パルテ

・・・・。

グレンヌ

…何者でもないのよ
本当に、ただの
人狼の女の子

ギアマン

なんだと…?

グレンヌ

経歴もいたって平凡…
裏社会で動いていた
形跡も無い

彼女の人生に黒を
見つけるとしたら
ここへ就職したこと
くらいね

ペタル

やったあっ!
ヴォレロが、ただの
犬なら殺さなくて
済むね!

闇園様にしつこく
お願いすれば
ここで飼えるかも!

パルテ

そんなにうまくいくかな…

ギアマン

あいつが何の密偵
でも無いとしたら
なぜ闇市を
荒らしたり
襲い掛かったり
してきたんだ…?

それに、俺の
問いかけに対して
吠える一方で
意思疎通が出来て
いないようだった
あれはまるで…
人狼というよりは
知性の無い獣だ

グレンヌ

・・・・。

パルテ

たしかに…人狼なら
会話くらいできるはず
だよね

今までのヴォレロだって
ちゃんと話せてたわけだし

グレンヌ

率直に言うと…
彼女には、特殊な
持病があるのよ

それが
闇園カンパニーを
騒がせた理由と
何か関係がある
かもしれないわ

ギアマン

…持病?

ペタル

もしかして性病なの?
飼うとき去勢しなきゃ
だめかな

ギアマン

・・・・。

ペタル

面倒くさいねっ兄様!

ギアマン

ちょっと黙ってろ

ペタル

Oui

グレンヌ

人狼でありながら
自分の半身である狼と
共存できない極めて
稀な症例だそうよ

普段の彼女は全く
獣を纏わず、ほぼ人間に
近い状態で生活していた
みたい

ギアマン

だが、狼を使えない
わけじゃないんだろう?

グレンヌ

ええ、けど表に出すと
自身で制御することは
出来ないの、その時は
自我を失っている
状態になるわ

ギアマン

話し合いが
出来なかったのは
そのせいか…

パルテ

でも普段、狼は
眠ってるんでしょ
だったらなんで
さっきまで
ヴォレロの中の狼は
目を覚ましていたの?

グレンヌ

何が引き金に
なっているのか
調べても
詳しいことは
分からなかった…

けど、彼女は
この症状が原因で
両親を殺めている

パルテ

…え?

ペタル

両親が
亡くなってるって
自分で殺したの?!

ギアマン

一体どういうことなんだ

あいつに何が起きている?

グレンヌ

きっと彼女自身にしか
分からない、何かが
あるはずよ

ギアマン

・・・・。

フバタキ・マダラユメ

ふわぁあ~…

…眠い

ヤミゾノ・ノアール

ん~…ん~…

フバタキ・マダラユメ

ん?

ヤミゾノ・ノアール

ふばたきぃ~…

フバタキ・マダラユメ

闇園様?

フバタキ・マダラユメ

入りますよ?

フバタキ・マダラユメ

闇園様、お呼びで?

ヤミゾノ・ノアール

ん~・・・・

フバタキ・マダラユメ

眠そう

ヤミゾノ・ノアール

な~んか…
体が痛いのよお~…

フバタキ・マダラユメ

はあ…?

ヤミゾノ・ノアール

肩揉んで~…

フバタキ・マダラユメ

全身筋肉痛の僕に
それを頼みますか

ヤミゾノ・ノアール

腰揉んで~…

フバタキ・マダラユメ

今なら胸揉んでも
怒られなそう

ヤミゾノ・ノアール

ふばたきぃ~…
はやくふばたきぃ~…

フバタキ・マダラユメ

まったく…僕は
マッサージ機じゃ
ないんですよ?

ヤミゾノ・ノアール

ん~…なら

…マッサージ機
買おうかしら…

フバタキ・マダラユメ

えっ

ヤミゾノ・ノアール

…はあ~、なんかこう…
全身をほぐしてくれる
ようなのがいいわね~…

ちょっと探してみよー

フバタキ・マダラユメ

あれ?これってもしや
マッサージ機を買われたら
僕が闇園様に触れなく
なるのでは?

ヤミゾノ・ノアール

首筋、肩、背中、腰、お尻
もも裏、ふくらはぎ、足
足裏…

ふ~ん、このマッサージ機
なんていいじゃない
ねえ?フバタキ
あんたこれどう思う?

フバタキ・マダラユメ

えっ?
そ、そうですね
見た目は悪くない
ですが、実物を
見てみないことには
なんとも…

ヤミゾノ・ノアール

えー?今すぐ
使いたいのに

フバタキ・マダラユメ

って僕が
言いたいのは
そういうこと
じゃなくて
ですね!

ヤミゾノ・ノアール

何よ急に?

フバタキ・マダラユメ

全身マッサージ機
なんて買うべきじゃ
ないですよ
無駄遣いも
いいところです

ヤミゾノ・ノアール

いいでしょ別に
自分のお金で買うんだから

フバタキ・マダラユメ

たしかに

ヤミゾノ・ノアール

じゃ、これ試しに
買ってみよー

フバタキ・マダラユメ

わあああっ!?

ヤミゾノ・ノアール

ちょっと
今度はなに!

フバタキ・マダラユメ

だめですよ!
買ったら!
大体、全身を
もみほぐす機械
なんて卑猥です!!

ヤミゾノ・ノアール

何言ってんの?

フバタキ・マダラユメ

他人の体を触るために
作られたような物ですよ?!
中身だって邪なことで
いっぱいな方々に
決まってます!

ヤミゾノ・ノアール

あんたそれ…
マッサージ師にも
同じこと言えるん
でしょうね

フバタキ・マダラユメ

言えますよ!!
だって、性感
マッサージとか
どう説明する
おつもりです?!

ヤミゾノ・ノアール

それと普通の
マッサージを
一緒くたに
するんじゃ
ないわよ!

フバタキ・マダラユメ

とにかくそんな物を
買うのはやめてください!

ヤミゾノ・ノアール

どうして私が
あんたなんかに
指図されなきゃ
いけないの!

フバタキ・マダラユメ

闇園様にはご理解
いただけないと
思いますが

僕の立場から
言わせて
いただきますと
マッサージ機に
汚される闇園様
なんて見たく
ないんです!

ヤミゾノ・ノアール

頭痛くなってきた…
あんたがいると考えなくて
いいことまで考えなきゃ
いけなくなるわね~

全部の物に対して
そんなこといちいち
気にしてられないわよ

フバタキ・マダラユメ

いけませんっ!
もっと気にして
ください!

そんなどこの馬の
骨かも分からない
ような物に、全身を
触らせるなんて
ぞっとします!

大体、お尻と
もも裏なんて
僕だって触らせて
もらったこと
ないのに
不公平ですよ!!

ヤミゾノ・ノアール

じゃあ、お尻ともも裏
触らせてあげるから
マッサージ機
買ってもいい?

フバタキ・マダラユメ

はいっ!

あっ、違う
だめです

ヤミゾノ・ノアール

はあ~…
心配しなくても
買わないわよ

馬鹿高いし

フバタキ・マダラユメ

それはよかった♪

ヤミゾノ・ノアール

ふぅ…

フバタキ・マダラユメ

肩をお揉みしましょうか

ヤミゾノ・ノアール

さっき嫌がってた
くせに?

フバタキ・マダラユメ

だって勤務時間外ですよ?
全身筋肉痛ですし
同じ状況なら誰だって
嫌な顔します

ヤミゾノ・ノアール

簡単な仕事もこなせない
無能秘書が、社長を
目の前に、はっきり
言うわね~

フバタキ・マダラユメ

ですが、今日は
便器を救いました

そのせいで筋肉痛に
もなったのですよ
褒めていただきたい
くらいです

ヤミゾノ・ノアール

…そうね、あんたにしては
よくやったわフバタキ

フバタキ・マダラユメ

なんだか、怖いですね

ヤミゾノ・ノアール

…なにが?

フバタキ・マダラユメ

普段、全く褒められない
ので、こう…あっさり
褒められると違和感しか
ありません

ヤミゾノ・ノアール

そうね、何も考えないで
褒めてたらかそのせいだわ

フバタキ・マダラユメ

なるほど
酷い!

ヤミゾノ・ノアール

んー…

フバタキ・マダラユメ

闇園様?僕のマッサージが
気持ちいいからって
寝ないでくださいよ?

ヤミゾノ・ノアール

ぅ…ん~…

フバタキ・マダラユメ

一体僕は、いつ頃
帰れるのだろう
あまり遅いと兄さんが
心配するなあ…

ヤミゾノ・ノアール

ああ!だめ!!
もう屋敷に帰って
寝るわ!

フバタキ・マダラユメ

あ、そうですか?
じゃあ僕も帰りますね

ヤミゾノ・ノアール

…ん?まって

フバタキ・マダラユメ

はい?

ヤミゾノ・ノアール

あんたって…いちお
我が社の雇用社員
だけど、私の“物”
でもあるわよね?

フバタキ・マダラユメ

はい、そうですけど
それが何か??

ヤミゾノ・ノアール

今まであまり深く
考えてなかったけど
よく考えたら
どうして、私の物が
私の手元を離れて
どこかへ帰るわけ?

フバタキ・マダラユメ

ええっと?何を
おっしゃりたいのか
よく分かりませんが…

いちお、僕には帰る家が
ありますので

ヤミゾノ・ノアール

そんなの
関係ないでしょ
私の物なんだから

フバタキ・マダラユメ

つまり~…
僕はどうしたら
いいんです?

ヤミゾノ・ノアール

物分かりが
悪いわね!
私の屋敷に
持って帰る
ってことよ

フバタキ・マダラユメ

え?僕を闇園様の
ご邸宅へですか?

ヤミゾノ・ノアール

そうよ、今日から
私の屋敷に置くから
そのつもりでね

フバタキ・マダラユメ

…ですが、僕がご邸宅に
いると変に思われるの
では?

ヤミゾノ・ノアール

ハタキの状態で運べば
怪しまれないでしょ
問題ないわ

フバタキ・マダラユメ

兄さんに連絡しても
いいですか?

ヤミゾノ・ノアール

いいけど、余計なこと
言って外部に情報を
漏らさないでよ?

フバタキ・マダラユメ

Oui~

ヤミゾノ・ノアール

はあ

フバタキ・マダラユメ

もしもし、兄さん?
唐突な話なんだけど
実は彼女と同棲する
ことになって…

ヤミゾノ・ノアール

誰が彼女だー!?

フバタキ・マダラユメ

あ、うん
例の所有者様の
ご邸宅に置いて
もらうことに
なったんだ

ギアマン

・・・・。

グレンヌ

…お兄様、そろそろ
お屋敷に帰りましょう

ギアマン

…先に帰って休んでくれ
今夜は、医務室に泊まる

グレンヌ

・・・・。

お兄様、彼女の怪我は
お兄様だけが悪いわけじゃ
無いわ、だからそこまで
責任を感じる必要なんて…

ギアマン

違う…俺が
そうしたいだけだ

グレンヌ

…え?

ギアマン

何かあったらすぐ
連絡しろ

グレンヌ

・・・・。

END

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