確かに、恋は落ちるものだ

けれど、終わる時には、

切る、ものだ

まあ、そんなわけで
綺麗に何事もなかったのです

もう、
切れた縁ですからね

関わるなよ?

溜息大きいな

そもそも、電源オフにすりゃ
よくねーですか?

そんなことしたら、
お前死ぬだろう?

おっと、

ロボットに恋しちゃって
社会的に終わっちゃった博士に
言われたかねーですよ?

抜かせ

だから、お前は知らない子だ

出てけ

いや、だから、
いっそのこと壊しましょうや

何を? お前を?

いや、まあそれもアリっちゃ
アリですけど…

別の可能性?

そうとも言いますね
貴方、天才でしょう?

ええ、左様
勿論ですとも

なら、
人工知能を搭載したロボットと
人間の境界線とは何ですか?

感情の有無?

さて、此処で、だ

博士の大好きな演繹法で
考えましょうか

いわゆる、
究極の消去法ってやつだね?

大っ嫌いな方法だ

実際の人間に、
感情があることを
どうやって証明する?

そりゃ、うれしいことをして
うれしいと言わせたり、

かなしいことをして
かなしいと言わせたり、

そんぐらい、
オレでも出来ますわ

プレゼントもらったら喜びますし、
飼い犬が死んだら泣きますし、
後、よく怒りますし

そういう、
悪魔みたいな詭弁、
やめてくれないか?

貴方が教えてくれたんすよ
数学者のアレ

ああ、忘れたよ
よその子め

証明できるないものを、
デリートしまくって、
残るのは唯一

「自分が考えている」その行為
そのものだけだ

つまり、自分自身以外の
存在全ては、
証明不可能ってことですよね?

いいか、よく聞け

『自作ロボットを
好きになってしまったこと』が
社会不適合者であることの証明は可能だ

聞きましょうか

人間と、ロボットの恋の境界線を

子どもが出来ない

同性愛者は
世の中に認められつつありますよ?

・・・・・・

ああいえばこういうな、貴様

いやー、親が良いもんで

親の顔が見てみたいな

はいどーぞ?

産んだ覚えはないが

生作

――生んだ、
覚えはあるでしょうに

本当に、誰に似たんだか

生まれてこの方、
ずっと一緒にいる方に似まして

うるさいな、縁は切った

ほかを当たれ

他って何ですか、
ちょっと辞書登録にありませんねぇ?

てか博士なんて、
社会不適合じゃねぇと
やってらんなくないですか?

君は、一々、癇に障るな

そういうわけで、
壊しましょうや

何を

常識とか、普通とか、社会とか
そういう訳の分かんない常識を

そんな子に育てた覚えは、

じゃあ、いっそのこと
パワーボタン押して、
スクラップにして下さいよ

博士以外の人は、
人間だと思い込んでくるんで
対応が面倒ですし

いいじゃないか
普通の人の生活

絶対に、人間として認識されるぞ
私が作ったんだからな

はい、頂きました

――人間、として、
認識、される

――っ、

墓穴、だ

まあ、そういうわけです。

貴方の最高傑作は
完全に人間に近しく、
全くと言っていい程
境界線がない

人間のフリをずっと、してやると?

勿論ですとも。

というより、俺は
人間でさえも?
証明できない程に?人間なので?

大した自信だな?
親の顔が見てみたい

いつでも見れますよ?

腹立つな、君は

でも、可笑しいな

恋を切ったはずなのに、
ちゃんと機能している

いや、切るって…

そんな簡単に諦めれる感情では
ないですよソレ

では、先程の形式で
私も問おうか

恋に落ちていると、
恋から這い上がるの境界線は?

恋から這い上がる…?

そんなもん、ねーですよ?
落ちたら終わりです

あれば、主人の為を考えて
色恋してませんからね、俺

……

どうしました?
変な顔して

一度も、お前が私を好きだとは
聞いていなかったし知らなった

主人だから、博士だから
したがっているものかと

そうか、そうだったのか

――今の、忘れてくれません?

学者に問う。「境界線」とは

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