昔から、楽しみな事があると眠れなかった。
遠足とか、修学旅行とか……思い返すと恥ずかしい。

その日も、前夜から徹夜で喋っていた。

午前八時、目覚まし時計が、可愛らしく鳴り始めた。

リリリリリ・・・・・・と

しかし、その声は虚しくも持ち主には届かない。
少し眉をひそめるが、そっぽを向いたままそのまま夢の中に帰ってしまった。

目覚まし時計も諦めたかのように鳴り止む。
一呼吸置いて、更に大きく鳴り出した。

七星

うるさーい!!

叩くように目覚ましの上部ボタンを押すと、泣き止んだ。
そして、そのまま倒れ込み、動かなくなった。

七星

……今何時だよ

自分で乱暴に倒した目覚まし時計を立たし、時間を確認した。
午前八時を少し過ぎたあたりを指す時計

七星

……ねむ……

ゆっくりと体を起こし、リビングへ向かった。

七星

ゆっくり準備しなきゃなぁ……
朝ごはんあったかな……

テーブルの上には鍋に入ったおかずが置いてあった。
これもいつものことだ。
私にとっては特に注視することでもなく、ご飯を装いながら、次の行動を考えていた。

七星

着替えて、楽器積んで……あとなにか必要なものあったかな……
てか、下ろしておくものもなかったかな?最後に確認しておこうかな……

いそいそと着替えた。
できるだけ金属の装飾のないものを
そして、部屋から楽器や譜面台、そして楽譜を玄関に置き、車のもとへ

七星

四年間もよく乗ったなぁ。
こんなボログルマ……

七星

最後まで廃車にならなくてよかった。
リアフェンダーとかもうぼろぼろだし。

そう言いながら蹴ると、仮で埋めていたパテがぼろぼろとこぼれ落ちた。

七星

あんまり蹴ると壊れそうだな……
やめとこう……うん

”ボログルマ”に荷物を載せ、とりあえず一言

七星

一応言っておくか。
ほんと、お疲れ様だよ。ほんと‥…
結構無理したしな。

七星

まぁ、つなぎで買ったんだけどな。
その割には長く乗ったもんだよ。事故もしなかったし。

っと、まぁ……簡単な挨拶を済ませて、ディーラーへ向かった。

納車日 前編

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