口火を切ったのはレジーナだった。

 正面に立つ門兵を切りつけながら、

そのまま隊長達に指示を出す。

レジーナ

各自四方の敵を抑えろ!

城主の間に向かうレジーナ。

そしてレジーナを

援護するように動く兵士達。



僅かな隙も作らぬように

レジーナをフォローしている。



ギュダ隊の兵士で、

姫の援護をどんな時でも

出来るようにギュダから

教わっていたのだ。

兵士

行くぞー!!

兵士の中には各自で

連携攻撃を行う者がいる。



その雄叫びは兵を奮い立たせ、

お互いの背中を守りつつ、

鋭い連携を繰り出している。



その奮闘にレジーナ軍全体の士気が高まった。

敵兵士

なっ! 何だと!?

技術の高い兵士が

敵の武器を絡め取っている。



敵戦力の無力化と

現在武装の乏しいレジーナ軍の

強化に繋がる行動だ。

スダルギア

雑魚はワラワラと出てきやがる。

スダルギアは見た事もない武器を使い、

敵を寄せ付けていない。



両手に持つ武器で戦っているのだが、

片方の武器をもう一つの武器に

引っ掛けて振り回したりしている。

味方も驚くその攻撃に、

その矛先になっている敵は

完全に怖気づいている。

ガンツ

おらおら、
このハルバードの餌食に
なりたい奴から来な。

ガンツは荒っぽい攻撃で、

襲い掛かる兵士達を蹴散らしている。



大振りのその攻撃は隙も大きいが、

ガンツの兵士達が上手く立ち回り

カバーしている。

ギュダ

次は誰が相手してくれるんだ?

ギュダの槍は既に奮われ、

残る敵兵士をその威圧で

大人しくさせていた。



包囲されているはずのレジーナ軍。

だが知らず知らずのうちに

ギュダ隊と相対している敵兵は、

逃げ腰になり包囲を広げている。

レジーナ

くっ!?

レジーナを襲ったのは、

縄の先に分銅がついた捕縛武器だ。



反応良く二つ躱したレジーナだったが、

直ぐにも第二波が襲ってきた。

レジーナを、

身体を張って守ったのは兵士達だった。

分銅が急所に当たりその場に倒れる者。

武器でガードするも、

次の捕縛武器に拘束されてしまう者。

何人もの兵士がレジーナの前に壁を造り、

傷付き倒れていく。

兵士

義兄貴ぃーーー!!

捕縛された兵士を見て、

悲鳴にも似た声を上げる兵士。



ガンツ隊のブルチズだ。

義兄弟の危機に即座に

駆け付けようと全力疾走する。



しかし敵兵士は次々に押し寄せ、

捕縛された兵士に危険が迫る。

兵士

ブルチズ……、
俺は先に逝、く……ぜ。

兵士

うわぁあああ
ああああああ
ああああああ
あああっ!!

ブルチズの雄叫びは城中に響き渡った。



義兄弟の契りを交わしたチナ村。

それぞれの境遇と夢を語り、

共に戦う事を誓った。

夜風が清々しく星々は綺麗に瞬いていた。







その義兄弟の屍を乗り越え、

ブルチズは剣を振り上げていた。



自分の中に信じられない程の力を感じたが

それ以上に虚脱感と孤独感が

無限に湧いて出てくる感覚を知った。























そしてブルチズは、

迫りくる敵を全て切った――

レジーナ

あれほどの剛の者が居たとは……

ジュヅヴァで兵を薙ぎ払うレジーナは、

ブルチズの鬼神の如き活躍を目にし、

唇を噛み締めた。

レジーナ

あの者に続け!

ギュダ

ベッチー!
姫の道を開けよ!

兵士

御意――!!

ベッチーと呼ばれた兵士は

残り三人居た敵に、

レジーナよりも前に戦闘を仕掛ける。

扉の先の視界、

その広がりをレジーナは迎える。







敵味方多くの犠牲を乗り越え

その先に踏み出すレジーナは、

決然とした意志を

瞳に宿していた。

アズール城潜入戦での戦死者

ルーチェ




ズーノ・Y




その他28名、計30名

同胞に意志を託し

永眠

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