午後の授業も終わり、のんびりくつろいでいるあたしたちのもとに、レンセンパイが現れた。
ちゅー。
よしよし、ラットでは
成功したな。あとは……。
午後の授業も終わり、のんびりくつろいでいるあたしたちのもとに、レンセンパイが現れた。
あれ、レンセンパイ。
珍しいですねこんな場所に
お前たち、これから時間あるか?
あたしは大丈夫ですけど……えっ、
もしかしてデートのお誘いですか!?
阿呆。ちょっと手伝ってもらいたい
だけだ。まあ、ゆーまたそとなら
いつでもデートは大歓迎だが……。
あはは……。
あ、だめだこの人。まだ壊れてる。
レン、わたくしたちに
用事って、なにかしら?
わ、私は大丈夫ですけど、なにか?
ああ、実は知り合いの不夜城助教授に 頼まれてな。人集めをしている。
物質転移装置の公開実験をするから、
なるべく観客が必要なんだとさ。
あー……はい。あたしは良いですよ
なんだ、乗り気じゃなさそうだな?
いえいえ、レンセンパイのお願いと
あっては……ただうちのセンセイと
仲悪そうだなって思ったもんですから。
なるほどな。まあ学生が気にすることじゃないさ。というわけで行くぞ。
ちょっ、レンセンパイ!?
また迷子になられちゃ叶わん。真白、 最強院、こいつから目を離すなよ。
もちろん。もう逃がしませんわ。
バックは任せて。常に見てるからね
というわけで、あたしは三人に連行された宇宙人のごとく、会場までいそいだ。
皆さん、今日はこのような場所にお集まりいただき、ありがとうございます!!
あたしたちが来たのは、大学の敷地内にある発電施設に設けられた特設会場だった。
通常の実験ならば大学の校舎内で事足りるのであるが、大電力が必要になる実験の場合、この特設会場が用いられることになる。
物質転移装置の実験はそのひとつであり、あたしも何回か目撃している。ちなみに成功例はいまだにゼロだ。
この会場の難点は防音しているのに非常に騒音がうるさいこと。ゆえに拡声器か無線で開催主の話を聞くことになる。
えー、僕がそもそも物質転移装置を作るに至った経緯は、学生時代に見た映画『ザ・エビフライ』に出てきた転移装置に感動したからでありまして――。
同学内の多椙教授に後れを取ったことは誠に遺憾ではありますが、これは僕の
人生をかけた夢であり、世間で言われているような金や名声に眼がくらんだ行為ではありません、決して、決して……!!
前振りが長くなりましたが、さっそく 今回の転移装置の概要を説明いたします
この白と黒のポッドの中に物質を入れ、一方から一方へ物質を転移させることが今回行う実験です。……今回は白に物を入れて、黒へ転移させますね。
え、赤と青じゃないかって? 僕が白と黒と言ったら、白と黒なんですよ、そこは聞き分けてくださいよ、おなしゃす!!
んで、研究室ではラットを入れた転移に成功しており、今回はその最終段階。 僕の夢の人間を使った転移を行います。
どなたか我こそはと思う方は……いませんよね、ハイハイ。なので僕自身が実験体となって転移を行おうと思います。
斎藤氏……僕にもしものことが
あったときは……頼んだよ。
わかってますよ、不夜城さん。あなたのパソコンの中のエロ画像とファイルは、俺がすべて責任をもって消去しておきますから。迷わず突き進んで下さい……!!
あれは……ダメ。失敗する……。
ん? どうしたのゆーま、何か言った?
……電力が少なすぎる。演算回路の能力も不十分。そもそもラットと人間じゃ、細胞の数も複雑さも桁違いすぎる。あれじゃ再構築どころか、転移も失敗する。このままだとあの人……死んじゃう。
え、そうなの!? でもどうすれば……。
実験を……中止させる!!
えっ、……ちょっまっ……。
その実験、ちょっとまったー!!
……。
……。