まだ僕らが幼かったあの日。

雨の降る中、
誰もいない公園で彼女は言った。

私、雨が好きなの!

えー。僕は晴れが好きだなぁ

………


 

雨が好き

そう言う彼女のことが
僕は理解できなかった。

雨は濡れるし

なんだか暗い気分になる。
 

それなのに彼女は雨を見た後、

―――♪

晴天のような笑顔で

僕に笑いかけながら
もう一度言った。

ー雨・

     が    

すき!ー

……!

ねぇ

×     ×     ×     ×





 ポコンッと携帯の画面に
浮かぶ一通の通知。

携帯の着信を聞いた僕は
枕に顎を起きながら画面を叩く。

何?



 夜遅くに来た一通のLINEに
とりあえず返信した僕は布団にくるまる。

瞼を閉じようとしたその時、


またポコンッと携帯が鳴った。

………

 通知内容を見た僕はたまらず

なに言ってんだ

と呟いていた。

君はどんな動物が好き?

ガ?

すずめ?

キツツキ?



なんで鳥が2種類いるのに
1つだけ蛾なんだろう、

そう思いながらも

相変わらず意味不明なLINEに

僕は眠たい目を細めながら
ゆっくりと指を動かす。

すずめ、かな

とりあえず聞かれたことには
  真面目に答える性格の僕は
     質問にきっちりと答えた。

 いきなり好きな動物を聞いてくるなり
虫や鳥の名前を発する彼女は

きっと夜のテンションとやらに
身を任せているのかもしれない。


 まったく彼女の性格にも困った物だ。




いきなりどうしたの?

ねぇ、
さっきのやつ縦向きに
頭文字読んでみてよ

え?縦?

はやくはやく!

 急げとせかす彼女の言うように
さっきのLINEのやりとりまでスクロールする。

       。    

        。   

     。      

      。     

最初の好きな動物を
聞かれたところから








――!

そこで僕は気づいた。

彼女のしょーもない冗談に。

『君がすき』

やったー!
私も大好き!!ありがとう!



は??

何を言ってるんだい?



え?
だって私は今告白されたんだよ?

雨希に好きって!

さっきのは茜が読んでくれといったから
そう打ったのであって
心理的に君が好きというわけじゃない



 

まったく……

と呟きながら
返信を打つ僕の気も知らないで

画面越しの彼女はきっと
ニヤニヤと嫌な笑いを
  浮かべているに違いない。

本当に困った人だ。昔からそうだった。

まぁまぁ、雨希。

そう照れるでない(笑)

いや微塵も照れてませんけど。
自意識過剰過ぎません?

 思ったことをそのまま返信した僕。

なんやかんやで僕は
こんなやりとりをもう何年も続けている。

今LINEをしている彼女、佐藤茜とは
小学校以前からの幼なじみで

家も僕の家から歩いて三分とかなり近い。

いわゆるご近所さんの幼なじみ。

 そんな彼女に

僕はたったいま
無理矢理な告白をさせられたわけで……

雨の日の向日葵

作者:永久様

雨傘にタップすると続きが読めます
(小説家になろうリンク)

以下、永久様の書いた
紹介文です

『君が好き』


 
彼女いない歴=年齢の内気な雨希《あき》と


クラスで人気者の幼なじみ。
向日葵のような笑顔を持つ女の子、
茜《あかね》。


 不本意にも雨希は理不尽すぎる告白を
茜にさせられてしまったことで

二人の関係は静かに動き出す。

 タイトルに出てくる花。

花にはそれぞれ意味がある。

そんな花たちと掛け合わされた
茜と内気な雨希二人の青春ストーリー。

雨の日の向日葵 作者:永久

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