この世で一番楽しい事は
妄想であり

言葉にして書き記すこと。

世間一般的には
”黒歴史ノート”と呼ばれるモノ。

 
 書き記す者からすれば、
それは別名”聖書”と呼ばれるモノ。

――

その中でも
逸脱したツワモノがここにいた。


 若干31歳にして、
見事童貞を守りきり

不覚にも魔法使いと

非公式にも
成ってしまった人物が
ここにいた。

 関西屈指の名門大学を経て、
大手金融機関に勤めし秀才。

 現在独り身にして、彼女暦0年。
 莫大な資金は、ヲタク趣味に費やす。

 休日は、妄想したことをノートに書き記す。

平和的な日常を送る貴族悠々の趣きを持っている。

 身長は175cmセンチメートル、
低いわけではなく高くもない平均値。


 体重も58kgキログラム、
身長に見合うもので太っていない


外見もまた目鼻立ちに
少し違和感を覚えるが悪いということもない。
中の下、あるいは中の上。

 10人に5段階評価を求めれば[3]と
即答でマークシートに塗りつぶされるような



平和的なサラリーマンである。

だが、平和的な日常を送る
平和的な外見を持つからといって

彼女が平和的についてくる
わけではない。

学生時代に
サークルに参加していた女性に
告白するものの、

こっ酷く振られ

仲が良かった関係も全てが崩れ落ちた。

今では、そんな楽しいかった光景を
崩さない為にも

告白しようと思い立つことは
無くなってしまったが、

こんな自分でも好きな人はいる。

坂梨 碧


実家のお隣さんで幼馴染であり、
学園中のマドンナであり続けた女性だ。


 今思えば、そんな彼女には
男の噂が聞いたことが無かったが、

裏ではベットの上で
腰をきっと振っていたと思う。

 それに碧の話が何故出てきたのかそれは……。



 

ねぇ……こんなの捨てちゃってよ!!!

何時迄も恥ずかしいなぁ……

もう大人なんだから!!!

我が自作、
ノートを買って使い切っては

表紙をボンドで接着し続け
分厚くなった聖書を片手に持つ彼女。

この状況は、時折起こる光景。

現在、実家に帰省中な為、こうやって
有る事無い事突っかかっくることがある。

本日もまた学生時代の時のように
こうやって人の部屋に勝手に上がり込んでは
片付けるを始める。

そんな姿に不意に学生時代の碧と
被せてしまったのが原因だ。

………

彼女がベットに放り投げた
我が聖書を傍観しつつ、

社畜生活の疲れをヒシヒシと感じている。

お前は、暇なのか?

わざわざ勝手に上がり込んで、

そんなに俺のことが好きなのか?

 自分が口にしたにも関わらず、
未だ思う彼女に対しての気持ちが混ざり込む。

はぁ……?

そんな訳ないじゃん……。

穀潰しに
誰が好意を寄せるってのー!

夢みるのも大概にしてよね

穀潰しって……

そんな腑抜けた人生
送ってないんだけど……

そんなの知らない。

今の私の中では学生時代の
秀の記憶の方が強いから

 それを言うならこっちも
そうだよ!

それに今では

金融機関に勤める
エリート様となった俺は
社会貢献力53万だぞ!
 

そんな俺に実家暮らしで
バイト通いのお前には少なくとも勝ってる!!

 心の内で勝ち誇りながら、聖書のページを巡る。

実家暮らしの穀潰しは
どっちなんだろうね……

何か言った?

何も……

未だ健在のこの妄想力。

この頃から鍛え続けたお蔭で
プレゼンに使えるアイデアが
ゴロゴロと出てくるマシーンと化した俺の脳。

 
 
 此れには感謝しても
仕切れないのかもしれない。

あっ!!

秀……それちょっと貸して!

 不意に碧に取り上げられる聖書。
 

何をするのかは知らないが、

じっーと見つめる事で

嫌な予感が
ぷんぷんするのは

何故だろうか……。

お前……

まさか!!

ふんっ!!!

 呆気なく、引き千切られる我が聖書。
 

細切れとなって此処に散る。
 今となっては、只のノート。
 

だが、人生の3分の1を注ぎ込んだそのノートには
色々と思い出が詰まっている。

あぁ……

 頬に水滴が滴る。

 そして、その水滴は肌に感触を残して、
地に堕ちる。

これで、秀は此れを
糧に強く生きてください

 思い出が……詰まった……そのノート。
 

彼女に対する想いのポエムも
またそこに刻まれていた。

 


それが彼女自身に
引き千切られる行為は、

彼女に振られたも同然。


嘗ての同期に振られた想い出と被り
数多の感情が揺さぶられる。


 怒気。

悲気。

消気。

 混ざり合って新たに感情が生まれる。

お前今すぐ……買って……修…しろ……

なに?

今すぐ!!!!
コンビニに行って
テープを買ってでも

これを修正しろって
言ってんだ!!!!

転生したら
身動きの取れない魔導書でした

作者:汁場様

聖書に手を翳すと、異世界へ
(小説家になろう!リンク)

以下、汁湯様の作品紹介文

死の直後、悲惨な死を遂げた金剛 秀隆は、

どういうわけか異世界に存在する
一冊の本に転生する。

そのノートは、
我が身が攀じる程に知る瓜二つの

恥ずかしくもあり、
思い出の詰まった黒歴史ノート。


身体が動かないのですが、
どうすれば人に出会えますか?

ーー《解》 装備者が来るまで待ちましょう。




なんやかんやで1年……10年……1000年。


気の遠くなる時間の記憶と共に
身体に何か温かい感触が!?


目標は一先ず。

名の元通りに伝説の魔導書として成り上がって、
楽園を作ってみようかな?


そんな軽い気持ちから始まる誤転生魔導書ライフ

転生したら身動きの取れない魔導書でした 作者:汁場

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