――狐に憑かれた処女は、
國を救う神子になるが、

その妖狐は、
人身に大きな負担を与える為、

國を救った途端、
役目を遂げた様に消える

毎回、毎回、巡ってきたことだ。

彼女は覚えているのに、
また俺に「憑きなさい」と命令するから

もう、馬鹿なんじゃないか。

……記憶、あるんだよな

そうですよぉ

君の悩んでる顔は可愛いですねぇ

今、真剣な話

あら!そうでしたか!

おい…

でも、覚えてんだし、
また巫女になるんだから

別に関係ないでしょうに

縁さ、輪廻転生で

巫女ばっかになってるのが
普通だと思うなよ?

実際なってるんですし、
そう思いますよー?

ほら、レッツ自己犠牲。

かつ、レッツ輪廻転生!

私利私欲で神通力使って、
転生先を操作してる。

とは、言えないよな…

でもま、どっちにせよ。
貴方の力がないと、國は救えません

私に、憑きなさい?

何回目だ、
そろそろ断っても良いよな?

約束するわ。
貴方の元へ帰ってくると

なら、俺が憑いてる時、
死なないと誓えよ

………だろうな、
この馬鹿

馬鹿じゃなくて、
歴史を知っているだけ

毎回、死んでるから
それは出来ない約束。

でも、安心くださいな。

私は、それでも、戻ってきます

流石に、
これ以上は保障出来ねぇぞ…?

あら!
貴方が好きな女の子を
独り占めしたいって欲望の為に、
自分の力を蹂躙していたのね!


妖狐って恐ろしいわ!

よーし、憑くぞー

ぜったい、約束、守れよ

そっちこそ

彼女は、それから、巫女として
國の窮地を救った

それで、それから5日後だった――

俺のせいではないはず、だが、


彼女は寝ている時に、
 憑かれた様に身体が動き、

それが、最期だった

もう何百年経つのだろう。

彼女は、何かの干渉を受け、殺されて
巫女として転生していない

約束は、どうした。

どうして馬鹿みたいに
そう恋愛に悲観的なんだ

馬鹿じゃなくて、
歴史を知っているだけ

――は。

馬鹿じゃなくて、
歴史を知っているだけ

お、おい…

な、なぁ……

……ん?

どうしたの?

何か、間抜けな声、
しなかったかしら?

…お前が、縁か

ちょっと不審者ですか、
やだー

流石に傷付くんだが、
今回はどこまで覚えてんだよ

……え、縁ちゃん
何と話してるの?

宇宙人かしら。
それとも、神様?

や、あの、縁…だよな?

いかにも。

けれど、
私は君のこと全く知らないのです

…………へぇ、

―――

なら、いい

待ってた俺が馬鹿だった。

もうアイツは死んだことにする

…わっ、ちょっと

はい、待った♪

……なんだよ…

待ったんなら、
最後まで待ってみたら?

どの口が言うか

この白刹神社の娘様である
縁さんの口が、言いますよぉ

――否、白刹神社には
もう娘なんて出来たことがない

……だからこそ、養子として
遥々と遠くの県から来たと言うのに

……確定、かよ

いや、お前は縁じゃない。
探してたのは縁。

今は、もういない

失礼なお人。

私だって、
まごうことなき縁よ

それに貴方、
氏神だからって
うじうじするとか

ちょっと、笑えるじゃない…

……は?

だから、貴方が
誰かを探している間、

私が暇つぶしとして、

貴方の依り代になって
あげましょうか

そんなことしたらお前さ
――死ぬぞ?

いいわよ、
貴方が白刹の狐であるなら光栄

誰も救ってくれなかった私を
養父さまは救ってくれた

だから、妖狐に、貴方に
この身体が呑まれたとしても

私は、お義父さまの
武器でありたいのです

お義父さん、お義父さん…

完全に約束忘れてやがる…

分かった。

その時が来たら、
この白刹憑いてやろう

んで、さっさと偽物の縁は
成仏すればいい

理由はともあれ、
利害の一致ですね

嬉しいわ。

アイコンを使いたかった、すごく長くなった。続くといいな!

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