そんな風に言われると、私も少し気になってしまう
相変わらず料理は美味しいですね
料理「は」って何よ
珍しくこの僕が褒めているんですから感謝くらいしてください
はいはい、感謝してますよー
で、結局他に疑わしいのは誰なの?
ああ……えっと、生徒会長さんの彼女さんだっていう……
レミ?
ああ、その人です
レミのどこが怪しいのよ
あの人、校舎の中に人がいるかもしれないっていうあの状況で、ミロクお姉さんに『透視』するよう頼んだじゃないですか
あの時僕たちはみんなあそこに学生がいることはほぼ確実だと思っていた
そうなれば、透視なんてせずにさっさと助けに行く手段を考えるはずなんです
でも、『透視』をさせたってことは、あの校舎内に人がいないことを知っていて、
それを証明するためにやったんじゃないかと……そう思ったんです
なるほどね……
確かに、あの場面で『透視』はいささか冷静すぎた
でも、人はパニックになると深くものを考えられなくなるわけだから……その行動の矛盾を確かな証拠にするわけにはいかないかも
パニックになっていたから、てんで的外れな指示をしてしまったと
僕は、あの人がパニックになっているようには見えなかったですけどね
レミは、結構そういうところがあるから
そういうところ、とは?
みんながパニックになっているときこそ冷静に振る舞おうとするところ
ふうん……
ところで、レミさんの魔法はなんですか?
レミの得意魔法は『水』
水……
だから簡単には校舎を壊せないし、水圧で壊したとしても水浸しになるはず
そうですか……
怪しまれる要素ゼロっていうのがまた怪しいんですけどね
……どうしてそんなレミにこだわるの?
なんかひっかかるからです
それだけ?
それだけですよ
ま、気にしないでください
うん……
そんな風に言われると、私も少し気になってしまう
確かにあの時のレミの判断は、あまりに落ち着いていた
普通の人だったらまっさきに校舎の様子を見にいこうとするはずなのに「透視」って
それだけで怪しむのもどうかとは思うけど
ん? 誰だろう……
…………この世界、インターホンは存在するんだ……
ミロクー!! 大変だよ!!
リリコ……どうしたの?
なんかね、うちのリンデン共和国がサラシュ王国に戦争をするって話になったらしいの
どうして?
向こうが先に攻撃をしかけてきたから
ああ……そっか
犯人をいろいろ考えていたせいで忘れていたけど、
そもそもそういう話になっていたんだった
ていうか私、友達を疑っているのに冷静だな……
それでね、私たち魔法学校の生徒も戦争に駆り出されるかもしれなくて……
えっ!?
校舎をやられた腹いせだって、学園長も乗り気なの……
どうしよう! 私、全然魔法が使えないのに!
うーん……
私の『祈り』の魔法だって、大して戦闘の援けにはならない
一体、どうすれば……
…………
これは、まずい……
つづく