シュウヤ

相変わらず料理は美味しいですね

ミロク

料理「は」って何よ

シュウヤ

珍しくこの僕が褒めているんですから感謝くらいしてください

ミロク

はいはい、感謝してますよー

ミロク

で、結局他に疑わしいのは誰なの?

シュウヤ

ああ……えっと、生徒会長さんの彼女さんだっていう……

ミロク

レミ?

シュウヤ

ああ、その人です

ミロク

レミのどこが怪しいのよ

シュウヤ

あの人、校舎の中に人がいるかもしれないっていうあの状況で、ミロクお姉さんに『透視』するよう頼んだじゃないですか

シュウヤ

あの時僕たちはみんなあそこに学生がいることはほぼ確実だと思っていた

シュウヤ

そうなれば、透視なんてせずにさっさと助けに行く手段を考えるはずなんです

シュウヤ

でも、『透視』をさせたってことは、あの校舎内に人がいないことを知っていて、

シュウヤ

それを証明するためにやったんじゃないかと……そう思ったんです

ミロク

なるほどね……

ミロク

確かに、あの場面で『透視』はいささか冷静すぎた

ミロク

でも、人はパニックになると深くものを考えられなくなるわけだから……その行動の矛盾を確かな証拠にするわけにはいかないかも

シュウヤ

パニックになっていたから、てんで的外れな指示をしてしまったと

シュウヤ

僕は、あの人がパニックになっているようには見えなかったですけどね

ミロク

レミは、結構そういうところがあるから

シュウヤ

そういうところ、とは?

ミロク

みんながパニックになっているときこそ冷静に振る舞おうとするところ

シュウヤ

ふうん……

シュウヤ

ところで、レミさんの魔法はなんですか?

ミロク

レミの得意魔法は『水』

シュウヤ

水……

ミロク

だから簡単には校舎を壊せないし、水圧で壊したとしても水浸しになるはず

シュウヤ

そうですか……

シュウヤ

怪しまれる要素ゼロっていうのがまた怪しいんですけどね

ミロク

……どうしてそんなレミにこだわるの?

シュウヤ

なんかひっかかるからです

ミロク

それだけ?

シュウヤ

それだけですよ

シュウヤ

ま、気にしないでください

ミロク

うん……

そんな風に言われると、私も少し気になってしまう

ミロク

確かにあの時のレミの判断は、あまりに落ち着いていた

ミロク

普通の人だったらまっさきに校舎の様子を見にいこうとするはずなのに「透視」って

ミロク

それだけで怪しむのもどうかとは思うけど

ミロク

ん? 誰だろう……

シュウヤ

…………この世界、インターホンは存在するんだ……

リリコ

ミロクー!! 大変だよ!!

ミロク

リリコ……どうしたの?

リリコ

なんかね、うちのリンデン共和国がサラシュ王国に戦争をするって話になったらしいの

ミロク

どうして?

リリコ

向こうが先に攻撃をしかけてきたから

ミロク

ああ……そっか

犯人をいろいろ考えていたせいで忘れていたけど、
そもそもそういう話になっていたんだった

ミロク

ていうか私、友達を疑っているのに冷静だな……

リリコ

それでね、私たち魔法学校の生徒も戦争に駆り出されるかもしれなくて……

ミロク

えっ!?

リリコ

校舎をやられた腹いせだって、学園長も乗り気なの……

リリコ

どうしよう! 私、全然魔法が使えないのに!

ミロク

うーん……

私の『祈り』の魔法だって、大して戦闘の援けにはならない

ミロク

一体、どうすれば……

シュウヤ

…………

シュウヤ

これは、まずい……

つづく

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