そして魔物が溢れる街道は
往来が少なくなり
森へ還ったというわけだ

この辺りも昔は
栄えた魔術都市だったのだよ

今は見る影もないが…

…大変なんですね…

でも…
俺の世界のゲームとかラノベ……おとぎ話とかだと
そういう悪い魔王に対抗する勇者が現れて解決するっていう話が多いんですけど

そうだね…この世界にも勇者の伝説はあるよ…

いま…外から音が…

…魔物ならこんなにお行儀良くないな

まぁ迷いの結界を張ってあるから
人間以外は滅多な事ではたどり着けないが…

私が出るから
奥に居なさい

お久しぶりです
ウェルエル様

この度、王国にて勇者召喚の大魔術を行使しました。
勇者の転移先は召喚魔法陣が設置されていた旧魔術都市マギアロニス
この周辺です

森の中でそれらしい方を
見かけませんでしたか？

いいや、見ていないね

しかし勇者が現れたなら喜ばしい事だ
あなた達のいくさきに幸いあれ

・・・・・・・・

我々も無防備に森に入ったわけではありません…森に詳しい者に先導させ、森の中を調べました…

…森の中からずっとあなたのものでは無い足跡が続いていました…この小屋まで…

・・・・・・

貴様！勇者を隠するとは
何を考えている！

やめんか！

…私が見つけた時
彼はハウンデッドナーガに
襲われていたよ
混乱毒の矢で退けたので無事だったがね

ハ…ハウンデッドナーガ…

有能な敵より無能な味方の方が危険だという言葉をご存知か？？

勇者召喚の様な我らの秘術を無断で使用した挙句持て余し
肝心の勇者を樹海に放りだしたあなたたちに
何ができるというのだ

・・・・！！

こちらの不手際は申し訳なく思っています…しかし…

何度人の過ちを許せばいい？
なぜあなたたちに任せねばならんのだ？

あの時、人間達が逸って
無茶をさせなければ
彼もあんな事にはならなかった…

……勇者…？

今の文脈だと俺…だよな…？

でも…最後に言ってた
『あの時』の『彼』って…？

うわぁあああ！！
アシュカルトだ！

アシュカルトが出たぞ！！

迷いの結界があったはずだが…
人の臭いを辿ってきたか…

退くな！
我々は勇者様を無事城まで送り届けねばならないのだ！！

おお！

大魔法使い様は手伝ってくれんのかな？

身の程をわきまえず目的に進む

相変わらず不合理な生き物だな
人間は
尚更彼を渡すわけにはいかん

だめだ、絶対助けてくれない

死ぬなよ！

おお！

ゴァアアアアアァァァ

…アシュカルトを一撃…？！

ショウ…！
何故…？！

え…いや…
あのままだと危なかったし…

それに…
兵士さん達、俺がお城行かないと帰れないんでしょ…？

それだとウェルエルさんにも
迷惑かけちゃうし…

・・・・・・・

人間に全面的に任せるよりましだ…
私もついていく…

ありがとうございます！

やった！

俺たち生きて迷いの森から
帰れそう！

ばっか！
お前それ死亡フラグだぞ！！