ということでみんなで入る部屋を決めてゲーム開始。
マップは開始時の投票で決まる。今回はbridgeだ。

このマップの選択キャラは?

歩夢がついている麻衣子に問いかける。

そうね。当面はアサルトとファイアサポートの追加要員だから・・オフェンスになった時の為のサンダー、あとディフェンスの時のスカイハンマーと、予備兵科にメディックのアウラってところかな?

それを聞いてキャラを選択していく。

この辺はオーバーウォッチと違って難しいところですね。

そうね。オーバーウォッチはリスポーンの時にすべてのキャラに変更できるからね。メディックやエンジニアが少なすぎて、始まる前に負け確定~みたいなことはないでしょうし。でもチームで戦うときはあらかじめポジションを決めておけるので、キャラが足りないってことは少ないしね。

選択し終わって待っていると、チーム分けが決定し、試合が始まる。
歩夢はオフェンス側、部活のメンバーでオフェンス側なのは沙織と友紀だ。

歩夢はそれを見て沙織の方を見るとよろしく~といった感じで微笑みかけるが、沙織はそれに気付いてあえて無視をする。

オープニングは強硬偵察。普段の少人数戦と違ってフルメンバーだとリスポーンタイミングが長いので突っ込んですぐ死んでもリスポーンが早い。
なので敵配置と兵科の分布を突っ込んでみてくるわよ!

歩夢はLMGのサンダー、沙織はAR&ボムスカッドのレッドアイ、友紀はメイン、サブ共にSMGのプロクシだ。
まずは歩夢に左のトンネル通路からのルートでの指示を指示する。

次の出口は要注意。3方向からの敵のまちぶせがあるかもしれないのでここで毎回コンカッショングレネードを投げ込むのがセオリーよ。敵のタレットや地雷を一時的に無効化できるから。ただ敵も知ってればコンカッションが来ることをしってるのであまりスタンは食らわないとは思うけど。

言われたようにコンカッショングレネードを出口付近に投げ込んでから、自分が食らわないタイミングで突入する。

うぁ!


そこには3人が待ち構えていた。
右からタレットを置き終わったブッシュハッカーがコンカッションをかわして側面入り口から姿を現す。
正面には琴絵のネーダーと左側に華菜里のキラが待ち受けていた。
3方向からのクロスファイアにはひとたまりもない。

それは分かってる・・・。


中央ルートから突入したレッドアイがスモークを焚いて突入し、側面からリロード中の琴絵を倒す。

しま・・最初はグレネードを使っておけばよかったか。


通常、このルートからの突入は多い。牽制の意味も含めてグレネードを使うのがセオリーだが、麻衣子のテンプレアドバイスが聞こえてきて来るのがわかっていたのでつい射撃で迎撃してしまった。

そしてスモークから突入してきた友紀のプロクシが、リロードが終わった華菜里のキラを接近戦で倒す。
3点バーストのアサルトライフル相手ならラッキーヒットがない限りプロクシのサブマシンガンの方が有利だ。

傷つきながらもキラを倒した友紀のプロクシはそのままEVの修理を開始する。修理を完了すれば第一エリアはクリアだ。

お・・おい。

そのまま修理が進行していく。そこでリスポーンできるようになってすぐに向かうが時すでに遅し。
どうやらディフェンス側はスモーク越しに戦うレッドアイに気をとられている間にそちらでの戦闘が激しくなって、修理が開始されていることに気が付かなかった。
レッドアイのスモーク越しに見るアビリティは敵にマーカーをつける効果もある。
攻撃側のその他の参加プレイヤーは右ルートの橋や建物からの侵攻がほとんどだったので、このマーカーに誘われるように突っ込んで、そこで大規模な戦闘になってしまったようだ。
お互いの数が減ったころにはすでに修理が完了してしまっていた。

次はEVを進めてゲートを破壊して突破。まずはゲートをそもそも修理させないようにとの戦闘だね。EV進める作業は2人に任せて右の狭い通路からの総力戦に参加するよ!

その言葉のとおりに他のプレイヤーも含めてゲートの装置がある部屋へ突入するために狭い通路で総力戦となる。
琴絵のグレネードなどはこの通路では有利だが、そこに歩夢のコンカッションが炸裂する。
通路で抵抗を続けていたプレイヤーたちが一気に目の前が真っ白になるスタン状態になり敵の防衛が崩れる。

そのスキに一気にプレイヤーが流れ込もうとしたその瞬間・・・入口に光の柱が立ち、数人が巻き込まれた。
華菜里のキラが放ったオービタルレーザーが入り口をふさぐように攻撃したのだ。

そう簡単には・・・ん?

このスキにゲートの修理を完了させ、その部屋の防御体制を完成させたかったが、メディックが少なすぎた。いやメディック・・ここではより重要なアウラを使っていた人がゲートの修理を優先させるためにエンジニアに変えたため、一時的にメディックが居なくなっていた。

結果、ゲートの修理を完了させ、その後抵抗は続けたもののゲートルームが攻撃側に占拠され、ゲートの破壊を許すことになる。
第二もクリアして一気にEVを移動させ、残る最終エリアもアウラを使っているメディックが少ないことがますます問題に。

ヒーリングステーションが一本のため歩夢のコンカッショングレネードで動作が停止すると一気にピンチになるのだ。
そのスキにボムスカッドを持った沙織のレッドアイがスモークを焚いてこっそり目標のコンテナを盗み出すことに成功。

追ってきた敵などが部屋の外で戦闘している間、友紀が室内入り口などに地雷を2つ仕掛けておくことで、2個の運搬時も有利に展開して一気に攻撃側が勝利した。

麻衣子が声をかけていったん部屋を出て反省会をすることに。

う~ん・・負けた!

そうね・・・意外にツーマンセルの効果は大きいかもね。

!!先生?!いつのまに!


麻衣子の後ろに富永先生が立っていて試合の様子を眺めていた。

ん~・・第二のゲートを破壊したあたりだったかな?まあ今日からは採点の手伝いとかもあるし、あまり来れないからそんな感じで進めててね。

そういえばツーマンセルって?


麻衣子がさっきの先生の言葉について聞いてみる。

2人1組で行動することよ。
今まであまり意識してなかったけど、さっきの試合の敗因は石田さんと井上さんのコンビが攻撃に偏りすぎててうまく機能してなかったことね。それに対して森さんと岡野さんのコンビがうまくいってた。まあ攻撃側なのでメディックがあまり必要なかったというのもあるでしょうけど。

そうだね。まあ普段は麻衣子がヒルステ立てて回ってるけど、それがないって意外にきつかった。

うへへ~


麻衣子は変な照れ方をしている。

だから・・そうね。さっきの森さんと岡野さん、それに栗原さんと石田さん、あとは井上さんと左山さんでチームを組むべきかもね。基本はライフル分隊みたいな感じで組んでるつもりだったけど、2人残ってれば厳しい状況でも逆転できる希望があるという状況にしたいかも。

なるほど・・・確かにその2人でメディックとエンジニアをそれぞれ予備枠に確実に入れておけば困ることは少ないか?まあ今回みたいな野良プレイだとうまく組み合わせできないことも多いでしょうけど・・。

そういいながら麻衣子はチームの構成を考え始めているようだった。
チームリーダーや部長などは消去法として彼女に一任されたような感じだったが、それなりに機能しているようだ。
それをみて先生は一つの懸念を伝えておこうと切り出した。

あと一応・・みんなに言っておきたいことがあるんだけど・・・。

何?

また校長先生がなにか企んでるらしくて・・・

!!!

一瞬、驚きの表情を見せたが正直またか・・と印象があった。
またアイドルとか私たちを露出させることを考えているのだろうか?
複雑な表情を見せる部員たちに安心させるように声をかける。

あ・・・タブンあなたたちには関係ない話だから大丈夫。10年後ぐらいの話だし。一応ね!

え?なんですかそれ・・。


少しほっとした表情をしながら内容を聞いてみる。

ん~・・2026年の夏季アジア競技大会が愛知県と名古屋市で開催されるっての知ってる?

え?知らない・・・かな?


そういいながら麻衣子は周りを見回す。
10年近く後の話だ。私たちには当然関係ない話だしね。

そのアジア大会の2022年の大会・・・中国での開催なんだけど、これにeSportsが追加されることが決まったらしいのよね・・。

ほえ?


4年・・近くなったぞ・・・。やばくない?

それで・・・2018年のインドネシア大会からでも競技として始まるらしくて・・・。


さらに4年・・・来年の話?大丈夫?!

アジア大会ってのはオリンピック委員会が仕切るんだけど、現状eSports選手ってのは匿名の変な名前で活動してる勝てば官軍的なチンピラ賞金稼ぎしかいなくて・・高校生の部活・・特に私たちみたいに本名で活動する”選手”が少ないと・・・

ちょっとまって!!!!


思わず声を出す・・

いやいや・・あんたたちがいきなりアジア大会のオリンピック選手に選ばれて大舞台に立つなんて思ってないわよ!ただ校長先生が画策して、高校や大学に部活動を設置するように働きかけ始めてるみたいなのよね。そのモデルケースとしてあんたたちが紹介される可能性はあるってことだけ。

それだけでも十分大ごとなんですが・・・先生的にはどうなんです?

ん~・・本名で活動するのが当たり前で、スポーツマンシップにのっとって戦う。そして賞金など”金”目当てのゲームプレイではなく、スポーツのようにあくまでゲームを楽しむきっかけとなるなら大いに賛成よ。ただeSportsタイトルに活動が限定されるのは避けたいわよね。

というと?

ん~・・中国大会からってあたりからあくまで中国主導なんだよね。確か前の中国大会の時にもアジアインドアゲームズとかの方でeSportsが種目になったことがあるような・・・違ったっけ?

アジアインドアゲームズ・・・格闘技と合併して別の大会になってるみたいですけど。JeSPAという団体がそっちでの参加を目指してたみたいですが、こっちも匿名ですね。

友紀がスマホを手にアジア大会のことを調べていたようだ。

そうね。だから中国主導のeSport大会で勝てるゲームやるとなると今遊んでるDirtybombとかできなくなる。
可能性としてはFPSならオーバーウォッチとか可能性高そうだけど、大味でイマイチ好きになれないゲームなのよね・・・指導としても前に出て殺せ。とにかく攻撃当ててウルト貯めればOK的なことしか言えないし。

あはは・・・確かにそういうとこありますよね。弱体化や強化も激しいのでトレンドに合わせて戦い方を変える必要もありそう。


最近までオーバーウォッチをプレイしていた歩夢が発言してみた。

ここの活動は私が面白いと思うゲームじゃなきゃ許さないところはあるけど、なにかこのタイトルをやれと強制されることになるようなら部活のやり方も考えなきゃいけないかな?とかね。

そうなんですか?

まあ先の話だけどね。もしそうなったら女子部じゃない・・・普通のeSports部として特定タイトルだけをやる部活を作ることになるかもしれない。


そう言っている先生は少し寂しそうに見えた。

・・・

まあ・・・そういうことだから可能性としては別の特定タイトルだけをやるeSports部ができる可能性があるし、もしそっちのタイトルのゲームがやりたければ移ってもらってもいいってことだけ覚えといて。・・・ん~とりあえず以上!
まあ終わる頃にまた顔を出すからね。じゃあ!


そういうと富永先生は職員室の方に帰っていった。

アジア大会のメダリストか・・・考えたこともなかった。
だがeSportsを戦略的に指導する先生がいる部活というのはなんか珍しいことの気がする。そしてチームで戦えるこの場所も。
そしてたったいま、野良プレイとクラン戦の違いを知った。チームで連携して戦うことの”強さの差”を感じた。

世界に通用するとは思えないけど、なんとなく日本一ぐらいは目指せそうな気がする。
もっとも先生は乗り気じゃないみたいだけどさ・・・。

ただ校長先生のたくらみを聞かされただけだが、なにかまた一つ普通じゃない自分の可能性を感じることが出来たのだった。

メダリストへの道

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