キー!また負けたぁ!!

お互い防衛しきることが難しく惜しい展開もあったものの敗北。
その後3試合ほどしたがやはり敵のエースプレイヤーを止められない。
先生のアドバイスは的確に感じたが10分の防衛をしのぎ切るのは難しく永遠にも感じた。

じゃあ今日はこの辺までね。じゃあTwitchの放送も終了するわよ~

は~い。

無言で帰る準備をしている部員たちを見て心配になったのか、先生が声をかける。

まあ、毎日ハゲの相手というのも大変だろうからね。プライベートマッチ形式は一日おきにして、明日は普通に野良試合とかにする?

う~ん。でもプライベートマッチでプレイしていった方が上達するんですよね?


琴江は思ったことを口にしてみる。

始める前に言ったじゃない。チームワークをゲームで体験するのが目的だって。確かに私がセオリーをに沿ったアドバイスをしながら、プレイしていけば自然に上手くなるとは思うけど、臨機応変さも身に着けないとね。

臨機応変って?

さっきもそうだったでしょ?鉄壁のフォーメーションが出来たと思っても、割と簡単に崩される。それにトラップに要となるキャラクターが引っかかると、それを契機に前線を押し上げたりもできる。防衛なら地雷やタレット、攻撃なら爆撃は敵の防衛網を崩しやすいけど、対応もされやすい。
具体的には地雷やタレットに一度引っかかったら、二度は引っかからない。でも同じ場所に置くことや位置をずらすことで時間稼ぎに有効だよね。でもそれを私が指示するわけにはいかない。上手くいくかどうかわからないからね。

そういえば、さっき地雷が反応しなかった気が・・・そんなのことあるの?


エンジニアの友紀が疑問を口にした。確かにさっきたまたま死んだときに、自分が置いた地雷の上を素通りしていくのをデスカメラで観た。

オーグメントに反応遅延があるからね。反応遅延があれば走り抜けることで死ぬことはなくなるわね。それにボムスカッドで爆発物ダメージ軽減の効果のあるものも載せられれば、ほとんどダメージを受けずに通り抜けられるわね。

それじゃあプロクシ使ってる意味ない?

そんなことないわよ。反応遅延を主に使うのはレッドアイ、キラ、それにプロクシだろうけど、普通プロクシはサブマシンガンをサブに持ってる二挺サブマシンガンのロードアウトを使うからね。レッドアイとキラのアタッカータイプが居たら無効化される可能性を考慮したほうがいいと思うけどそれほど気にすることはないわね。

じゃあ基本はプロクシのままで?

そうねぇ。爆発遅延が確実に有効なのはブリッジの最後にドラックサンプルの上に重ねられる時の排除に一秒でも時間が欲しい時ぐらいかな?防衛時に攻撃側チームにレッドアイかキラが居たら別のキャラクターを使ったほうがいいかも?

なるほど・・。

まあそういうことはやっていればわかることだけど、あまりポジションを固定化しすぎると、見えにくいこともある。野良試合で、そういう臨機応変さも身に着けたほうがいいってことね。それに私も毎日2時間、ここでしゃべり続けるの大変だし。

・・・。

この先生、ちょいちょい本音が出るというか、言わなくていいことが出るなぁ。

最近帰宅する前に3人でフードコートなどのお店で寄り道して雑談してから帰るのが日課になっていた。
今日はスガキヤ。今のところ誰もスターバックスにだけは寄ろうと言い出さないけど。

ソフトクリームなどを注文して、席につくと部活のWEBサイトなどを見てみる。

さっそく更新してるな~。火、木、土はストップウォッチモードでプレイしているので参加歓迎だって。


華菜里が手元のタブレットに表示されている画面をみんなに見せるように置く。

しかし、先生意外にちゃんと顧問してるよなぁ。もっとゲーム部らしく顧問や学校からは放置されるもんだと思ったけど。

先生授業で言ってたことあるな・・。いいゲームは情熱がある人に振り回されるような形でできる事が多いって。

そっか~。まあ自分が率先して動くことで、スポ根的なプレイをするゲームの部活動にしていきたいのかもな~。

少し気のない感じで答える琴江。

そういや、部活でいいかけたというか・・・いいだしっぺのコトチンとしてはもっと指導してもらって強くなりたいの?


今日は負けてばかりだったとはいえ、野良試合を挟む必要はないかもしれない。それなりに上達していけばいいんだし、ネットの他人とのプレイはトラブルを生みやすい。
女子高生のプレイヤーが集まっているとなればなおさらだろう。

そういうわけでもないんだけどさ~。


テーブルにうつぶせたまま答える。
何か続きそうな感じだったのでぜんざいやソフトクリームをほおばりながらそのまま待つ。

・・将来キュアブラックになりたかったんだよなぁ~

ブはぁ!!
思わず吹き出しそうになった。琴江はうつぶせているので気が付いていないので、まずは平静をよそおいつつ聞き返す。

えっ?・・あのプリキュアの?へ~・・ピュアなんだ。

もちろん今でもってわけじゃねぇぞ。子供の頃の話だ。

そういいながら顔を上げると少しひきつった笑いの琴江がいた。それをみて急に恥ずかしくなって頬を染めて横を向く。なんかかわいい

でも私たちの頃ってキュアブラックとかの初代じゃないよね。スプラッシュハートとかの二代目だった気が?

いやだから中学卒業して高校生になったらっていうか。だから子供の頃、空手とかの格闘技とかもやってたり、ゲームとかでなんか戦ってたいとか・・・高校だって声優に興味がなかったわけじゃないんだよ。

逆に言うとさ。夢とか将来の希望とかないんだよなぁ・・・常に何かと戦っていたい・・みたいな漠然とした欲求みたいなのがあるだけで。

う~ん。要約すると、プリキュアが居ないことが分かったけどなんとなくあこがれてたキュアブラックがプリキュア引退して高校生になった姿を想像して自分もそうなろうと思ってた。だけど、実際自分が高校生になってみると次の目標や夢が想像できなくなってきたと?

簡単に言えばそうなるかな~。

それ要するに声優目指すってことでいいんじゃないの?声優科なんだし。

そうなのか?

仮に高校生版プリキュアの続編があったとして、基本は少女マンガだもんね。イケメンで金持ちと恋に落ちるか、魔法少女とか紅天女の女優とか高位次元のなんかよく分からない存在になるかの二択じゃん。

う~ん。確かにそれとは違うような。

まあコトチンはこのまま”ゲームで戦う声優”を目指すでいいんじゃない?ゲーム実況する売れないお笑いタレントがYoutubeで実況したりする時代だし。

確かにな~。声優に関しては運が大きすぎる気がするし、この3年間はゲームの方を頑張るということでいいのかもな~。

・・・・。
この2人をやりとりを眺めていた華菜里。
日本のコンテンツはそれなりに見ていたし、プリキュアも知っていた。
(琴江さん、友達に麻衣子さんを選んだのってまさか眉毛が太くてキュアホワイトに似てるからなんじゃ・・・)
などと心の中で思っていた。

そのまさかだった。

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